『ひれ伏しなさい』
注意
この項目では『ダンジョンに出会いを求めるのは間違っているだろうか』のフレイヤについて説明します。北欧神話においてはこちらを参照。
プロフィール
年齢 | 数億歳 |
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身長 | 170C |
種族 | 神 |
職業 | ファミリアの主神 |
所属 | フレイヤ・ファミリア |
CV | 日笠陽子 |
概要
オラリオ最強派閥の一角である【フレイヤ・ファミリア】の主神。容姿端麗な神々の中でもひときわ美しい容姿を持つ『美の女神』の一柱でもある。普段は『バベル』の最上階に住んでおり、そこからオラリオを見下ろして人々を眺めている。
外伝作品『ファミリアクロニクルepisodeフレイヤ』では主役を担っている。
神物像
容姿
銀の髪と瞳を持ち、その容姿は神々の中で最も美しいとも言われる。スタイルも抜群で、作中では完璧なプロポーションと称されている。炎を模した扇情的なドレスを着こみ、陶磁器の様な肢体から『美の神』特有の色香を放つ。
性格
我儘で自由奔放な性格をしており、食えない性格をしている者が多い『美の神』の中でも一際曲者。良くも悪くも我々の世界の神話に出てくるような女神らしい神格の持ち主で、作中では気に入ったからという理由で敗戦間近の王子に加勢し状況をひっくり返したり、愚かな理由で戦争をする国々を滅ぼすように仕向けたりと、祝福や破滅を気紛れにもたらしている。
気に入った眷族を手に入れる為なら実力行使も辞さないので他派閥との揉め事も多く、傲慢な女王の様な振る舞いもあってオラリオにいるほぼ全ての女神から嫌われているが、フレイヤ本人は一切意に介していない。
また、『美の神』は愛や情欲を司っていることもあって性に奔放で、目的の為なら自分の体を使うことにも躊躇いがなく、オラリオにいる殆どの男神とも関係を持っている。その為、女神とは逆に男神達からは熱烈に肩入れされており、フレイヤの『共鳴者(シンパ)』も大勢いる。
天界にいた頃から自分の隣に立つに相応しい『伴侶(オーズ)』を求めており、下界に降りてからは伴侶を見つける為に世界中を旅していたが、ある時ヘラとの抗争に敗れてしまい、負けたら『救界(マキア)』に協力するという契約をしていたので強制的にオラリオに縛られてしまう。このように半ば無理やり協力された経緯もあってダンジョン攻略にあまり真剣でなく、派閥の運営は基本眷族達に任せている。
現在も伴侶は求めており、発作的に伴侶探しの旅に出ることがよくあるが、その過程で素質がある者を見つけては、自分のファミリアにスカウトしている。ちなみに彼女の眷族は家族や環境に恵まれなかった者が多く、結果的にそんな境遇から自分を救い、居場所を与えてくれたフレイヤに眷族達は皆絶対の忠誠を誓っている。
幾つもの人間を見てきた彼女をして見た事がないほど綺麗で透き通った魂を持つベルを気に入り、彼が自身に相応しい英雄へと成長する事を望んでいる。その執着心は異常で、もしベルが死んでその魂が天界に還った場合は、二度と下界には降りれないのを承知で自身も天上まで追いかけようとする程。
神としての能力
『美の神』の『魅了』には、他者を『虜』にし自分の思うがままに操る事が出来る力があり、それに対抗できるのは貞潔を司る『処女神』だけ。しかし、フレイヤは『美の神』の中でも別格の権能の持ち主で、彼女の『魅了』に抗うことが出来るのは『処女神』の中でも高い権能をもつオリュンポスの三大処女神しかいない。
彼女の眷族たる【フレイヤ・ファミリア】が万軍を叩き潰すことが可能に対し、フレイヤは戦わずして万軍を掌握する事ができる『統制の魔女』と称されており、作中では自身の『魅了』を使って悪逆非道を行った軍隊を一人残らず自害させたこともある。
