概要
『ダンジョンに出会いを求めるのは間違っているだろうか』の登場人物である、ベル・クラネルとリュー・リオンのカップリング。
リューの種族であるエルフは他者との肌の接触を嫌う傾向が強く、リューもその例に漏れずいきなり他人に触られそうになったら反射的に攻撃をしてしまう癖を持つのだが、かつてアリーゼから「もし、あんたの手を握れる男がいたらそれが運命の相手だから絶対逃がしちゃだめよ」と言われていたこともあって、手を握られても平気だったベルを気にするようになる。
しかし、ベルは自分の恩人であるシルの想い人でもあったので、当初リューは彼女の恋心を応援して、自身は一歩引いた立ち位置から二人のことを見守るつもりだったのだが、ベルの力になる為に何度も彼と行動を共にするにつれて、自分でも気づかない内にベルに惹かれていくことになる。
ちなみに、ベルとリューは「優しい」「正義感が強い」「真面目」「不器用」と性質が非常に似ており、二人とも自分の損得に関係なく人助けの為に奔走することがよくある。ドラマCD『時を渡る道化師』では、リューの主神であるアストレアも「貴方たちは似ている」と評していた。
ベルがLv.4になって以降は二人で肩を並べて戦うことが増えて、現在では事実上冒険者としてのパートナーの様な関係となっており、作中では幾つもの冒険を共に乗り越えている。
作中の主な出来事
出会い
二人の出会いは、リューが働く酒場『豊穣の女主人』にベルが来たことから始まり、シルを通してベルの人柄を知る内に好感を抱き、彼と親しくなっていく。また、リリに盗まれた《ヘスティア・ナイフ》を奪還してベルに返した際に、感極まった彼に手を握られるが、内心でリューはベルの手を払えのけなかった自分に驚嘆を隠せなかった。
迷宮の楽園(アンダー・リゾート)で
ダンジョン中層の「安全階層(セーフティポイント)」である『迷宮の楽園(アンダー・リゾート)』で水浴びをしていたリューだが、そこでベルに水浴びを覗かれるというハプニングに見舞われる(もっとも、故意に覗いたわけではないのですぐに許したが)。
その後、ベルに仲間達の墓標の前で自身の過去を打ち明けると同時に、ベルに手を握られても振り払わなかった自分に驚いていたことを教える。また、これまでのベルの行動を見てきたリューは彼に対して
________「クラネルさん、貴方は優しい」
________「貴方は、尊敬に値するヒューマンだ」
と淡い笑みを浮かべながら伝える。そんなリューの笑みにベルは、顔を真っ赤にして見惚れるのだった。
グラン・カジノでの騒動
クロニクルシリーズでは、最大賭博場(グラン・カジノ)の強欲なオーナーに捕らわれてしまった街娘アンナ・クレーズを助けるために、シルと共に潜入することになるが、潜入の為に用意された招聘状には夫妻一組となっていたので、リューは夫役を演じる為に男装する羽目になってしまう。
アンナの救出には無事成功したものの、リューの凛々しい姿を見た彼女からは完全に男だと思われてしまい、最後には告白までされそうになる始末。男装していたとはいえ、男だと間違われたことには少なからずショックを受けるリューだったが、丁度同じタイミングでモルド達に誘われてグラン・カジノに来ていたベルと遭遇する。
ベルに「自分は女性らしくないか?」と無意識に質問をするリューに対して、たどたどしいながらもベルは「いつかドレス姿のリューさんを見てみたいと思うくらい綺麗な女性と思っています」と言い放つ。そんなベルの言葉に機嫌を取り戻したリューは、彼を自身の日課である朝稽古に誘い、ベルも喜んでこれを了承。以降、二人は『豊穣の女主人』の中庭で時折稽古をするようになる。
本屋巡り
