※『救急戦隊ゴーゴーファイブ』に登場する同名のメカについては別記事を参照。
概要
2006年に週刊少年サンデーにて第3・4合併号から第11号に掛けて連載していた漫画作品。
著者は吉田正紀氏。メカデザインは松田未来氏が担当。
鉄道以外の交通手段が存在しない「鉄道世界」を舞台にライナー(列車乗り)の頂点である英雄的存在「グランドライナー」に憧れる運び屋ライナーの少年・アルが鉄道世界に隠された真実を知り、世界を取り巻く巨悪に立ち向かう物語。
短期での連載であったために結末は所謂「俺たちの戦いはこれからだEND」で、本編全7話と短い物語である。本作品を執筆するうえで吉田氏は単行本巻末のおまけ漫画にて「自分の力不足を痛感した。」と語っている。
しかし、本作品で描かれる「鉄道世界」は他の鉄道を題材にした作品(銀河鉄道モノや変形ロボットモノなどは除く)にはあまり見られないロマンを感じられるものとなっている。
現在、幾つかの電子書籍サイトにて販売中。
世界観・用語
- ライナー(列車乗り)
個人で 機関車や気動車等の鉄道車両を保有し、貨物や旅客の運輸を生業とする鉄道世界を象徴する職業。
都市間を走る際はユーラシア鉄道にレール使用料金を払ってダイヤグラムを設定してもらい、定刻以内に目的地に到着しなければならず、定刻を越えると超過料金を取られてしまう。
- エーデン国
物語の舞台となる国。
アルは首都である鉱山都市ファールンに暮らしている。
最近、ファールンで高性能車両の製造に必要な希少金属「モリブデン」の鉱脈が見つかったため、国の更なる発展が見込まれている。
ファールン以外にマールとレクサンドという都市が登場している。
- ユーラシア鉄道
大昔に起きた戦争によって地形が荒れ、分断しまった国や都市に鉄路を敷き、再び世界各地を繋いだ巨大な 鉄道会社。
鉄道の管理運営の他、国境の管理や世界共通の法律の制定・行使、自社保有の警備隊による治安維持と犯罪者の逮捕・処罰を行っており、国家以上の力を持つ組織となっている。
彼らユーラシア鉄道の真の目的は世界を意のままに管理する事であり、その目的の障害になる、もしくは今後脅威になりえる国は工作員を使って犯罪国家に仕立て上げ、国際法に則った方法で標的となる国を潰し、支配下に置いている。
- グランドライナー
ユーラシア鉄道に活躍と功績が認められることで与えられる称号で、その称号を持つ者は世界で7人しかいないとされている。
高性能で強力な武装を持つ新幹線の様な超高速列車を与えられる他、レール使用料が無料になる上に優先ダイヤを取得でき、一般ライナーでは禁止されている国境を越えた運行ができる権利が得られる。
ユーラシア鉄道に500万の乗車料金を支払う事で客として乗車でき、グランドライナーに乗って本来禁止されている国境を越える事ができる。一般人には到底手が届かない金額であるため、グランドライナーに乗って外国へ渡るのは夢のまた夢といった事である。
一般人や一般ライナー達にとってまさに英雄的存在であるが、その正体はユーラシア鉄道の精鋭部隊を乗せた特殊武装列車であり、世間一般で広められている英雄像や活躍のほとんどはユーラシア鉄道によって捏造されたものである。
- ギルティライナー
ユーラシア鉄道が定める法を破り、鉄道上で違法・犯罪行為を行う者達の総称。
単純な悪人の他、何らかの理由でユーラシア鉄道に追われる身となった者、そしてユーラシア鉄道に反旗を翻すレジスタンスなども存在する。
その中でも「7大ギルティライナー」という世間的に悪名高い者達が存在し、作中では「紅の暁号」と「白銀の月光号」の二つが登場。
- エタルニア
国王にしてグランドライナーの一人・エタルダスが治める世界最高水準の技術力を保有する国。
自国の技術を世界に広げるため国の資産と技術をユーラシア鉄道に寄付、その功績を称えられてエタルダスはグランドライナーとなった・・・と言われているが、実際はユーラシア鉄道が世界を管理する事に異を唱えて反抗意識を持ち、それによりユーラシア鉄道によって滅ぼされ、占領された国家の一つ。
現在は兵器の試射を行うための実験場にされている。
登場人物
エーデン国
- アルゲマイネ(アル)
