概要
インド・ヨーロッパ語族の語派(サブグループ)の一つ。
ケルト人と総称される人々が伝統的に用いてきた言語が含まれ、主にグレートブリテン島、アイルランド島、ブルターニュ半島及びその周辺の島々で用いられている。とはいってもこれら地域のほとんどでは英語やフランス語が優勢となっており、ケルト語派に属する言語は少数言語となっている。
かつては現在のフランスで話されていたとされるガリア語をはじめヨーロッパ大陸部で広く用いられていたものの、ローマ帝国の隆盛やゲルマン人の進出によって多くがイタリック語派やゲルマン語派に取って代わられた。もっとも現在でもロンドンやパリのようにケルト諸語に由来する地名はヨーロッパに多数分布しており、その痕跡を辿る事はある程度可能である。
下位分類
現存する言語は大きくゲール語とブリソン諸語に二分される。ただし古代の大陸ヨーロッパではこれらの分類に当てはまらない言語も幾つか記録されており、これらは「大陸ケルト語」としてひとくくりにされる事がしばしばある。
ゲール語
別名Qケルト語。主にアイルランド島、マン島及びスコットランド北西部のハイランド地方に分布している。
このうちアイルランド島で用いられているものはアイルランド語とも呼ばれ、特にアイルランド共和国では第一公用語として義務教育が実施されたり公共の標識や放送に用いられるなどしている。
またスコットランドやマン島でも地元のゲール語の公的使用が認められており、例えばスコットランド議会ではスコットランド・ゲール語での演説や公文書作成が行われている。
なおマン島語は1970年に最後の母語話者が亡くなっているものの、それ以前から学術的復興や学校教育などが行われ続けていた結果、第二言語話者は現在でも存続している。
ブリソン諸語
別名Pケルト語。かつてはグレートブリテン島南部で広く用いられており、現在でもウェールズ公用語のウェールズ語(カムリ語)とフランス・ブルターニュ半島西部(バス=ブルターニュ)のブルトン語(ブレイス語)は数十万単位のまとまった話者を擁している。
一方イングランドの言語は18世紀までにほぼ消滅したものの、このうち南西部コーンウォール地方で話されていたコーンウォール語については人為的な復興運動が進められている。