全身は左上の手配書のような風貌。
概要
頭部や体の一部をサイボーグ化させた人間2人組。
本作の賞金首としては珍しい、序盤から姿を見せる割に主人公の旅先で何度も顔を合わせては戦闘にならず、終盤になってやっと戦いを挑むことの出来る相手。賞金首としてはシリーズ初の憎めない悪役としてのキャラクターでもあり、独特の言い回しは荒廃した世界におけるある種の清涼剤。
やってる悪事は基本的にみみっちくてセコいのばかり、グラップラー連中と比べたら可愛いものである。
邂逅
1回目
ゲームスタートしてまもない頃に訪れることになる「エルニニョの町」。小物ボスのメンドーザに支配されてなにやらヤバイ雰囲気になっているこの町だが、ハンターオフィスにはあまり似つかわしくない雰囲気の2人組の姿が。
オトピチ
「あにき〜 なんかいってるよ こいつ!」
ステピチ
「ミーたちのしょうきん! やすすぎるザンス!
ハトバの村あたりで ひとあばれするザンス!
あんた ミーたちのなまえを よーく おぼえとけザンス!
ミーたちは ピチピチブラザース
しじょうさいきょうの だいあくとうきょうだいザンス」
悪党として賞金首になり名を上げるつもりだったらしく、本人たちの目論見どおりめでたく(?)賞金首ポスターが張られたはいいものの、ポスターをよく見るとその賞金はたったの500G。
こんな金額では、たとえば48ミリ砲(大砲としては下から数えて2番目の代物)も買えません。
確かに周囲を脅かしていたスナザメの半額(オリジナル版)と考えれば⋯という言い訳さえ通らないほどであり、賞金首として手配されるボーダーの最低ラインの軽犯罪を行ったに過ぎないことが窺える。
こうして主人公へ名前を教えた奇妙な2人組はエルニニョを後にした。
ちなみにオリジナル版の科白内では「ピチピチブラザース」となっているが、記事の書き間違いではなく作中の表記そのままであることを記しておく。
2回目
次に彼らが活動をしていたのは、ステピチが言う通りのハトバの村だった。そこで行った悪事は、なんとハンターオフィスのスタッフを拉致して、⋯同じ街中の建物の地下室に放り込んだだけであった。
そして本人たちとしてはこれでひとしきり悪事をはたらいたつもりらしく、意気揚々とわざわざ自分たちの賞金首ポスターを確認するためだけにエルニニョのハンターオフィスへ戻ったのである。
「ハトバの村の ハンターオフィスを おそったのに
しょうきんが すこししか あがらないザンス!
もっと ハデな あくじを はたらかないと
グラップラーに みとめて もらえないザンス!
あんた ミーたちのなまえを よーく おぼえとけザンス!
ミーたちは ピチピチブラザース
しじょうさいきょうの だいあくとうきょうだいザンス」
これにより賞金は1000Gへアップ。2倍になったよ、やったね!
なおオトピチの科白は前回と一緒。しかも今後も変化がない。
ちなみに1回目の邂逅をスルーして、先にハトバでハンターオフィスのスタッフを助けた場合、1回目の邂逅イベントは省略される。
そのため、このタイミングで初めて彼らと出会うケースを考え、自己紹介をあらためて行っている。
3回目
続いて向かった彼らは酒場サースティにいた。
「うるさいザンス。酒でも のんでろザンス!
ミーの おごりザンス! はなしは ショーのあとザンス」
酒場でのショータイムが終わった後、彼らは改めて宣言する。
「ミーたちは ワルざんす!
うっかり ちかよると ケガするざんすよっ!」
ちなみに店の裏手ではスリにあったという男が嘆いているが、どうやらこれが彼らの行ったハデな悪事らしい。
おかげで賞金は2000Gへアップ。周囲の賞金首と比べると賞金額は圧倒的に置いていかれつつある。
幕間
主人公たちがスカンクスを倒したと聞くと、どうやら本格的にバイアス・グラップラーに取り入るための活動を始めたらしい。
スカンクスを倒したのが主人公であることを突き止めて、それを報告するFAXを送ったのである。
「そんけいする テッドブロイラーさま
おなかまの スカンクスさまを たおしたハンターの 名前を
命がけで やっとのおもいで つきとめたザンス
◯◯とかいう わかぞうで オツムのわるそうな男ザンス
テッドブロイラーさまなら まんがいちにも
だいじょうぶと おもうザンスが いちおう お気をつけ くださいザンス
あなたのしもべ ピチピチブラザースより
あらあら かしこ ザンス」
ところが宛て先を間違えた。届いたのは主人公の自宅の無線ポストであった⋯。
ちなみにグラップラー四天王からすれば、こんな情報はとっくに入手済み。取り入るにもそのスケールをまったく理解できていなかった。
4回目
グラップラーへの報告ついでにデルタ・リオの町にある転送装置に彼らはいた。
「ユーたちの うわさは きいてるザンス
ずいぶん かつやくしてるそうザンスね——!