本作の主人公である小型ライナーの運び屋の少年。
ライナーの頂点であるグランドライナーに強い憧れを持ち、グランドライナーとなるため日々仕事に励んでいる。
幼少の頃、社会のルールを破ってでも世界の真実を見るために自身と母を置いて旅立ち、その結果、元々身体が弱かった母が過労死する原因となった父を強く憎んでおり、そのため社会のルールを守らない者を嫌い、その最たる例であるギルティライナーには嫌悪感を抱いている。
ユーラシア鉄道が定めるルールを守り、真面目に働けばいつかはグランドライナーになれると信じ、運び屋として一生懸命働く日々を送るが、ギルティライナーに追われていた謎の少女・マヤと出逢った日を境に鉄道世界の裏に隠された真実に直面する事となる・・・。
- ユージニアス(ユージィ)
アルの親友である小型ライナーの運び屋である少年。
グランドライナーに憧れているが、献身的なアルとは異なり、美女やセレブにモテたいという理由でグランドライナーを目指している。
実家は首都ファールンにあるパン屋で、母親からライナーではなくパン屋を継ぐように迫られている。
- ライナ
フランツと共にライナー稼業をしているポニーテールの女性。
- フランツ
ライナと共にライナー稼業をしているくせ毛の男性。
- パティ
フォールンの列車庫でよく合うオールバックヘアの女性。
- ルビー
フォールンの列車庫でよく合う左目が前髪で隠れた女性。
- ルシオ
フォールンの列車庫でよく合う短髪の男性。
- アイゼル
フォールンの列車庫でよく合う髭を蓄えたライナーの男性。
秘蔵の品として手榴弾をもっている。
- レデル公王
エーデン国国王の男性。
モリブデン鉱脈発見により活気づくフォールン列車庫に秘書官ハミルと赴き、フォールンのライナー達の貨物とレール使用料金を奢る。前日にギルティライナー退治に貢献したアルを一目置いている。
- ハミル
レデル公王の秘書官であるメガネをかけた女性で、ユージィが惚れるほどの美人な人物。
紅の暁号
- 列車長
「紅の暁号」の乗組員を率いる男。
グランドライナー無断乗車と密入国の罪によりガリエンに処刑されそうになった男性の前に現れて処刑を阻止、優れた剣術でガリエンと渡り合った。
詳細の多くは謎に包まれ、本名すら本編中では明かされていないが、服装と髪型はハミルがエタルニアについて語るコマで後姿のみ描かれたエタルニアの国王・エタルダスに酷似する。果たして本人なのかどうかは作者の吉田氏のみが知る・・・。
- マヤ
ゴロツキギルティライナーに追われていた所をアルに助けられたロングヘアの少女。
その正体は紅の暁号のメンバーの一人で、エーデン国制圧を目論むユーラシア鉄道の動向を探るための先遣隊として派遣され、無線機(と資金)を現地調達するためゴロツキギルティライナーを唆して無線機(と資金)を盗み、逃げる際にアルが乗る車両に偶然飛び移ってしまう。
ゴロツキギルティライナーから逃げ延びたあと、自らの正体を伏せたままアルの配達を手伝い、そのままアルの自宅で一泊、紅の暁号に無線で連絡した後、感謝の置手紙を残しアルの家から姿を消す。
ユーラシア鉄道
- ガリエン
ユーラシア鉄道警備隊の大佐であるスキンヘッドの男性。
筋肉質で大柄な体格と高い身体能力を持ち、見かけに反し素早い剣術を駆使する。
グランドライナーの無断乗車と密入国の罪、そしてグランドライナーの正体などの真実を知った密入国者の男性をその場で処刑しようとした所に紅の暁号列車長の介入を受け、密入国者を取り逃してしまう。
その後は予てより計画されていたエーデン国制圧を実行に移し、捏造した罪をエーデン国に突き付け、犯罪者の温床として首都ファールンを包囲、砲撃を命令する。
これまで何度も国家解体に関わっていたらしく、「国つぶし」の異名を持っている。
- バルカ
ユーラシア鉄道警備隊の特務隊員であるポニーテールの女性。
真実を知り、絶望に打ちひしがれる者の表情を見るのを好み、その悪趣味さにガリエンも流石に引いている。
国家ぐるみで犯罪を行っていたとして公正にエーデン国を強制執行し、国を取り壊せるようある人物に変装、半年かけて証拠となる偽札の原版と製造現場を用意し、捏造工作を行った。
登場車両
一般ライナー
- モト・ライナー
