概要
はじめて書籍にまとめられたソードワールドRPGリプレイ。
「盗賊たちの狂想曲(ラプソディ)」「モンスターたちの交響曲(シンフォニー)」「終わりなき即興曲(トッカータ)」の3巻構成で、リプレイ完結後の彼らを描いたソード・ワールド短編集「スチャラカ冒険隊、南へ」も出版されている。
基本的には「プレイングのお手本」になるようなシナリオが多い。初心者でも楽しめることをPRすべく、参加プレイヤーは経験の浅い人が多かった。
「スチャラカ冒険隊」の愛称は、劇中でアリシアンが口にした「だから、モンスターの孤児院を慰問に来たスチャラカ冒険隊よ(笑)」という冗談から。
物語
6人組の駆け出し冒険者が西部諸国(テン・チルドレン)を舞台にふらふらと旅する。特に大きな目的がないため、行き先はケッチャがその時の気分で決める事が多い。訪問先では色々と“活躍”し、中には再訪が難しくなってしまった街も。
ソード・ワールドの世界設定がほぼゼロの状態でスタートしており、話が進むごとに世界が広がっていく様子が楽しめる。
キャラクター(PC)
ザボ=ン(ザボ)
人間の男で専業戦士。ケッチャにベタ惚れで、「お嬢様」と呼んでつき従っている。ケッチャからもらったリボンをいつも髪に結んでいる(ケッチャの中の人によるザボのキャラクターシートへのいたずら描きが由来)。武器コレクターな一面あり。地頭は良いが、残念なことに活かす方法(技能)を知らない。ちなみに、プレイヤーは女性だった。名前の由来は「朱欒(ざぼん)」。
ケッチャ
古代語魔法を操るワガママな人間のお嬢様。吟遊詩人の両親に「お前は貴族の出なのだよ」と吹き込まれ、そういうものだと思って育った。「夜更かしは美容に悪い」など、やたら「美容」にこだわる。1ゾロ(自動的失敗)を出すタイミングは神がかり的(例:料理判定で1ゾロ→「料理の腕は壊滅的」設定爆誕)。使い魔は黒猫の「ザザ」。名前の由来はケチャ。
ユージィ・マヌエル(ユズ)
やたら体格のいい人間の女の子。本職は吟遊詩人兼盗賊なのだが、成長過程で迷走し、最終的には下手な男戦士より強い筋力を活かすべくファイター技能も学び始めた。その女の子らしくない大柄な体格や筋力にコンプレックスを持っている。バレンシア・O・マヌエルという双子の姉がいる。名前はザボに合わせて柑橘系から柚子をチョイス。姉はバレンシアオレンジ。
ソードワールドリプレイにありがちな「最大の筋力保持者は女性キャラ」というパターンを作ったキャラだと言える。
ディーボ・レンワン
ドワーフの男で、マイリーの神官戦士。出身は鉱山の街ゴーバで、銀細工が得意。パーティ内ではザボとの付き合いが一番長く、経験も豊富で、縁の下の力持ち的な頼れる存在。ただしプレイヤーはネタ発言多め。名前の由来はワンレン・ボディコン。
ケイン・クレンス
エルフの少年で、精霊使い。タラント出身。趣味は風の精霊魔法「ウィンドボイス」を使用しての盗み聞き。土の精霊魔法「スネア」をやたら使いたがり、父・カールとは挨拶代わりに「スネア」と「ホールド」をかけ合う。パーティのボケ担当で、エルフのくせに「性格はグラスランナー」と(GMに)いわれてしまうレベル。道化師のような衣装が特徴で、猫のポシェットを愛用している。
アリシアン
人間の母親に育てられたハーフエルフで、勝ち気な女の子。盗賊兼賢者で、パーティの頭脳労働担当。南国ガルガライスの風習で、基本的に露出度が高い服装を好む。そのためか、作中では何かと読者サービスシーンが多かった。ケインとは良いコンビで、なにかと弄り倒して遊んでいる。
キャラクター(NPC)
リュキアン・ラジール
リファールを治める王女。GM山本弘が入れ込んでいる。19歳。劇中ではザボとのロマンスがあった。
ジェライラ・フェレス
リファール騎士団で唯一の女性騎士。リュキアン姫の護衛であり親友でもある。恋人のルバートは鎧職人。
怪盗ナイトウインド
