概要
Wiiウェアで3本展開されたKONAMI ReBirthシリーズ最初の作品。グラディウスシリーズとしてはMSX版グラディウスシリーズの系譜にあたる。
時系列ではグラディウス2の前となる。(MSX版グラディウス→グラディウス・リバース→グラディウス2)
実はネメシスのリメイク……なのだが、リメイクというよりは完全新作の向きが強い。これは他のReBirthシリーズも同様である。
開発はM2。沙羅曼蛇ポータブルなどの開発を務めた、レトロゲームの移植を得意とする企業。
BGMは家庭用グラディウスシリーズ出典のものが多く、並木学によるYM2151音源(コーラスが入る点はグラディウスⅢに、FM音源らしい硬い音作りはグラディウスIIに近い。YM2151音源は他にも沙羅曼蛇やパロディウスだ!で使われた)でアレンジされている。イントロやメロディの音を強くして印象付ける編曲が多め。
現在、Wiiのショッピングチャンネルが終了している為に新規で入手する方法がWiiUであっても不可能になっている。もしプレイしたければ中古のWii本体に「リバース」がインストールされているものを探し出すしか今のところ方法は無い。
ストーリー
宇宙歴6664年。
「サイレント・ナイトメア事件」の2年前。
グラディウス帝国の保護国である惑星アンティクトンが突然沈黙するという事件が発生した。
宇宙科学技術庁長官ヴェノム博士の報告で、同惑星のマザー・コンピューターがバクテリアンによって密かに侵食されていたことが明らかになった。
事態を重く見た政府は同惑星に宇宙軍を派遣することを決定。
その中には、かつてバクテリアンを退けた超時空戦闘機ビックバイパーと、そのパイロットである特別大佐ジェイムス・バートンの姿があった。
登場人物
- ジェイムス・バートン - MSXグラディウスシリーズではお馴染みの主人公。リーク人のビックバイパーパイロットで階級は特別大佐。
- ガウディ - ビックバイパーに搭載されたAI。会話機能を持つ。 因みに約145年後に開発されるビックバイパーの後継機ヴィクセンにも搭載されている。「サーベルタイガー」・「スラッシャー」(考古学及び古代文字解析特化型コンピュータ「アレックス」を搭載)などの一部の特殊任務用機を除いてバイパーシリーズに標準装備の可能性もあり、その場合ビックバイパーT301のコンピュータもガウディの可能性も存在する。
- ヴェノム博士 - 宇宙科学技術庁長官にしてビックバイパー・メタリオンの開発者。出撃直前のジェイムスに半ば恫喝の形でアンティクトンのバイオコンピューターを破壊するように言ってくるのだが……?
自機
3タイプのビックバイパーから1タイプ選ぶ方式で、シールド枠も各タイプごとに決定されている。特定の条件を満たすとメタリオンが2タイプまで解放され、5タイプとなる。
- タイプA・万能型
ミサイル・ダブル・レーザー・シールドと、初代グラディウスからの伝統装備。対地対空共にそこそこのポテンシャルを秘め、どんな戦況にも対応できる。
- タイプB・広範囲攻撃
2ウェイ・テイルガン・リップル・フォースフィールドとグラディウスIIの4番装備から採用。攻撃力は低いが上下左右に攻撃でき、初心者向けとされる。
- タイプC・攻撃力重視
スプレッドボム・バーティカル・ツインレーザー・シールドとグラディウスⅢを意識した装備(完全一致のものは確認できず)。攻撃力の高いものが揃うが攻撃範囲は広くはなく、自ら敵に迫って当てに行くことを要求される上級者向けと位置付けられる。
- タイプD・試作型
メタリオンのプロトタイプの一つで、ビックバイパーの後継機としての運用を目標に開発中。メタリオンらしい純白のボディで、ナパームミサイル・ダブル・アップレーザー・シールドとそちら由来の装備が揃う。このタイプのみグラディウス2のメタリオンの再現のためにオプションが2つしか付けられない他、対地性能は最高クラスな一方で正面にはノーマルショットしか撃てない変わった機体。また、とある面では上方への攻撃性能が仇となる。
- タイプE・初心者向け
同じくメタリオンのプロトタイプで、経験の浅いパイロットでも戦果を挙げられることを目標に開発中。見た目はどちらかというとソーラーアサルトのアルピニアに似ている。装備は2ウェイ・Vショット・ベクトルレーザー・フォースフィールドだが、2ウェイの性能はタイプBと異なり沙羅曼蛇タイプで、ベクトルレーザーも地形を貫通する効果が付く。性能自体は看板に偽りなしであり、前に攻撃できなくなるVショットを除けば楽に雑魚を殲滅できるが、実は特定の面との相性が致命的なまでに悪かったり。