その気になれば下界の全てを掌握することも可能だが、フレイヤ自身は『魅了』を使って周囲を好き勝手にするのは己の品位を下げる行いだと思っているので、『魅了』を使うことは極力禁じている。自身の眷族達も『魅了』したわけではなく、フレイヤ自身の慈愛とカリスマ性に惹かれて忠誠を誓っているだけにすぎない。
また、人間の魂を見ることが出来るという能力を持っており、【フレイヤ・ファミリア】は彼女が美しいと認めた魂を持つ眷族のみで構成されている。ちなみに魂が美しければ美しい程高い資質を持っている傾向があるらしく、彼女のファミリアが精鋭揃いなのもこれが理由。
作中の動向
本編序盤にて偶然見掛けたベルを気に入り、彼を自分の眷族にするために暗躍する。ベルに試練として『シルバーバック』や『片角のミノタウロス』などのモンスターを仕向けたり、シル・フローヴァを通して『魔導書(グリモア)』を渡してベルに魔法を発現させるなど、ベルの成長を促した。
アポロン主催の『神の宴』ではオッタルを連れて訪れ、そこで初めてベルと直接対面し、彼の頬を撫でて「今夜、私に夢を見せてくれないかしら?」と口説くようなことを言ってヘスティアを怒らせている。
【ヘスティア・ファミリア】と【アポロン・ファミリア】の『戦争遊戯(ウォーゲーム)』が決まった際は、ベルを狙うアポロンに対して制裁を加えることも考えたが、これもベルの試練の一環になると考えてあえて静観する。もっとも、密かに助力はしており、『神会』で『戦争遊戯』の勝負形式を決める際は、ヘスティアに助け舟を出して助っ人の参戦を認めさせたり、シルを通して『身代わりの首飾り』をベルに渡すなど、【ヘスティア・ファミリア】の勝利に陰ながら貢献した。
自分を敵視しているイシュタルが、自分への嫌がらせの為にベルを狙っている事実を知った時は、【フレイヤ・ファミリア】を総動員させる形で【イシュタル・ファミリア】を攻め滅ぼし、主神のイシュタルも自らの手で制裁を下して彼女を天界へ送還させた。なお、この際に『人造迷宮クノッソス』の扉を開けるのに必要な『鍵』である『ダイダロス・オーブ』の一つを入手している。
『異端児(ゼノス)』を巡る騒動では、ヘルメスから騒動の事情について事細かく説明された上で、不介入と『ダイダロス・オーブ』の提供を要求される。この要求とヘルメスの神意を自分にとって都合が良いと考えて、彼からの要求を素直に呑んで『ダイダロス・オーブ』は提供するも、退出していったヘルメスに対し、「全部わかったつもりでいて、ベルに足を掬われないようにね?」と予言めいた発言をしている。
また、ヘルメスの情報とオッタルの反応から、『異端児』の一体であるアステリオスの正体が、かつて自分がベルの試練の相手として仕向けた『片角のミノタウロス』の生まれ変わりであることにも感づいたらしく、再び彼をベルの試練の相手として戦わせるようにとオッタル達に指示を出す。そしてベルとアステリオスの再戦が始まった際は、眷族達に他の冒険者達の横槍が入らないよう命じ、自分は恍惚しながら二人の戦いを見届けた。
『異端児』を巡る騒動が終結してベルがLv.4になってからは、自分が彼に興味を抱いていることを周囲の神々にも隠さないようになる。ちなみに『神会』でベルの新たな二つ名を決める際は、戯れ半分で【美神の伴侶(ヴァナディース・オーズ)】を候補として提案し、ヘスティアの怒りを買っている。
関連タグ
ダンジョンに出会いを求めるのは間違っているだろうか フレイヤ・ファミリア
オッタル(ダンまち) アレン・フローメル ガリバー兄弟 ヘディン・セルランド ヘグニ・ラグナール ヘルン(ダンまち) シル・フローヴァ
重大なネタバレ注意
———「誰にも渡さない。ベル、貴方は女神(わたし)のモノにする」