魔法使いの家で研鑽を積んだ女盗賊、22歳。本名は「シャルミナ」。容姿がケッチャに瓜二つ。ふとももに蝶のタトゥーがある。ドS、ダバールが裏切ると某ラムちゃんのように電撃攻撃でお仕置きする。「ナイトシェード」(SFCやPCのシナリオ及びそのノベライズ「死せる神の島」に登場)という同業の妹がいる。
ダバール
人間の男、25歳。ナイトウィンドの相棒。腕は確かなのだが色事にだらしなく、浮気が発覚するとお仕置きされる。
フォルク・ブリード
リファールの隣国「ラバン」を治める有能でハンサムな若き王。ただし女にはだらしがなく、なんとなれば実力行使も汚い手段も厭わない。両手に余るほどの隠し子がいると専らの噂。劇中では策謀を用いてリュキアンを嫁にしようとしたが、スチャラカ冒険隊に邪魔された。
ライヴェル
デルヴァの森に隠れ住む女司祭。信仰する神はかなりのマイナー神で、自然崇拝に近い。一風変わった子供たちを育てており、そのことでファリスの神官達と対立してしまう。
“地下王”ドルコン
盗賊都市ドレックノールのシーフギルドを束ねるギルドマスターであり、ドレックノールの事実上の支配者。劇中ではアリシアンが奇跡を起こして大変な目に遭った。
“姿なき暗殺者”シャドーニードル
その姿を誰も見たことがないという凄腕の暗殺者で、細い針のようなダガーを用いることから「シャドーニードル」の名で知られる。その正体は16歳になるドルコンの娘で、本名は「レアン」。劇中では「奇襲を6ゾロ(自動的成功)で看破される」「クロスボウがクリティカルして昏倒」など、ダイス運に見放され気味。スチャラカ冒険隊との出会いを経て暗殺者をやめ、ギルドから逃亡中。幼少時からあらゆる毒を投与され続けた結果、毒への完全な耐性を持つ。反面、定期的に毒を摂取し続けなければ生きられないという特異体質になってしまった。
“無用者”ジャール
レアンの従者。人間の男、26歳。異様に背が低く、醜く、頭も回らないことから「無用者」と蔑まれる。唯一自分を人間扱いしてくれるレアンを慕い、彼女のために尽くし続けるけなげな男。
下位魔神グルネル
ケインの田舎の村で悪事を働いていた。
他作品とのコラボレーション
「子どもたちはくじけない」
アリシアンとケインが「子どもたちは眠れない」(短編集「マンドレイクの館」収録)の主人公・ユーマと冒険する。(作:友野詳。「スチャラカ冒険隊、南へ」収録)
「プロミジー急転!―ソード・ワールドRPGアドベンチャー〈4〉」
読者投稿でスチャラカ冒険隊とナイトブレイカーズの共演が実現。ユズとレイハが腕相撲で対決する。「モンスターたちの交響曲(シンフォニー)」の舞台「デルヴァの森」も重要な場所として登場し、ユズがデルヴァの森のことを歌いあげるシーンもある。
「マンドレイクの館」
暗殺者時代のレアンが主人公の短編。彼女の体質の秘密と、彼女が背負わされた哀しい宿命を描く。(作:山本弘。短編集「マンドレイクの館」表題作)
「ジェライラの鎧」
ジェライラの過去の物語。ジェライラがリュキアンやルバートと出会ってからリプレイが始まる前までのエピソードを描く。(作:山本弘。短編集「レプラコーンの涙」収録)
「ナイトウィンドの影」
シャルミナがナイトウィンドを名乗るきっかけの物語。ラバンの好色王フォルク・ブリードと対決する。(作:山本弘。短編集「ナイトウィンドの影」表題作)
「ソード・ワールドSFC2いにしえの巨人伝説」
レイドで、寝込んでしまったレアンの為にジャールから薬草集めを依頼されるイベント(シナリオ19)が発生。
ベルダインでは自由人パルマーの眠る地下墓地でアーヴェル一行が窮地に陥り、脱出した主人公がスチャラカメンバーを連れて助けに行くイベント(シナリオ20)が発生。
いずれも時系列的にはリプレイ終了後の話になる。(スーパーファミコン用ソフト)
「自由人の歎き(下)」
上記SFC2のノベライズ。こちらではパーミアがスチャラカ冒険隊を連れて地下墓地に入る。(ノベル。作:白井英)
「世界の壁の果て」
『ソードワールドRPG人気パーティシナリオ集』として、表題作のシナリオに挑むサンプルパーティとして登場している。
ソード・ワールドリプレイ
スチャラカ冒険隊→スチャラカ2