一つだけ教えてあげよう。
サンジェルマンという個人が死のうとも、サンジェルマンという思想が潰える事はない……絶対にな。
初出 新約12巻
概要
不老不死伝説の怪人「サンジェルマン伯爵」を名乗る人物。複合商業ビル「ダイヤノイド」に潜り込み『藍花悦』や上条当麻と接触する。
本人は魔術の神・「魔神」どころか「魔術師」とも異なる第三の存在「サンジェルマン」を自称している。
シャンボール
炭素を操る術式、彼がダイヤの瑕を治したという伝承に由来する。
資材がカーボンのダイヤノイドとは相性が良く、作中では部屋の一部を殺傷力の高い槍に変え、ダイヤノイドのドアを固着させて客を閉じ込めたりと非常に幅広い活用がされた。また、炭素で有機物を操作し「植物細胞で構成された生物兵器」を生む事も可能。
正体
過去から現在まで流布されるサンジェルマンという伝説、人から人へ感染する思想そのもの。それがサンジェルマンである。数多あるサンジェルマンの伝説だがほぼ全てが眉唾もの、サンジェルマンという伝説の魔術師の存在の真偽関係なく他者がフリーパスの様に名乗るなどしてサンジェルマン伯爵を演じる。
オティヌス曰く「サンジェルマンの伝説は確かに有名だ。魔術サイドはおろか、そこからはみ出て一般社会にまで浸透しかねないほどに。そこらの魔術師を捕まえて有名人を挙げてみろと質問すれば、一〇本指が埋まる頃にはローゼンクロイツだのメイザースだのと並んで必ずサンジェルマンの名前が出てくる。それくらいのランクだよ」
彼が語る出自や術式、弁解の全てが演技であり嘘なのでいつサンジェルマンという思想が発生したかすら怪しい。
僧正曰く「あれは、どんなに位相を差し込んで黄金色の世界を作り出しても、いずれどこかに湧いて出てくるウィルスに近い存在じゃった。お得意の自家生産憎悪で話も聞かぬし。わしらが直接介入してやっても良かったが、何分、力が強過ぎる。世界を吹き飛ばしては意味がないしのう。」
数多いる個体の中で金髪の女性が目立っているのは『藍花悦』に接触する為にフレンダに似た容姿の個体が選ばれた為のかもしれない。
作中での活躍
上条の前に現れ魔神を名乗り彼をシャンボールで警告をした上で彼らを含む客や従業員などをダイヤノイドに閉じ込める。他のサンジェルマン達で脱出を試みる麦野達を足止め、その隙に『藍花悦』にフレンダの死の真相を教え復讐の為に霊装アンの盾を使用させようと目論む。本来伝承にこの様な盾はないのだが霊装としては機能する。
つまり能力者の副作用を意図的に引き起こして、上条の性質を変質させる、これが彼らの真の狙いである(操っている学生も能力者なので実は傷だらけ)。しかしその前に浜面仕上が現れ自分こそが仇だと述べ注意を引き、ダイヤノイドに保管されていたフレンダの『遺産』を見せる事で『藍花悦』の復讐心が消え去りサンジェルマンの目論見は失敗に終わった。
何故サンジェルマンが今回の騒動を引き起こしたか作中ですら不明であり、上条曰く「一見大仰に考えているように見えて、実は何も考えてない。それがサンジェルマンの正体だ。」との事なので考えるだけ無駄である。
- 弱毒性サンジェルマンウィルス
木原唯一が理想送りを使うためだけに自身に使用した認識詐称ウィルス。サンジェルマンが「感染」に使っていた丸薬を回収し、グリフォンドライバーにて独自のアレンジを加えつつ培養。上里の腕を奪った後、自分に縫い付けてその力は自分のものであると脳に誤認識させた。
- リバースでは
新約22巻リバースでも登場。こちらは木原唯一が使っていたものではなく、イギリス側が回収し幽閉していた強毒性のオリジナル。アンナ=シュプレンゲルの手によって解放されたが、すぐに食べられてしまった。彼女曰く100年前より「質が落ちた」らしい。
???『頭脳侵食細菌を取り込んでおいて、出てくる感想はそれだけかね。お嬢』
創約
※以下ネタバレ注意
創約でも登場。『暗部』との戦いを終えた上条当麻らの前に現れたアンナ=シュプレンゲルが、口移しの形で上条の体内にサンジェルマンウィルスを侵入させた。
