「海賊なんざ夢抜かすゴミばかりだ。隠された財宝?見たことのない大冒険?それがなんだってんだ。本当に必要なのは力だ。力さえあればなんだって手に入る!」
概要
声:石田太郎
『デッドエンドの冒険』に登場する、“将軍”の異名を持つ元海軍本部の海兵(階級は不明だが、異名からして将校クラスではあったのだろう)。懸賞金は9500万ベリー。
見上げる様な巨漢の男で、海軍将校のコートを改造したような代物を着ている。ただし「正義」の文字はなく、代わりに上から×印を書いた海軍マークの描かれたものとなっており、これがガスパーデ一味の海賊旗でもある。
海兵でありながら、悪魔の実の能力を得て、自身の乗っていた海軍の軍艦を奪って海軍を裏切り海賊となった。
残虐な男であり、その経歴も相まって「海軍最大の汚点」とまで言われており、現役の海兵達からも目の敵にされていた程。
人物
傲岸不遜な性格で、弱者を容赦なく切り捨て犠牲にするが、実力を認めた者に対しては、例え自身の命を狙っている者だったとしても、仲間に引き入れようとするという豪胆さを併せ持つ。
実際、彼の海賊団のNo.2だったニードルスも、彼自身の弱点を探し殺すためにあえて彼のそばにいるべく配下となっていた。
「力」こそすべてという考えを持ち主で、卑劣な手段を使うことに躊躇いがない外道であるが、本人の実力はとても高い。そういう点ではクリークに近いものがあるが、彼が海賊になったのは手っ取り早く権力を手に入れる為であり、海賊をしているものの海や夢を嫌っている。
おまけに海賊そのものすら「夢ばかり語るクズども」と吐き捨てるほどに嫌悪しており、彼らを潰すのはちょっとした楽しいゲームであり、暇つぶしであると考えている。ガスパーデが海兵に身を置いていたのも、こうした認識のためであるのかもしれない。
そのため、ルフィの力量は認めつつも彼の夢を嘲笑い、ルフィ自身も彼のことを「クズ」と呼ぶなど嫌悪している。
一方で、敗走した部下に対して処罰こそ下せど命までは取らず雑用係へ降格させるに留める分別や、勝負を挑まれればきっちりと一対一で受ける度量、自分が能力者であるにもかかわらず沈みゆく船の上でも逃げ腰にならず決着をつける事を選ぶ漢気など、曲がりなりにも海賊としての度量は持っている。
能力
全身を自在に緑色の水飴状に変化させることができる。
軟化させると物理攻撃を無効化し、硬質化させると体から鋭いトゲ状の武器を生やせる。腕を槍に変えて相手を突き刺したり、全身からハリネズミのように棘を出してカウンターを狙ったりと応用が利く。
更に、水飴であるため直接攻撃してきた相手の体をそのまま体に捕らえることもできる。
水飴の性質上、弱点は小麦粉。
粉を浴びると身体が固まってしまい、攻撃を受け流せなくなるという欠点も抱えている。
また、不意打ちなどで能力行使してない際に攻撃を受けた場合は、スモーカーやポートガス・D・エースらと同じように身体が水飴状にはならないらしく、作中では折れたマストで串刺しにされて大打撃を受けていた(が、「久しぶりだ痛ェ思いなんざ」程度で、サンジからは「普通は痛ェじゃすまねぇだろ」と突っ込まれている)。
ちなみに、ルフィによるといくら飴と言っても美味しくはないらしい。
完全な能力頼りではなく腕っ節も強く、作中では拘束したルフィを殴打してダメージを与えている。元海兵なので(当時はまだ黒ひげのセリフに出ただけだったが)覇気を習得していたのかもしれない。
来歴
かつて海軍に所属していたことが語られており、時期は不明ながら自分が乗っていた軍艦を乗っ取って海賊としての名乗りをあげた。
本編の8年前に、シュライヤが住んでいた造船街を襲撃。
住民やシュライヤの両親を皆殺しにし、修理のために港に停泊していた蒸気船「サラマンダー号」を奪い、自らの海賊船とした。
本編では、海賊によるレース「デッドエンドレース」に一番手として参加。
実は、裏で賭け金の管理をする胴元と手を組んでおり、他の海賊たちに海軍要塞の「永久指針」を渡し、罠に嵌めていた。
もっとも、自身も胴元を嵌めていたのだが、実は胴元も彼を嵌める気でいたらしく、お互いに心の底では信用し合っていなかった模様。