『豊穣の女主人』の店員であるシル・フローヴァと何らかの関係があることが度々示唆されていたフレイヤだが、本編16巻にてシルの正体は神威を抑え込み、人間に扮していたフレイヤ本人であった事が判明する。
これまでに二人が別々の場所に存在しているような描写があったのだが、それはかつてフレイヤとある契約をしたヘルンという女性団員が変神魔法を発動させ、フレイヤに成り代わっていたためである(詳しくはシルの記事を参照)。
女神祭にて、かつてシルの姿でベルの事を好きだと初めて伝えた場所で彼に告白するが、追い求める憧憬を持つ彼に振られることになる。暫し街を無気力にさ迷い続けた後、娘としての拘りを捨て、ベルを奪い取ることを宣言するのだった。
真の神物像
上述にある通り『美の神』として強大な権能を有しているが、何であろうと『美の神』の権能を用いれば思い通りになってしまうことに強い孤独感と虚無感を抱いており、フレイヤ本人は自身の『美の神』の権能を自分を縛る『女神の軛』と称し忌み嫌っている。
その為、自分を『女神の軛』から解放してくれる何かをずっと求めていたが、ある時、同郷の女神であるイズンに「伴侶こそが貴方を軛から解き放ってくれる」と言われ、その言葉を信じて『伴侶』を探すようになる。だが、フレイヤを救ってくれる『伴侶』は天界にも下界にも見つからず、ただ時間だけが過ぎていき、『伴侶』が見つからないと一人涙を流すこともあった。
『娘(シル)』を始めた理由も、そんな満たされない日々を埋めるための暇潰しのつもりだったが、同僚たちと接する内に『豊穣の女主人』での生活を何よりも掛け替えのないものと思うようになっていく。また、シルの姿の時に述べた「誰かのために、美しく在れる人が好き」という発言や、『豊穣の女主人』で見せる料理下手で不器用な一面、そして孤児院の子供達と楽しそうに遊ぶ姿などに偽りは何一つなく、言ってしまえばシルこそがフレイヤの本心の代弁者だったといえる。
しかし、フレイヤ本人はシルが自分の本心だと気付いておらず、シルは「虚像」「役割演技(ロールプレイング)」に過ぎないと思い込んでおり、ベルを手に入れるには最早シルは不要と考えて『娘』を捨てることを決断してしまう。『娘』こそがフレイヤの本当の『望み』に近付いていたことにすら気づかずに…。
人間関係
天界時代からの腐れ縁。派閥こそ敵対関係だが、主神である彼女とは特にしがらみもない模様。付き合いの長さもあって、フレイヤとシルが同一人物であることにも気付いていた。もっとも、ロキもフレイヤの本質がシルの方であることまでは気付いていなかったが。
殆どの女神から受けが悪いフレイヤだが、同じ「豊穣」を司るデメテルとは数少ない神友の間柄。神聖浴場に誘われてともに湯あみをすることもある。本編での接触こそないが、『メモリア・フレーゼ』のイベント『シークレット・ギャンブリング』では彼女との交流の様子が描写されている。
同じ『美の神』だが、名声も派閥の力も自分の方が上であることから一方的に敵視されている。フレイヤ本人は彼女の敵意を全く意に介していなかったが、彼女が自分への当てつけの為にベルに手を出そうとしたことは看過できず、イシュタルを天界へ強制送還させた。
自分が敬意を抱いた数少ない女神。フレイヤがシルとして孤児院の子供達と交流を行うようになったのも、下界の住民と進んで交流をする彼女の姿に興味を持ったから。彼女の眷族であるリューを含めて、自分に多大な影響を与えた神と言える。
ベルの主神を務める女神。自分とは対極の『処女神』ということもあってか、彼女からは苦手に思われている。一方で、フレイヤの方はヘスティアのことを一柱の女神として尊敬しており、彼女が司る『悠久の聖火』はいかなる黄金よりも価値があると思っている。