特典SS『本屋デート?』では、本屋巡りをして英雄譚をかき集めている最中のベルに偶然出会ったリューは、彼の買い物に付き合うことにする。目当ての英雄譚をおおよそ買い集めた後に、リューがあまり英雄譚を読んだことがないと知ったベルは、彼女の頼みもあって自分が知っている英雄譚の内容をリューに教える。ベルが大好きな英雄譚を子供のような目をしながら語る姿を見たリューは、無意識の内に「私は……英雄譚を語るときの貴方が、好きなようです」と答えるなど、この時間に心地よさを覚えるのだった。
深層でのサバイバル
『闇派閥』の生き残りであるジュラ・ハルマーの暴挙によって、階層を移動するモンスター『ワーム・ウェール』に飲み込まれ、ダンジョン深層37階層へ落ちてしまったベルとリュー。二人とも既に重傷を負っている中で、深層に生息するモンスターやイレギュラーモンスター『ジャガーノート』の追撃から逃がれながら深層脱出を試みる。
ダンジョンをさ迷う中で、モンスターが無限に生まれ続けるフロア『闘技場(コロシアム)』へと辿り着くが、ここでリューは自身を犠牲にしてベルだけを逃がそうとする。ベルを欺き一度は引き離す事に成功するが、彼がリューを見捨てて逃げるなどするはずもなく、彼女を救うべく戻ってきたベルは爆発作用のあるアイテム『火炎石』の威力をスキル【英雄願望】の効果で強化して、『闘技場』を丸ごと吹き飛ばすという賭けに出る。
辛うじて生き延びた二人だったが咄嗟にリューを庇ったベルは瀕死の傷を負ってしまう。何故自分を助けに戻ったのかと糾弾するリューに、ベルは「あなたを死なせたくない」という純粋で簡潔な答えを放つ。ボロボロになった体で自分を背負いながら前に進み続けるベルの姿に、リューは溢れる涙が止まらなくなるのだった。また、これまでリューはベルのことを「クラネルさん」と呼んでいたのだが、この出来事でベルへの想いが強くなって以降は、彼のことを「ベル」と呼び捨てで呼ぶようになる。
奇しくも『闘技場』が崩壊したことで迷い込んだ『未開拓領域』が、モンスターの出現しない「安全階層(セーフティポイント)」だと気付いた二人は一時休息を取り、改めて共に地上に帰還することを誓い合う。ちなみにこの際、意識を失ったベルは水源に落ちてしまい、それを助けようとしたリューも水源に飛び込んだので、二人とも濡れた服を脱いで、裸で温めあうことになってしまった。
休息を終えて僅かながらも体力を取り戻し、再び地上への帰還を目指して行動を開始するベルとリュー。幸運にも『未開拓領域』を抜けてすぐに上層へ向かう為の正規ルートを発見するが、そこには他のモンスターを捕食し無理矢理稼働時間を延命したジャガーノートが待ち構えていた。
合成獣(キメラ)の如く喰らったモンスターの能力を使いベル達を追い詰めるジャガーノート。その圧倒的な力と過去のトラウマから遂に心が折れてしまったリューは、最後の願いとしてベルに抱きしめてもらうことを望み、ベルもこれを了承して彼女を抱きしめる。死が目前に迫っている中でありながらリューは、ベルと心が繋がっているこの瞬間を愛おしく思うのだった。
限界を迎えたリューを寝かせ、自身は残り僅かな力を使い切ることを決めたベルは、リューを守り抜く為に一人でジャガーノートに戦いを挑む。ジャガーノートもその意志を理解し、一人の雄と一匹の怪物は再び戦いを始める。
一方で、リューは夢の中でかつての仲間である【アストレア・ファミリア】のメンバーと再会する。彼女達に激励の言葉を送られて生きる気力と己の正義を完全に取り戻したリューもまた、ベルと共に生きて帰る為、そして自身の因縁に決着を着ける為に立ち上がり、ジャガーノートと戦うベルの隣へと並ぶ。そして、限界を超える戦いの果てにベルとリューは、遂にジャガーノートを打ち倒すことに成功するのだった。
力を使い果たして倒れてしまうベルとリューだったが、すんでのところで『異端児(ゼノス)』と仲間達の救援が間に合い、二人は無事地上に帰還することが出来た。
地上への帰還後
全てが終わり、ベルに笑顔を見せながら感謝を告げるリュー。
そんなリューの姿を見たベルは
