概要
タテハチョウ(立羽蝶)とは、鱗翅目のうちタテハチョウ科に分類される蝶のこと。
6,000種ほど知られ、蝶の科の中では最多に誇る。南極大陸以外の世界中が分布する。
日本の国蝶オオムラサキや、数千kmを旅するアサギマダラとオオカバマダラ、美しい青い翅をもつモルフォチョウなど、著名な種が多い。
中型から大型の蝶であり、翅を広げて13cmに達する日本最大級の蝶オオゴマダラも属する。
名前は翅を立てるように閉じる事が由来だが、これは他の蝶でも一般に見られる特徴で、別にタテハチョウ特有の性質ではない。
最大の特徴は退化した短い前脚である。これは普段から頭部の下に折り畳まれ、残り4本の脚だけで立って歩くため、一見して脚が4本しかない。
翅の背面は赤、橙、黄、紫、青、白などの派手な色彩を持つ種が多いが、腹面は枯葉や木の幹などに擬態した地味な色を持つ種が多い。
幼虫(芋虫)は尾の先端が二股に分かれる種が多く、頭部に角を持つ種や毛虫状の種などがいる。
生態
成虫期は蝶として長く、夏~秋に羽化した個体が翌年の春に産卵する種も存在する。
歩行に使われない前脚だが、先端の感覚毛で味を感じる事が可能で、食事の前に味を確認する事ができる。成虫は幼虫が食べれるか食べれない植物の葉の味も分かるため、産卵する食草や食樹を見分ける際にこの前脚が役に立つ。
縄張り意識が強い種が多く、植物の葉や岩などの上に翅を開いて止まり、近づく同種や多種の蝶や昆虫、時には小鳥などを激しく追い払う(これは別系統の蝶であるアゲハチョウやシジミチョウの一部も行う)。
マダラチョウやヒョウモンチョウなどは幼虫時代に毒をもつ植物を食べ、体内に毒を溜め込む性質をもつ。
毒は成虫になっても残っており、食べると不味い為、鳥などの天敵に襲われにくくなっている。
成虫になって時間が経つと少しずつ毒の量が減っていくが、毒をもつ植物の花の蜜を飲んで毒を補給する種もおり、ツマグロヒョウモンやリュウキュウムラサキなど、毒をもつ種に擬態する種もいる。
飛翔力が高く、アサギマダラやオオカバマダラは数千kmの距離を移動する事もある。
著名な種類
次のリストは特記しない限り日本にも原産するのものとなる。
- テングチョウ
- アサギマダラ
- リュウキュウアサギマダラ
- カバマダラ
- オオカバマダラ:北~中央アメリカ原産、迷蝶として日本に飛来。
- ルリマダラ
- オオゴマダラ:日本最大級の蝶の一つ。
- カラフトヒョウモン
- ホソバヒョウモン(ヒメカラフトヒョウモン)
- ヒョウモンチョウ(ナミヒョウモン)
- タイワンキマダラ
- オオイチモンジ
- イチモンジチョウ
- アサマイチモンジ
- ミスジチョウ
- イシガケチョウ(イシガキチョウ)
- スミナガシ
- キタテハ
- シータテハ
- エルタテハ
- キベリタテハ
- ヒオドシチョウ
- ルリタテハ
- クジャクチョウ
- コヒオドシ:デンマークの国蝶。
- アカタテハ
- タテハモドキ
- コノハチョウ
- リュウキュウムラサキ
- ヒョウモンモドキ
- ゴマダラチョウ
- アカボシゴマダラ:大陸亜種が特定外来生物。
- オオムラサキ:日本の国蝶。
- フタオチョウ
- ウラナミジャノメ
- ベニヒカゲ
- ジャノメチョウ
- コジャノメ
- ヒメヒカゲ
- ヒカゲチョウ(ナミヒカゲ)
- クロコノマチョウ
- モルフォチョウ:アメリカ大陸産。