最後はルフィと対決することとなり、終始自身の能力でルフィを圧倒するが、麦わら帽子を大きく傷つけてしまい彼の逆鱗に触れる。更に、料理人であるサンジによって能力の弱点が見破られてしまい、ルフィの攻撃をまともに受けるようにされてしまう。
それでもなお、身体中をトゲで覆い追撃するも、最期はルフィの「ゴムゴムのバズーカ」で吹っ飛ばされ、サイクロンに巻き込まれていった。
余談
- 元海軍の海賊
後に原作で、元海軍少将X・ドレーク(及びその父であるX・バレルズ)が登場している。
原作1081話(単行本107巻)では、タイトル通りクザンも黒ひげ海賊団10番船長であることが発覚。
- 元海軍の映画ボス
- 上記のドレークとゼファーは作中でガスパーデほど海軍から悪しざまに言われてはおらず、これは(バレルズはよくわからないが)彼らが彼らなりの正義の信念からの海軍離反であったのに対し、ガスパーデは完全に私利私欲のためであるからだろう。
- クザンの場合は、ホールケーキアイランドで非戦闘員を巻き込んだり、ハチノスで現役海兵のひばりを凍らせたり辞表を預けているコビーの逃走妨害と、目的のためなら新世界の非戦闘員の命をも巻き添えで手段を選ばないゼファーほどではないが、非戦闘員は一切巻き込まないドレークほど穏便というわけでもなく、両者の合間あたりか。(ただし、五老星はドレスローザ編でサカズキにこの件を咎めているが。)また、ガープからは愛弟子として振る舞いつつ反抗したため逆鱗に触れ“破門じゃバカ弟子”と死刑宣告同然で殴られることになる。
- 能力のタイプ
映画オリジナルゆえ、悪魔の実のタイプは不明。
「体を流動化出来る」、「水飴状の物体」(餅状の物体に変わるシャーロット・カタクリは特殊な超人系と記載)という点からすると、ガスパーデも同じく「特殊な超人系」なのではないかと思われる。
関連イラスト
関連タグ
斧手のモーガン、X・ドレーク、X・バレルズ 、(元海軍の汚点の皆様。なお、1名のみ事情が異なる)
シャーロット・ペロスペロー:後に原作で登場した飴系の能力者。ただしこちらは「ペロペロの実」であり、変化系(仮)であるアメアメとは異なり身体から変幻自在の飴を作る放出系(仮)。
作中で確認できる範囲唯一、ガスパーデなどとは真逆に元海賊だが海兵に転職できた人物。当初は連帯責任を負わされて降格処分のフルボディと共に三等兵だったが、元海賊なだけあって戦闘慣れしており、2年後編では海軍本部少佐となり、明らかにモブより早い出世である。
一応現役海兵だが、劇中での行いはガスパーデが幾分可愛く感じてしまうレベルでカタギを巻き込み、ある意味ガスパーデ以上に海賊らしい悪徳海兵。原作には登場しないとはいえ、復職叶わず連行から逃走した場合はココヤシ村のネズミや、同じようなマネをしたスフィンクスのラーテル同様、海賊に転職しかなねないだろう。
こちらも一応現役海軍基地だが、前述のビリッチ並みに性格の悪い海兵ばかりしか就いておらず、さながら海兵の制服を着た海賊かヤクザにしか見えない。幸い作中で見る限りは海賊には容赦ない一方で本部から来たスモーカーやたしぎらには(裏切る前にはヴェルゴにも)従順だが、彼らの性格を考慮すると、権力欲が芽生えた次第では第2第3のガスパーデを輩出しかねないかもしれない。ガスパーデも設定を掘り下げられた場合は、元勤務地はココくらい荒れていた可能性、そもそも海賊デビュー前最後の勤務地だった可能性(ただし公式ではない)もある。
作中の軍人ではもっとも良識ある軍人の鑑ともいえる実力者だが、古参ファンならばお馴染みだが、一巻の時点で「アルビダ海賊団に雑用させられていた(しかも逃げるスキがなくルフィと出会うまで2年ほど)」意味では「元海賊から海軍本部」へ転職からの出世に成功者ともいえる。
ただし、前述のジャンゴは自分で海賊からの海軍の道に転向したのに対し、コビーは誘拐同然に不本意で雑用からルフィに助けられて逃れてからの正規入隊であり、コビー自身は海賊気質は一切ない。
・ワンピース映画ヴィラン