ユーたちは ピチピチブラザースを たおせないザンス!
なぜなら!
にげるザンス! オトピチ!」
転送装置からまさかの逃亡。賞金は4000Gに上がったが、彼らの噂のほうはロクに聞かない。
5回目
次に出会ったのはかなり先のデスクルス。
「ユーたちの レベルじゃ まだまだザンスねェ!
これなら ミーたちの らくしょうザンス!
戦えるひを たのしみに しているザンス!」
ついに彼らが腹を括った。
しかし賞金は8000G。いったいどれだけのハンターが、この賞金目当てに戦おうと思うだろうか?
6回目
最終決戦へ向かうための最後の拠点・メルトタウンでも彼らは平常運転であった。
自分たちの指名手配ポスターを引きちぎって行ってしまう。目撃者によるとその動機は
「賞金が安過ぎる」
流石に本人たちもわかってた。
だけれども彼らの足取りは誰も聞かされていない。グラップラーに取り入ろうとしていた彼らだったが、これまでの所業を見ればまさかバイアス・シティにいるはずもない。
しかし、住民からこの町の命綱と聞かされた浄水場の様子を試しに見に行った主人公一行が、ついにピチピチブラザーズの姿を捉えた。
「ついに ミーたちと どちらが しじょう最強か
きめるひが きたザンスね!
いまなら にげても おわないザンスよ
にげるザンスか?」
なにやら本人たち的にはクライマックスの戦いのつもりらしい。しかし浄水場の片隅にある倉庫でこんなテンションになられても困る。ちなみにここで逃げる選択をすると本当に放置してくれる。
ちなみにこの浄水場は最近調子が悪いらしいが、もちろん彼らは一切関わっていない。
ここまでくると、ある意味かわいそうになってくるのだが、戦っても利益はたかが知れているどころか、プロテクターを壊されれば賞金をもらっても最悪赤字にさえなりうる。
そんな彼らをどうするか? 戦うなり見捨てるなりお好きにどうぞ。
戦闘
連係プレーを意識した科白を言いながら攻撃してくるのが大きな特徴の一つ。ぜひ戦闘メッセージつきのモードBをオススメしたい。両者プロテクタ装備なのでこれを壊すか、プロテクタ無視の濃縮メチルなどを用意しておくといい。
ステピチは指示を中心に立ち回り、科白量も多い。
- 「◯◯は ミーに まかせるざんす! ユーは △△を ねらうざんす!」と言いながらの単体攻撃。
- 2人でこちら1人を集中狙いして潰す思考がないあたり悪に徹しきれない人柄が見て取れる。なお実際にステピチは科白どおりの相手を狙ってくるが、オトピチは指示を聞いてない。
- 「まいったざんす! こいつら いがいに 強いざんすーっ!」と言いながらの単体攻撃。
- どうやらグラップラー四天王を倒してきた主人公たちを完全にナメていたらしい。
- 「オトピチ! しっかり するざんすっ!」と言いながらオトピチへビンタを食らわせ、活を入れて攻撃力にバフを入れてくる。
- 何をしたかと思えば、しぶといオトピチにバフが入るので大変危険。
- 「えーい! これでも くらうざんすーっ!」と言いながらの全体ナパーム弾。
- ダメージが通ると「燃え」状態にされる可能性がある。後述のオトピチによるサポートがあるため、見た目以上に警戒が必要。
オトピチは攻撃と回復を中心に動いてくるうえ、かなりしぶとい。
- 「くたばりやがれー!」と言いながらの単体攻撃。
- ここでやっと科白にバリエーションが出た。
- 手榴弾を投げつけての全体攻撃。プロテクタを一気に破壊してくる。
- ガソリンを全員へ撒き散らす。ステピチのナパーム弾による「燃え」状態のスリップダメージを60程度に増加させるので、ステピチが生きていると危険な攻撃に。
- これ自体はダメージがないのが救い。何度も撒き散らしてくるなど効率の良くない傾向も強い。