このサンジェルマンにはアンナが直接手を加えており、もはや軍用型と呼べるほど劇症化。学園都市の科学技術でも外の魔術でも、上条当麻の幻想殺しでも治せない猛毒と化していた。
以降、じわじわと上条当麻を体内から苦しめる事になる。
幻想殺しは効いていない訳ではなく、一応消去には成功しているらしい。しかしそれは命の先延ばしに過ぎず、幻想殺しの処理能力を越えて少しずつ上条当麻の体を破壊している。
たびたび上条が鼻血や吐血するのは「能力者が魔術を使用した際の副作用」で、体内のサンジェルマンが宿主の肉体を使って魔力を精製しているから。
アンナが解毒の方法を知っているだろうという希望に縋って、美琴と食蜂が上条当麻の元へ向かう彼女を追跡・対峙するも敗北、ここまでかと思われたその時。
上条当麻が現れた。
実は戦場へ向かう時、いや病院にいた時からずっと上条は己の内に潜むサンジェルマンに話し掛けており、協力を求めていたのだ。
サンジェルマン伯爵。
魔術サイドの中でも謎の多い存在で、今もなお目撃談がある伝説の魔術師。古き魔術結社『薔薇十字』との関連も囁かれた不老不死。
しかし魔術師であった以上、胸に刻んだ魔法名があり、魔術の道に走ってでも果たしたい目的があったはず。
『夢を与えたかった。現実の利益や魔術師としての名声ではない。ただ街中に現れて、ちょっとした余興で皆を驚かせて、それだけあれば十分だったんだよ。嘘から始まった技術を誰かが追いかけて、いつの日か夢見た以上の偉業を成し遂げる誰かが現れるきっかけとなれば』
実際にはその通りにならず、誰も彼もがサンジェルマンに縋りついていった。引くに引けなくなった魔術師はいずれ自らの肉体を捨てる羽目になり、今の形となった。
「だったらやれよ、サンジェルマン」
「人に夢を与える魔術を使いたかったんだろ。子供の涙を止めて、いがみ合う大人を笑顔にして、凝り固まった老人の考えを柔和にほぐして、ただそれだけを極めたかったんだろ。……だったら今がその時だ。迷う必要なんか一個もねえ、これはお前の人生だ。魔術師を名乗るのなら、よそ見なんかするんじゃあねえ。俺の体なんかくれてやる、ここらで一丁自分で決めた道を徹底的に極めてみろよサンジェルマン!!」
上条当麻を蝕むサンジェルマン。サンジェルマンを削り取る幻想殺し。
相性は最悪。
しかし。
「やりたい事を言ってみろ」
「俺の体で叶えてやる、だから今さら恥ずかしがってんじゃあねえよ!! そんな姿になってもこの世界にしがみついているって事は、未練たらたらで忘れられないんだろ。だったら言ってみろ、言え!! 叶えるならここだ!!」
『夢を守りたい。この世界に、挫折や諦念の涙なんかいらない!!』
それはとある魔術師が実現した、可能性の光。
万人の夢を守る力。
一人の少年が右手の拳で見えざる大顎を砕き、血にまみれた左手から放った魔術の光で天使の翼を弾き飛ばした瞬間であった。
上条サンジェルマン
※名称ははいむら氏の原案ラフより。
「サンジェルマン、任せた!!」
『構わないが、交互にラリーを続ければ寿命を削るぞ。返す!!』
まさかの魔術師・上条当麻の誕生である。
と言っても上条当麻とサンジェルマンの相性は非常に悪く、魔術を使うたびに副作用で上条は消耗していき、右腕を迂回して魔力精製しているのでサンジェルマンは万全の魔術を振るえない。
それ故、状況に応じて二面性を切り替えて戦う。その際相手の名前を呼んだり、「頼む」『返す』などの合図を送る。
通常の右手一つの上条より出来る事が多く、炭素を操って作ったダイヤモンドの武器や道具で攻撃と防御を行う。さらにサンジェルマンの知識を借りる事で相手の魔術を分析できるため、右手の幻想殺しと合わせて中々強力な状態……デメリットを除けば、だが。
この状態の上条の体には粘菌と音楽記号を掛け合わせたような痣が表出する。
関連タグ
とある魔術の禁書目録 魔術師(とあるシリーズ) 魔神(とある魔術の禁書目録) アンナ=シュプレンゲル 薔薇十字(とある魔術の禁書目録) 上条当麻