概要
古谷三敏が週刊少年サンデー(小学館)で1970年43号から1982年30号にかけて連載していたギャグ漫画。
何をやらせてもダメな中年男・雨野ダメ助、通称『ダメおやじ』が妻のオニババこと冬子、息子のタコ坊、そして娘の雪子に虐待されまくると言う、父権の低下する時代を先取りした過激なギャグ漫画であった。古谷は「奥さんと子供が父親をいじめる作品、受け入れられるのかなあ」と不安だったが、赤塚不二夫は「どうせやるんなら徹底的にやっちまえ!!」とけしかけた。
連載10年目を迎える頃には現実社会で家庭内暴力が問題化するようになり、時代に追いつかれてしまった。
古谷が妻から「まだ連載してたの?」と言われたこともあり、ダメおやじが山小屋の管理人になるが挫折、大会社の社長に抜擢されて成功、「ユートピアの実現」を任され『ユートピアとは何か?』を考えて放浪の末、山村でスナックを営むという展開の末大団円を迎えるなど、新展開となる。後年の古谷が得意とする薀蓄漫画の原型ともいうべき作風に変化した(『BARレモン・ハート』のマスターやメガネさんも登場)。
元々は約2ヶ月の集中連載の予定であったが、結果的には約12年に及ぶロングラン連載となった。
赤塚は『徹子の部屋』などで、連載が始まった当初、古谷はフジオ・プロダクションのメインのネタ出しスタッフで、古谷をアイデア会議に出席させるため赤塚が代筆していたが、人気が出たのは古谷が本格的に描くようになって以降と語っている。
連載4年目で古谷が独立し、赤塚のネタ出しに関与しなくなったことも、後の薀蓄漫画への転換のきっかけになった。
主な登場キャラクター
個別記事を参照。
個別記事を参照。
雨野タコ坊(CV:雷門ケン坊、演:佐野伸寿)
ダメ助の息子。小学生。
ダメ助によく似ている。ゆえにダメ助を自分の身代わりに小学校に行かせた事があった。
雨野雪子(CV:猪瀬明子→長沢和子)
ダメ助の娘。女子大生。
外見はいいが性格は救いようがない。
ダメ助の転職後は姿を消している。
実写版には登場していない。
雨野イカ太郎
ダメ助の息子で原作の途中から登場。
乳児でありながらクールで狡賢い。
アニメにも最終回に登場しており、その回のキーマンとなっている。
ロクベエ(CV:薮内英喜)
原作の中盤とアニメに登場した、人間語を話す犬。
ダメ助の話し相手になってくれているほか、アニメ版ではダメ助を励ましている。
テレビアニメ
1974年4月2日から10月9日まで東京12チャンネル(現・テレビ東京)でアニメが放送された。また、ほぼ同時期に中京テレビ(日本テレビ系列局だが、テレビ愛知が開局するまでは東京12チャンネルと結構仲が良かった)と朝日放送(放送当時TBS系列局)でも、比較的近い時期にはテレビ山梨(TBS系列局)、山陰中央テレビ(フジテレビ系列局)でも、それぞれ放送されている。また、東京12チャンネルと時期は異なるが北海道放送(TBS系列局、ただし途中打ち切り)や福島中央テレビや静岡第一テレビ(いずれも日本テレビ系列局)や石川テレビ(フジテレビ系列局)でも放送されたことがある。
アニメーション制作はナック。
なお、東京12チャンネル史上、初めて放送された日本製テレビアニメ作品でもある。
実写映画
1973年11月に松竹系の映画館で上映された。野村芳太郎監督。
主人公の名前は「雨野大助」に変更されている。また、原作やアニメで雨野家は一軒家暮らしだが、映画では団地暮らしとなっている。
1980年代にビデオが発売されたのを最後にソフト化されず幻の作品となっていたが、2012年にDVDが発売された。
公共広告機構のCM
1979年には前述のように家庭内暴力が問題となる中で公共広告機構(現:ACジャパン)のCMキャラクターに抜擢された。
冬子(CV:此島愛子)がタコ坊に罵詈雑言を浴びせ、ナレーションの岸田森に『ぶッかれ*ダン』のダン・アイ子と比較されるという内容。テーマは「言葉は、凶器になる」で新聞広告ではダメ助も冬子に相槌を打っている。
翌1980年には新聞広告のみで続編「言葉は、励みになる」、「お父さんは、ケチじゃないッ」が掲載された。こちらでは冬子がタコ坊を励まし、ダメ助は欲しいものをねだるタコ坊に頑なに「ダメだ」と告げるという時には甘やかさないことも大事というテーマになっている。