初恋の相手。当初は美しい魂を持つ彼を気に入り、自分の眷族にするために近づいたに過ぎなかったが、シルとして接するうちに彼の純粋さと優しさに惹かれ、初めて『愛』ではなく『恋』を知ることになる。
かけがえのない親友。『豊穣の女主人』の中でも特に親しく、シルの時は彼女と一緒にいることが多かった。自分の暴走が切っ掛けで正体がバレたが、それでも友情は壊れず同じ態度で接してくれた。
もっとも付き合いの長い眷族。『美の神』である自分に対しても容赦なく接する彼女の態度には少なからず救われていた。自分より遥かに幼いにもかかわらず、彼女が若い頃は姉の様に慕っており、現在は母の様に慕っている。
最低最凶の女神。元々は自分の『伴侶』を探して世界各地を旅していたフレイヤだが、ある時ヘラとの抗争に敗北し、多くの眷族を失い、オラリオに強制的に縛られた過去を持つ。このような経緯もあって、彼女を毛嫌いしており、いつかはその玉座から引きずり降ろそうと思っていた。
本編17巻以降の動向
ベルを本気で手に入れる為に動き出したフレイヤは、ベルの主神であるヘスティアの元へ訪れると傍若無人にも「貴方の眷族を――ベルを私にちょうだい?」と言い放つ。
無論、ヘスティアは断固として拒否するが、交渉決裂と見たフレイヤは眷族達に【ヘスティア・ファミリア】を襲撃させ、彼らを一蹴して瀕死に追い込む。そして、ヘスティアの眷族達を人質にするとフレイヤはヘスティアにベルとの『契り』を解除して『改宗(コンバージョン)』出来るようにしろと要求し、これを拒否するなら彼らを殺してヘスティアも天界へ強制送還させると脅迫する。
しかし、事態に気づいて駆け付けたヘルメスから、ベルは【ヘスティア・ファミリア】に入団して半年ほどしか経っておらず、ファミリアに入団して1年以上在籍していなければ改宗出来ないという下界の規則を指摘される。この点を突かれたフレイヤは、ヘルメスの提案により「『半入団』という形でベルを預かり、半年後に改めて改宗する」という「落としどころ」を呑む形で、ベルを連れてその場を去ろうとした。
しかし―――
「一つ、言い忘れていたわ」
「半年後の『改宗』を履行してもらう為に、『代償』を貰っておくわ」
「ベルを私のモノにする為に、『先にそれ以外を捻じ曲げる』」
もはやベルを手に入れる為ならなりふり構わなくなったフレイヤは、他ならぬ自分自身が禁忌としていた『魅了』を使用することを決断。醜い行いだと自嘲しつつもオラリオに住む全ての者に『魅了』を施し、「ベルは最初からフレイヤの眷族」という記憶の改竄を行う。ベルに『魅了』が通じないと知っているフレイヤは、逆に周囲の記憶を改竄させてベルを閉じ込める『箱庭』を造り上げ、無理矢理にでもベルを眷族にさせようとしたのであった。
その後も徹底しており、些細なことで魅了が解けそうな者がいないか後始末に街を回り、『魅了』を及ぼした当日にオラリオにいなかった者達や、港街・メレンにまで『魅了』を施していく。また、誰かが記憶に違和感を覚えても、現状に疑惑を抱くと自動的に認識改訂(リセット)が発生して、再び記憶が改竄されることになっている。
『魅了』が効かないベル本人には、『呪詛(カース)』によって記憶を改竄されて「自分はヘスティアの眷族」という認識になってしまっただけで、当初からベルは【フレイヤ・ファミリア】の団員という偽りの情報を教え込む。その後、フレイヤの『魅了』によって自分との思い出を忘れられ、仲間達や今まで関わってきた人々から他人行儀に扱われた上に拒絶されて打ちひしがれるベルを自分の神室に招くと、主神以外でも眷族のステイタスを更新することが出来る『更新薬(ステイタス・スニッチ)』を使用して、ベルは自身の眷族という偽りの現実を更に突きつけて、心を折ろうとする。
しかし、ステイタス更新で【憧憬一途(リアリス・フレーゼ)】のことを知り、これをどうにかしないかぎりベルを完全にものに出来ないと考えたフレイヤは、スキルの特性を理解して憧憬への想いを忘れさせることを計画。