________「今のリューさんの笑顔、凄く綺麗です」
________「え……?」
________「今迄よりも、もっと。あの時よりも、ずっと」
【アストレア・ファミリア】の墓標の前。
森と水晶に囲まれた日の記憶を深紅の瞳が辿る。
記憶に浸る少年は、無邪気な子供のように笑った。
________「リューさんがそんな風に笑えるようになって、良かった」
その言葉は白い雪のように純粋で。
あたかも自分のように喜んでくれていて。
そんな彼の顔を目にした時、リューは、自分の胸が跳ねたことを知覚する。
このベルの言葉でリューは、ついに彼に対して明確な好意を抱くようになるのだった。
以降リューはベルのことが絡むとポンコツ行動を起こす、恋するポンコツエルフと化す。以下に彼女の行動の例を挙げると
- ベルの顔をまともに見れなくなり、彼と目が合うと顔どころか身体ごと目線を逸らす。
- ベルから話し掛けられると一方的に会話して、すぐに離れようとする。
- ベルに後ろから声を掛けられたら、動揺のあまり手刀をお見舞いする。
- ベルに手を掴まれた途端、恥ずかしくなって思い切り地面に叩きつける。
- 気絶したベルをお姫様抱っこして逃走する(ベル・クラネル初のお姫様抱っこされる側)。
- ベルを介抱しようと回復魔法やら何やら色々試すが、最終的に膝枕に行き着く。
- Lv.7相当の怪人(クリーチャー)が目の前にいるというのに、ベルが近くにいると聞いた途端何もない所ですっ転ぶ。
と言った具合で、そのポンコツっぷりはとどまることを知らない。
『派閥大戦』にて
ベルに振られたことを受け入れなかったシルは、もう一つの貌である女神フレイヤとして暴走を開始する。フレイヤによってベルもリューも【フレイヤ・ファミリア】に捕らわれてしまうが、ヘルンの手引きもあって脱走に成功したリューはベルを救う為に【フレイヤ・ファミリア】の本拠内で暴れまわる。
敵の陣地内ということもあってすぐに追い詰められてしまうリューだったが、すんでのところでアイズに助けられて事なきを得る。しかし、ベルの身を案ずる彼女の姿を見て直感的に最強の恋敵だと悟ったのか、Lv.6のヘグニと対峙している最中だというのに状況も忘れて激しく取り乱すのだった。
その後、行われた『派閥大戦』では、ベルを手に入れる為に周囲はおろか自分自身すら傷つけるシルを救う為に、立ちはだかるオッタルにベルとリューは共に戦いを挑むことになる。その直前にリューは…
________「ベル。先に伝えておかなければならないことがある」
________「はい」
________「私は貴方が好きだ」
________「はい。……………………………………………………えっ?」
なんとリューは、シルと対等になる為にとベルに告白をする。
あまりにも唐突な告白に驚嘆するベルに構わず言葉を続けるリュー。
________「一人の男性として……私は貴方のことが好きです」
たたずむリューは少女のように顔をほころばせていた。
赤く染まらず、ただ白く、穏やかに。
________「これで公平だ。これで、シルの頬を叩ける」
自分の想いを告げたリューは一足先にオッタルの元に駆け出し、そんな彼女の姿を見て顔を真っ赤にしながら呆然としていたベルもすぐに我を取り戻し、リューの背中を追って駆け出すのだった。
【ヘスティア・ファミリア】に入団後
『派閥大戦』終了後リューは【ヘスティア・ファミリア】に入団することを決め、ベル達にも快く迎え入れられるが、表向きリューは深層の一件で死んだことになっており、ギルドから登録する冒険者名だけでも変えてくれと要望を受けたので、新たな冒険者名を考えることになる。
ふとベルを一瞥すると顔を赤らめながらリューは、ベルの姓である「リュー・クラネル」を思わず希望するが、当然ヘスティアがそんなの承認するわけもなく、思いっきりサンダルで頭を引っ叩かれることになった。本人は「神の名を拝借するのは畏れ多いから、団長の名を借りるべきでは」と苦しい言い訳をしたが、そんな嘘が通じるわけもなく大荒れとなる。
