概要
全長2m、体重270kgほどにもなる大型魚。
左右から押しつぶされたように平たい円盤形の外見がマンボウに似ていて「~マンボウ」という名前だが、分類上はまったく別の魚。(マンボウはフグ目)
…にもかかわらず別名も「マンボウ」。
英名は「サンフィッシュ」または「ムーンフィッシュ」だが、どちらもマンボウの英名でもある他サンフィッシュはスズキ目サンフィッシュ科と、ムーンフィッシュはギンカガミやアジ科のヒラマナアジの仲間とそれぞれ被っているため区別したい場合は固有名「オパー(Opah)」を用いるとよい。
マンボウと違って尾びれをもち、胸びれが垂直ではなく水平に長く発達している。
リュウグウノツカイはこれの仲間。稚魚の時は細長い体系でリュウグウノツカイの稚魚に似ているが、背びれと腹びれが長く伸びないので区別される。やがて体が円盤状になり、成魚の姿へと変わってゆく。
生態
世界中の熱帯・温帯の海に広く分布し、外洋域の水深500 mまでの表層・中層に生息する。ただし人目に触れない環境に生息しているため、生態についてはほとんどが不明である。
マグロなどと同様に、胸びれと尾びれを使って泳ぎながら生活していると考えられている。肉食性で、クラゲ、イカ、オキアミ、小魚などを捕食する。天敵はアオザメやホホジロザメといった外洋性の大型のサメ。
2015年5月、アメリカの海洋大気庁の研究チームにより、アカマンボウには魚類で唯一、血液の温度を保つ機能があることが確認された。つまり哺乳類や鳥類と同じ恒温動物。
アカマンボウには、心臓とえらの間に特殊な血管の絶縁網があり、心臓から送られた温かい血液が、えらが取り込んだ海水によって冷やされた血液を温めなおす体の作りをしている。これにより、アカマンボウは周辺の海水よりも5度ほど高い体温を保つことができるようになっており、深海でも活発な活動が可能とされる。これは哺乳類や鳥類とほぼ同じ体温維持の方法である。
利用
需要が低く、またその特異な体型から運搬、調理の際に一般的な規格(発泡スチロールやまな板の大きさなど)が通用しないため、専門に漁獲されることはないが、延縄などでマグロに混じって漁獲される。
切り身は主に旬の春先にしか出回らないので、スーパーマーケットなど量販店ではなかなかお目にかかれない。
業務用では一部の海鮮丼専門店やホテルのバイキングなどで活用されている。
身の色は淡く綺麗なオレンジ色で、かつ肉は繊維質の赤身であり、刺身や燻製などで食べられる。その身はマグロの身のような色で食味も似ている為、日本でも2008年頃からはマグロの代用魚として切り身や、ネギトロの増量の為に配合するなど、寿司ネタなどに利用されるようになったと言われる。
実際に食べてみた人の話では「あくまで部分的には…」とのことで、大半は食感が別物らしい。
一般流通品は脂の乗った腹側ではなく淡白な背側の肉が多くを占めるため、生食よりも加熱調理用としての方が適している。例としてメカジキを使用するレシピがそのまま活かせる。
また、そもそも上記のようにアカマンボウは希少魚の類であるため、値段的にも流通量的にもマグロの代用魚として使用できるような魚ではないとの指摘もある。
これらのことから、マグロの代用魚であるとの説は現在のところ都市伝説の域を出るものでは無い。
近年では温暖化の影響か北海道で水揚げされた例も。
『将太の寿司 全国大会編』にて、1回戦第1課題としてこれの寿司が提示されたが、初っ端から引っ掛け問題であり満点は主人公を含め奇抜な切り方をした3名のみという死屍累々ぶりだった。あまりのインパクトからか掲載直後のTVチャンピオンのマンガ王回で問題に採用されたほど。
芸能人格付けチェックでも絶対アカン食材として出たが、その美味しさに引っかかりランクダウンしたチームが多数出た。
近縁種
アカマンボウ科には、本種と南半球にのみ分布するやや細身のミナミマンダイがいるとされていた。
然し、遺伝子解析の結果から、これまでアカマンボウと呼ばれていた種が、5つの異なる種に分けられた。これにより「アカマンボウ」と呼ばれていたのはLampris guttatusとされていたが、現在はLampris megalopsisになった。
「†」がついている物は化石種である。
- アカマンボウ属 Lampris
- アカマンボウLampris megalopsis
- ミナミマンダイLampris immaculatus
- Lampris australensis
- Lampris guttatus
- Lampris incognitus
- Lampris lauta
- †Lampris zatima
- メガランプリス属 Megalampris
- †メガランプリス Megalampris keyesi
関連タグ
マンダイ:商品名