アルが運転するサイドカー付きバイクの様な小型車両。
運転席とサイドカーの間にロボットアームが取り付けられており、これを上手く活用する事で線路が無い場所を走るなど通常の車両ではできない挙動をする事ができる。
- モト・ラート
ユージィが運転するハーフトラックの様な小型車両。
ギルティライナー
- 紅の暁号
7大ギルティライナーの一つに属する紅い列車。
編成はテンダー式蒸気機関車の様な外見をした機関車1両と主砲・副砲などを備えた車両8両の計9両。
作中で披露された武装は機関車正面に内蔵するリボルバー砲から発射して正面の列車を粉砕するドリルミサイルと3両目に格納するガントレットを一撃で破壊できる威力を持つ主砲、そして機関車両側に格納する3本指の1対のロボットアーム「アイゼン・ファウスト」。アイゼン・ファウストに関してはガリエン達の反応からして今回のエーデン国制圧阻止戦が初披露であるもよう。
強固な装甲を持ち、ガントレットの副砲二門による砲撃を正面から受けても弾く事ができ、エタルニア号のレールガンの直撃を受けても防ぎきる事ができる。
- 白銀の月光号
7大ギルティライナーの一つに属する列車。
エタルニア号の無数のマイクロミサイルによって破壊され、爆散する様子だけで正確な全体像は不明。
- ゴロツキギルティライナーの武装列車
マヤが盗んだ無線機と資金の元々の持ち主であるゴロツキギルティライナー達が乗る武装列車。
2両編成で前後上部のハッチに機関銃計2個、連結部上部に主砲1門を備える。
マヤを乗せて逃げるアルの車両を追うが、その果てで落石に衝突、主砲でアル達を撃とうとするが、エタルニア号のマイクロミサイル1発によって破壊されてしまう。
ユーラシア鉄道警備隊
- ガントレット
ユーラシア鉄道警備隊の主力兵器である装甲列車。
先頭・最後尾車両に1門、中間車両に2門の二連式主砲、先頭・最後尾車両正面に副砲2門、全車両両側に二連式機関砲を2基ずつと、列車全体に多くの武装を装備する。
作中での活躍はいわゆる量産型のザコメカという扱いで、物語開始から最後まで登場した列車全てが紅の暁号相手に歯が立たず、悉く破壊されている。
- 警備隊の列車
ガリエンが当初乗っていた前後にガトリングガンを備えた機関車が牽引する列車。
グランドライナー
- エタルニア号
7大ギルティライナーの一つ「白銀の月光号」を討伐した功績を持つグランドライナー5号列車。6両編成。
エタルニアの国王・エタルダスが運行し、貧しい国へ無償で物資の運輸を行っているため儲けは全然なく、そのため他のグランドライナーとは異なりオプション無しのシンプルな見た目である。グランドライナーの特権を自分の力を見せつけるためではなく人助けのために行使するその姿にアルは強い憧れを持ち、グランドライナーの中でも一番好きな存在となっている。
・・・しかし、上記の用語の項目でも触れたとおりその英雄像は全てユーラシア鉄道が作り上げた虚像であり、この列車にエタルダスは乗ってはいない。
これまで2度紅の暁号と接敵し、破壊された経歴があり、今回のエタルニア号は3台目であり、武装面、装甲面で強化改修が図られている。
武装は前後先頭車両に新武装である二連式レールガン1門、2号車・5号車に2基の大型ミサイルユニットと8門のマイクロミサイル発射口を備える。中間にはエリート戦闘員を乗せる車両を2両連結している。
- グランドライナー4号
詳細不明。
- グランドライナー2号
正面に8連式ミサイルポッドと両側にミサイル発射口4問を装備。
- グランドライナー6号
先頭車両両側にブレードを備える。
- グランドライナー3号
全体像は不明だが、ユージィ曰く金色の車体で先頭車両にドリルを備えているらしい。
- 番号不明
4号列車と並走する眼のような模様を持つ列車。
- グランドライナー8号
単行本ブックカバー右側折り目に1部分だけ描かれている本編未登場の列車。
編成、武装、全体像は不明でカラーリングは紫。
車体に記された「Ⅷ」という番号と、背景が工場のような場所である事から新たにロールアウトされたグランドライナーだという事が窺える。
車両の手前にはバルカとエタルニア号の運転をしていた女性隊員が立っている。