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概要編集

ウル市の都市神で、エキシュヌガル神殿に祀られていた月の神。

ラピスラズリを生やした老神であり、有翼の雄牛に乗った姿で造形された。


シンボルは開いた側を上に向け、水平に書かれた三日月

捧げられたジグラットの名はエ・テメン・ニグル。


アッカド語名は「シン」でシュメール語名は「ナンナ(ナンナル)」「スエン」、または合わせて「ナンナ・スエン」。シンの名はスエンのアッカド語における発音である。

また、彼を象徴する数字である30にディンギル印(神であることを示す決定詞)をつけることで表されることもある。


アッカドのシンとシュメールのナンナはもともと別の神であったが、アッカド王朝がアッカドとシュメールを統一した時代に習合が進んだ。


家族関係編集

大気の神エンリルと妻ニンリルとの間に生まれた息子。

妻はニンガル(ニッカル)で、彼の子供には太陽神ウトゥシャマシュ)と豊穣の女神イナンナイシュタル)、冥府の女神エレシュキガル(アラトゥ)がいる。


以上はシュメール系の系譜で、アッカド系では天神アンに相当するアヌの息子の一人であり、シュメールでは父とされるエンリルに相当するエッリル、そしてイシュタル、エレシュキガルとは兄弟にあたる。


新バビロニア時代のハラン市では、火の神ヌスクもシンの息子とされ、共に盛んに信仰されていた。


神徳編集

「智慧の主」「神々の父」「神々の長」「万物の造り手」などの称号で呼ばれた。

月の運行を司るとされた彼の「智慧」は、占星術天文学と繋がりを持った。

神話においては天体についての学問だけでなく智謀にも優れる神として登場する。


天体占いなどにおける役割編集

天体占いでは月食は凶兆とされ、シンがセベットゥ(後のアッシリア地方である、スバル(スバルトゥ)の7柱の神)と戦うために起きるとされた。


また、月は太陽よりも重視されており、天体観測記録であるムル・アピン粘土板においては、太陽や各惑星は「月の道を旅する」と記述されている。


シンによる呪い編集

病の治癒に関わる一面も持ち、治癒儀礼の中でシンに言及するものもある反面、呪いにより、人間にサハルシュブー(サハル・シュブ・バ:塵覆いの意)という皮膚が赤と黄色に変色する病をもたらすとされた。

忌み病であったのか、ギルガメシュ叙事詩第12書板中では、冥界においてはこの病の者は、都市の壁の外で暮らすという記述がある。


シンに関わり合いのある人物の例編集

ナラム・シン王(ナラム・スエン、BC2254~2218)

アッカド王朝4代王で王朝の創立者サルゴン大王(BC2334~2279)の孫。

名前は「シン神に愛されし者」という意味で、彼の治世にアッカド王朝の版図は最大に達した。

また、初めて「四方世界の王」という称号を名乗り、自らを神格化した王である。


エンヘドゥアンナ王女

サルゴン大王の娘、多くの神殿讃歌などの文学作品を残し、人類初の女性作家とも言われる。

シンの女性祭司(エントゥ)であり、彼女以降、ナボニドゥスの娘エンニガルディアンナまでの1800年に近い期間、若干の中断はあるが、王の娘がシンの女性祭司となる伝統が続いた。


ナボニドゥス王(BC555~539)

新バビロニア(カルデア)王朝6代王。

名前は「ナブー神を讃えよ」の意味で、熱心なシン信者であった母の影響を受け、主神であるマルドゥクよりもシンを重視して深く信仰していた。

そのためマルドゥク神官団やバビロニア人の反発を買ったと言われる。


創作での扱い編集

女神転生シリーズ』の夜魔などが所属する、アルカナ「月」のペルソナとして登場。

なお、外伝作を含めシリーズを通して悪魔として登場したことは一度も無い。


関連タグ編集

メソポタミア神話


他の神話の月を司る男神

月読尊日本神話

チャンドラ月天インド神話

コンスエジプト神話

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