- 「あにきー! しっかりしてくれよー!」と言いながら、ステピチの肩を揉んでHPを100前後回復させる。守備力が高いため、この回復量は結構脅威。
- 満タンドリンクを飲んでの自身のHP全回復。これを2度も使用してくる。行動のブレがあるらしく、場合によっては飲む前に死ぬ。
ここまで読めば大方予想がつくと思うが、彼らは相当強い。生身で戦う相手としてはかつてない苦戦を強いられるだろう。
「まいったざんす! こいつら いがいに 強いざんすーっ!」とはこっちが言いたいぐらいであり、特にプロテクタを剝がされれば全体120や単体500といった被害を出してくる。特に単体攻撃が1人に集中するとハンターやメカニックは下手すれば簡単に沈められる。
よしんば相手のプロテクタを破壊してもなお守備力が硬いので、戦闘レベルの低いハンターやメカニックは普通の武器で攻撃するぐらいなら濃縮メチルを投げるなりポチボンベで回復させるなりの方向で動いたほうがまだ役にたつ。
8000Gという賞金額だけを見てナメてかかったプレイヤーをこれでもかと喰っている賞金額詐欺であり、感覚がマヒしているプレイヤーに対しておたずね者の賞金とは強さではなく悪事の大きさであるというよく考えれば当たり前の事実を冷静に気づかせた存在。
それも多少強いとかいうのではなく、これまでの人間戦賞金首とは異なり、ドーピング・タブで攻撃力にバフをかけないとまともに戦えない強敵。ここから先で戦うことになるテッドブロイラーにも同じ事が言える。彼らを前にして途方に暮れているようでは絶対に倒せないだろう。
しかし、戦車も持たずに凶暴なモンスターが跋扈するアシッドキャニオンをその身一つで旅をしてきたわけで、強さにはちゃんと裏づけがあったりする。この強さも含めた個性が気に入っているプレイヤーもいるとか。
彼らと戦うことによる実利はほぼない。勝利という名の勲章か、あるいは賞金首全撃破の通過点か、あるいは最終決戦へのデモンストレーションか。もし戦いになるなら、ほとんどはプレイヤーが自発的に「戦おう」とすること自体を動機とするであろう。
余談だが、レンタルタンクの利用経験がある。まだレンタルタンクの利用経験が浅いうちにエルニニョのレンタルタンク屋の店のカウンター内に入ってコンピュータを調べると251ゴールドという利用額が判明する。ちなみに利用者は、普段相方を引っ張っているステピチではなく、いつも同じ科白を喋ってばかりだったオトピチのほうである。
なお、上記のようなキャラクターなので、他のRPGであれば倒した後にお茶を濁して逃げたり、悪党から足を洗ったりするオチが待っていることだろう。
しかし本シリーズでそんな甘っちょろい運命は待っていない。
悪事らしい悪事をはたらいていない憎めない悪役だったが、容赦なく死ぬのである。
関連グッズにあるピチピチブラザーズの手配書に書かれている賞金条件も「DEAD ONLY」。
ハンターもハンターオフィスも容赦ない。
余談
メルトタウンにおけるポスター引きちぎり事件は、実はゲーム開始直後の時点ですでに行っている。
一見すると主人公との決戦前に賞金を確かめた際にポスターを破ったようにも見えるのだが、エルニニョでの初対面よりも前の段階で行っていることになる。つまり、彼らはこの辺で軽い悪さをして、下手すると500Gよりも低い賞金からスタートした可能性さえ浮かんでくる。
案外、彼らの悪事はこのメルトタウンがスタートだったのかもしれない。
『2』発売当時の予約特典小冊子に掲載された、山本貴嗣氏によるステピチのデザイン画は別案のようで、衣装やポーズが異なっていた。
オトピチのほうのデザイン画には戦闘がサイドビューという仕様から、グラップラーとのポーズかぶりを懸念する書き込みがある。