ステージ
ステージ構成はリメイク元であるネメシスのものを踏襲している。後述の通り3周エンドであり、各ステージの地形も3パターン存在する。
ステージ1・火山
シリーズ恒例の火山地帯だが、冒頭に2機1組の気象兵器が存在し、それをどのように破壊したかによって内容が変わる。
気象兵器を破壊しないと初代グラディウスやネメシスのような通常の火山地帯になり、前哨戦も火山の噴火となる。
上の赤い気象兵器を先に壊すと爆発と共に風景が白い雪原へと変わる。道中は変わらないが前哨戦がゴドレイに率いられるアイアンメイデン(地形に沿って移動し、最後に自機に突撃してくる傘型の敵)となる。ゴドレイらは右側の山頂を突き破って登場しており、これはグラディウスⅢで没になったネタである。
下の白い気象兵器を先に壊すと爆発と共に風景が赤く染まり、道中から火山が噴火するようになる。前哨戦はスクロールが止まっての長い噴火のまま変わらない。
BGMはFC版グラディウスIIの3面前半・火山地帯より「Heavy Blow」。原曲に忠実な明るいアレンジで、1面に相応しいと言えるだろう。
ボスは今までと少し形状が異なるビッグコア。登場前に極太の4連レーザーで地形を粉々にする。このレーザーは自機に当たることはなく、戦う時は今までと変わりない。
ステージ2・細胞
細胞に侵食されたグラディウス2最終面といった趣のステージ。
前半はFC版グラディウスIIのように細胞が増殖して地形が変化する。ショットで一時的に切り開いて進むことが出来るが、ミサイル系やベクトルレーザーでは破壊できないので注意。
後半には飛んできて地形に吸着する細胞群を避けながら、上下に動く棒の境目を破壊して進む地帯があり、リバースでは珍しくショットを撃つと処理落ちする。因みにこの細胞群は全てカプセルを出す仕様。
BGMはグラディウス2最終面の曲「Moonspin」。沙羅曼蛇MSX版や沙羅曼蛇2でも「Last Exit」として登場している。
前哨戦はネメシス同様カプセルが出ないザブラッシュ。よく見ると彼らも細胞に侵食されている。
ボスは同じくネメシスより登場のクロウラーだが細部の形状が異なり、クロスする触手や中心の目玉などゴーファーの野望エピソードⅡ2面ボスのハンス・ノーティーの要素を持つ(ちなみにアップデートでボス曲がそちらと同じになった)。目玉を口のように変形させて弾をばらまいたり、2本の爪を伸ばして貫きや地形揺らしを仕掛けてくる。目玉の変形と触手開閉のタイミングがズレるため攻撃の通らない時間が多く、地味に厄介な相手。
ステージ3・モアイ
同じく恒例の無限スクロールのモアイ地帯。
前半はお約束のエリアであり怒りモアイも出てこないが、後半は点対称に並んで回転するモアイが登場する。
BGMはネメシスⅡの1面前半より「The ruins」。ダークで神秘的なイメージの曲。
前哨戦はグラディウス外伝ボスのように周囲を回転しながら攻撃してくるモアイ群。一定時間の間は撃破しても新しく登場する。
ボスは額にオレンジ色のコアを持つ、その名もモアイ・オーブ。モアイ自体は背景として登場し、コアからビームを連射してきた後、そのコアが手前に飛び出して乱反射する。
乱反射している間は攻撃が通るようになるが、地面にぶつかると稲妻(当たり判定なし)と共に通常モアイが召喚され、攻撃が激しくなる。因みに壁にはグラディウス2の巨像惑星と同じ石像が使われている。また、オーブが登場するシーンと乱反射時の動きはネメシスの3面前哨戦のオマージュ。
ステージ4・骨
ネメシス4面とPCエンジン版グラディウス5面の骨ステージを合体させたような砂漠ステージ。
恐竜の骨に攻撃を当てたり青カプセルを取ったりすると、肋骨が砕けて破壊不能の破片が飛び散るので、迂闊にミサイルやダブルを撃てない。ネメシス4面風の障害物も厄介。途中からムカデ状の生物が沙羅曼蛇3面のプロミネンスさながらに高速で移動するが、こちらは撃破可能。
BGMはFC版グラII最終面の細胞ステージより「Something ghostly」。イントロにコーラスが付いたゴシックホラー風味のアレンジがステージの雰囲気によく合っている。
