ウスタビガ

うすたびが

ヤママユガ科の大型蛾。メイン画像は雌の成虫。 漢字表記は薄足袋蛾。または薄手火蛾。

概要

和名	ウスタビガ
学名	Rhodinia fugax fugax
分類	鱗翅目 カイコガ上科 ヤママユガ科 ヤママユガ亜科 ヤママユ属 ウスタビガ日本亜種
前翅長	４.６～５.８cm
開翅長	♂７.５～９cm／♀８～１１cm
分布域	日本(北海道、本州、四国、九州)、朝鮮半島、中国、ロシア南東部
幼虫の食樹	バラ科（サクラ類）、ブナ科（クリ､クヌギ､コナラ､カシワ）、ニレ科（ケヤキ）、カバノキ科（ハンノキ）、アサ科（エノキ）、ムクロジ科（カエデ･モミジ類）など広食性
越冬態	卵
成虫の発生期	晩秋(１０～１２月)／年1化

日本に分布するヤママユガ科の蛾の一種。

山地から平地まで広く見られるが、低山地の里山に多い。

成虫は晩秋に発生し、雌雄ともにコンビニや街灯の灯りによく飛来する。

ヤママユに似ているが、成虫の出現時期が異なる点で容易に区別できる。

黄緑色の美しい繭はヤマカマス・ツリカマスと呼ばれる。

寒い時期に活動する為か、体や脚がモコモコした毛に覆われており、丸くつぶらな瞳も相まって可愛らしい見た目をしている。

形態

翅に波型の帯があり、前翅と後翅の中央に半透明に透けた一対の眼状紋を持つ。

成虫の色彩と形態は雌雄で異なり、雌は触角が糸状で翅は黄色く前翅先端が丸いが、雄は触角が櫛状になり、翅は暗褐色～黄褐色で前翅先端がやや尖る。

色彩は紅葉した葉に合わせた保護色と考えられ、眼状紋は天敵を驚かせて追い払う効果があるとされる。

幼虫は小さな頃は黒っぽい毛虫だが､成長するに連れて緑色の面積が増え、毛も減っていき、終齢幼虫は緑色の体に水色の点列模様と一対の小さな角を持つ大きな芋虫に成長する。毒は無い。

繭はカマス形（叺は藁筵を二つ折りにした袋のこと）。

生態

卵で越冬し、翌年の4月頃に孵化する。

幼虫は桜や欅などの広葉樹の葉を食べて成長し、6月頃に木の枝にぶら下げる形で繭を作り、その中で蛹化する。

繭の上部には羽化する際に使う出口があり、底には雨水の排出孔がある。

蛹と幼虫は触ると「チッチッ！(蛹)キューキュー！(幼虫)」などと鳴いて威嚇する。

羽化は１０～１１月頃。繭上部の蓋を開けて窮屈そうにジタバタしながら出てくる様は可愛らしい。

成虫は口が退化しており、幼虫時代に蓄えた栄養のみで1週間程生きる。

雌は夜行性だが、雄は朝方と夕方を中心に日中も雌を求めて活動する。

交尾後の雌は食樹の枝や幹、自身が羽化した繭の抜け殻などに産卵し、短い成虫期間を終える。

関連タグ

蛾 ヤママユガ 昆虫

クロウスタビガ：近縁種

ウスタビガフシヒメバチ：ウスタビガの繭に寄生するヒメバチ(寄生蜂)の一種。