オオカバマダラ
おおかばまだら
基本情報
オレンジと黒で彩られた蝶。迷蝶と呼ばれることもある。
主にメキシコ~カナダ間でよく見られ、寒くなると南に、そして暖かくなると北に向かって大移動をすることで知られている種である。渡り鳥のように南北の両方に移動をするという特徴は蝶としては珍しい。
なお、ハワイや東南アジア、オーストラリア、ニュージーランドなどに生息する個体群は渡りをせずに定住している。
英語でMonarch Butterfly。Monarchは君主を意味し、これは蝶の中でも大きめのサイズや広大な土地を我が物にしているというところから由来している。らしい。
幼虫は黄色、白、黒の縞々模様をしていて、この頃にトウワタという有毒の植物のみを大量に平らげる。これによりこの虫を食べると非常に不味い味がする上に毒に侵されることになる。この毒は成虫にも引き継がれており、オオカバマダラが派手な色合いをしているのは他の動物に対する警告だと言われている。カバイロイチモンジなど、このオオカバマダラに擬態して捕食を免れる蝶もいるほどである。ただし、ある程度の毒に耐性があったり毒の濃い部分だけを取り除く技術を持った捕食者もいる。また、成虫は時間が経つにつれて毒が薄くなっていくため捕食されやすくなる。
成虫になるとトウワタ以外の植物の蜜を吸うなどする。また、オスには湿った土などから水分などを取るという習性もあり、たまに地面の油汚れや人間の食べ物に惹かれることがある。
実はこの蝶は同じ固体が北への移動と南の移動を両方こなすことはない。なんと移動にかかる時間が成体の通常の寿命より長いのである。南で冬を越した成体が北上しながら産卵し、2〜4世代かけて北に到達する。その後、北で生まれ育った成体が1世代だけで南に到達する。つまりまた南に移動するときは完全に違う世代なのである。その割には冬を越す場所は大体同じであり、どのようにしてこの場所を特定しているのかはまだ研究の対象である。年中暖かい場所で生まれ育った物は大移動を行わないことも確認されている。
大西洋を横断できる数少ない昆虫の一種と認識されている。
「オオカバマダラ 大群」で検索すると冬を越すために集まった蝶が見れる。おそらく想像以上の数が集まっており、人によってはおぞましい光景に見えるかもしれない。わかりやすくたとえると森林の樹木が葉っぱではなく蝶を生やしているような、そんな光景である。