前哨戦はPCEグラ5面と同じく頭蓋骨が青い炎を吐く。
ボスはビッグコア・デュオ。1面と同じ姿に見えるが2層構造になっており、最初の姿で撃破しても爆発せずに飛び去り、裏返った黒と赤の面で戻ってくる。こちらの面になると遮蔽版も復活し、変形して6連レーザーや太いレーザーの壁で追い詰めてくる。
エクストラステージ
2面と4面の特定の場所から行けるストーンヘンジ地帯。例によってスコアアップ用の黄色いカプセルや、自機1UP用の緑のカプセルが存在。最初に行けるエリアは破壊可能地形が増殖する。ここを通るとボスを素通りできる。
BGMはMSX版グラディウスと同じもの。ちなみに周回によって行ける場所が変わる。
ステージ5・要塞
惑星アンティクトン地下にあるバクテリアンの要塞。4面で倒した黒ビッグコアがアンティクトンに墜落して再度爆発し、それによって出来た割れ目から突入する(アプデ後に追加された演出)。
要塞ステージらしく地形が複雑で地上ザコが多い。前半には上下に移動するコンベア地帯が存在する。
定番の中間要塞はMSX版沙羅曼蛇の青細胞ステージに登場するエニグマ。大量のビッグコア状のコアが並んだ壁が、上下に移動しながら弾を撃ってきたり突撃してきたりする。開いているコアによって3段階に分かれており長丁場必至、かつ最初の突撃で確実にシールドが全消費させられ、その状態で遮蔽版の撃ち返しを受けることになるのでかなりキツイ。登場直前にのみ入り込める安地が存在し、時間切れでまとめて爆散する。
後半には壁に張り付いてビームを撃つ敵やフォーメーションを組んで移動するトリプル電磁線、ボス前の小さなシャッターが存在。
BGMはMSX版沙羅曼蛇のバッドエンド曲「Departure Again」がまさかの道中に採用。後述のアップデート後はエニグマ前の前半がゴーファーの野望エピソードⅡの9面曲「Cosmic Heroes」になる。今回は要塞ステージということでイントロから盛り上がるアレンジに。
ラスボスはバイオコンピュータ。額に三つ目が生えたブレインといった見た目。上下から大量のオプションハンターをばら撒いてくるが、どうせ躱せないしボス本体は無防備、何より周回には関係ないので気にせず行こう。因みに恒例の口上は沙羅曼蛇2のゲームオーバー時のボイスの引用というコアなネタだったり。
因みに各面のボスBGMはネメシスⅡのラスボス曲「Last Evil」。変拍子がふんだんに使われている。アップデート後のクロウラー、ビッグコア・デュオ裏面、エニグマはゴーファーの野望エピソードⅡの「Fighter Blood」に変更された。
余談
グラディウスシリーズの中ではやたらネタが多く、ウェポンセレクト後のデモからいきなりWiiのニュースチャンネルが始まりコナミのMSX作品のネタが出てくる。
周回時にはもはや公式が病気な会話があるのだが、3周目をクリアすると、今作品の真相が明らかになる。
しかもニュースチャンネルの形で終わる。
以下は試作型メタリオンのプレイ動画。
バージョンが二種類あり、前期版とBGM追加等の更新版が配信された。こちらの取得は無料。
アンティクトンとは『反地球』を意味し、かつて地球の裏側に居続けるとされた仮想の天体の名前である。惑星グラディウスの世界では実在する星らしく、タイトルデモや5面空中戦ではその惑星アンティクトンの姿が映し出されるが、その姿は完全に月である。ちなみに月に瓜二つの星が映し出されるのは沙羅曼蛇2にも前例がある。
スタッフロール曲は実はグラディウスの没曲だったりする。正式に採用されたのはこれが初だが、その後登場したPCエンジンmini版の「グラディウス near ARCADE」で同じくEDに使われたことはある(PCE通常版はパロディウスだ!EDのアレンジ)。
その他にも、敵弾が地形に当たって消えるときにエフェクトが入る、冒頭のSTARTの文字がその場で入力されるように出てくるなど細かな小ネタが満載。
関連動画
BGM集
関連タグ
グラディウス ネメシス(コナミ) グラディウス2 ビックバイパー メタリオン Wiiウェア
魂斗羅 ドラキュラ伝説(悪魔城ドラキュラ)……ReBirthシリーズ三部作で他にリメイクされたもの。いずれも旧作のらしさを詰め込んだプレイ感や、マニアックかつ一ひねりあるストーリー・小ネタ・BGMチョイスが特徴的。