その後も、ベルを巡って修羅場が起きている最中に、空気を読まずベルに「『派閥大戦』の時にした告白の返事はまだか」と火に油を注ぐような発言をしたり、ベルに告白した姿がオラリオ中に中継されていたという事実に遅まきながら気づき、顔を真っ赤にしながら蹲って悶えたりと、相も変わらずベルのことになるとポンコツ行動を行っている。
しかし、『学区』の生徒であるニイナが『派閥体験(インターン)』でファミリアを訪れた頃には大分落ち着きを取り戻し、現時点ではベルが他の女性に想いを寄せていることを知っているので、あえてベルから告白の返事を聞くのを拒み、「もう少しだけ、貴方のことを好きでいたい」という理由からこれまで通りの関係を望む。ベルも複雑な感情を抱きつつも、リューのこの願いを承諾している。
ヒロイン力の高さ
リューは現状ヒロイン達の中で唯一ベルと肩を並べて戦う事が出来る存在なので、ヒロイン達の中でも出番と活躍が多いが、作中でベルとの間に起きた出来事を並べると
- 過酷極まる死線の中で、互いを支え合いながら進む
- ベルと裸で温めあう
- 涙を流しながらベルと抱きしめあう
- 自身のトラウマの象徴である『厄災』をベルと共に討伐する
- 自分たちの恩人であるシルを救う為に、都市最強の冒険者に共に戦いを挑む
- 本作のラスボスの一角との戦いの最中に、オラリオ中が見守る中でベルに告白する
など、やたらとヒロインっぽいイベントが起きている。
ちなみに「金髪長髪のエルフ」がベルの女性の好みなのだが、【フレイヤ・ファミリア】との『派閥大戦』の前に伸びた髪を【アストレア・ファミリア】時代と同じ金髪へと戻したので、外見もベルの好みドストライクとなった。
また、本編から七年前のオラリオ『暗黒期』の戦いが書かれた『アストレア・レコード』では、仲間達と共に【ヘラ・ファミリア】の元幹部にしてベルの伯母にあたるアルフィアと戦い、死闘の果てに彼女から希望と未来を託されていたことが判明するが、言い換えればリューはベルの家族から最後に認められた女性になったとも言える。
このようにリューは、立ち位置、出来事、外見と作中でも屈指のヒロイン力を有している。
人気
本作屈指の人気を誇るカップリングで、過去にBOOK☆WALKERで行われたカップリング人気投票と『メモリア・フレーゼ』で行われたタッグキャラ総選挙では、どちらもベルとリューの組み合わせで1位を取っている。
当初リューはヒロインというよりもベル達の力になってくれる助っ人という立ち位置の方が強かったにもかかわらずメインヒロイン達に勝利してしまうことからも、彼女の人気の高さが窺える。
妖精の枝史
ダンまち10周年企画にてweb版=理想郷譚プロトタイプが復刻連載され、同年アニメ4期深章 厄災篇Blu-ray特典短編にてweb版から文庫版化した際に改変される以前のリュー師範ストーリーの続編『妖精の枝史』が発表された。
本編14巻ベルとリューが結ばれ、花と花が触れて寄り添うような愛を「誰よりも何よりも」誓いあい、憧憬一途の話が終わり、第二部が開始しそうな引きで幕を下ろす。
詳細はリュー・リオン『妖精の枝史』へ。
枝史のベルは大人っぽい。そしてリューの微笑に幸福。『大人ベル推せる...』お姉さまがたのハートにぐっさり刺さった。
関連イラスト
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ジュラ・ハルマー:2人を深層に落とした間接的な元凶。だが見方を変えれば2人にとっての恋のキューピッドと捉えることもできる。もっとも、リューへの報復が永久に叶わなくなった彼からすれば、望まずしてこんな役目をあてがわれたことはたまらなく口惜しいに違いない。
キリサチ:中の人同士が同じカップリング。ネタバレになるが、こちらはキリトの方がリューの立場に近い。なぜなら、キリトの目の前でチームが彼を残して全滅してしまったのだから…