ベルの心身を摩耗させる為に、日中は幹部達との『洗礼』でベルを死ぬ寸前まで追い込み、夜は神室に呼び出して労いつつ、彼に過去の軌跡を話させた後に偽りの軌跡を教えて記憶をすり替えていき、甘言を用いて自分を心の拠り所にしようと洗脳じみた行為を行っていく。
そんな中、魅了を免れたリューとアーニャが『シル』を探していることを知ると、彼女たちの前に姿を見せ、フレイヤとシルが同一人物であることを教える。同時に自分が彼女たちに救いの手を差し伸べたのは、神のきまぐれにすぎないと教え、彼女たちから『シル』を諦めさせようとするも、当然受け入れられないリューに激昂されるが、彼女の意識を奪い、敢えて『魅了』を施さずに本拠に連れ去って監禁する。
その日の夜、友を傷つけてしまった自分に嫌悪感を抱くが、ベルの励ましを受けて僅かながら元気を取り戻す。しかし、その際にシルの雰囲気を出してしまったことで、ベルから「シルさん?」と呼ばれて愕然とする。その場は「別の女の名前を出した」と怒ってベルを部屋から追い出すが、その日を境に自分の行動に疑念を抱くようになり、物思いに耽るようになっていく。
そして、ヘルンとの邂逅で全ての真実に気づいたベルと対面し、彼に初めから『シル』は存在しなかったと告げるが、ヘルンからフレイヤの心境を知ったベルに否定され、「シルさんは確かに存在した」「『愛』によって苦しんでいる貴方を助ける」と言い放たれる。互いに譲れぬ想いをぶつけ合っている最中、ヘスティアの権能『偽現・炉神の聖火殿(ディオス・アエデス・ウェスタ)』によって、自分が施した『魅了』が解除されてしまう。
『魅了』が解かれてベルとの記憶が元通りとなり、アイズを筆頭としたベルと交流ある者達が怒りのまま【フレイヤ・ファミリア】を襲撃する。オラリオ中が大混乱に陥り、多くの派閥を敵に回した【フレイヤ・ファミリア】だったが、それでもベルを諦めれないフレイヤは、これまでの自身とファミリアの実績を盾に、「これまで築き上げた物すべてをチップに賭け、自分が勝ったらベルをもらう」「自身は自らのファミリアのみで戦い、【ヘスティア・ファミリア】は幾らでも協力者を募っても良い」といった条件付きで、【ヘスティア・ファミリア】との『戦争遊戯』で決着をつける事を提案する。ベルもフレイヤを救う為にこの提案を承諾。後に『派閥大戦』と呼ばれる、オラリオ史上最大の『戦争遊戯』が行われることになるのだった。
フレイヤは『派閥大戦』の勝負形式を決める『神会』には一度も姿を現さず、全てヘスティア達に任せるなど余裕の姿勢を取る。また、都市最大派閥の共倒れを危惧した『ギルド』の方針により【ロキ・ファミリア】は参戦できなかったが、もし【ロキ・ファミリア】が参戦したとしても雌雄を決するいい機会と思って受け入れるつもりだった模様。但し、ベルの憧憬であるアイズだけは、個人的な嫉妬もあって『派閥大戦』が終わるまでベルと一切の関わりを禁じさせた(外伝『ソード・オラトリア』で、修行としてオッタルを貸す代わりに自分の願いを一つだけ聞くという契約をアイズとしており、ここでその契約を使用した)。
そして、『派閥大戦』当日、勝負形式は隠れている神を見つけて、神の胸に差している花を散らせるという『神探し(ハイド・アンド・シーク)』で決まり、計46の派閥が連合を組んだ『派閥連合』を相手にすることになるが、圧倒的戦力を以って『派閥連合』を瞬く間に蹂躙し、単独行動をしていたベルもオッタルによって圧倒される。
もはや誰の目から見ても【フレイヤ・ファミリア】の勝利は明白だったが、Lv.6にランクアップしたリューの参戦とフレイヤの本当の願いを叶える為に『派閥連合』に寝返ったヘディン、そして【フレイヤ・ファミリア】の本拠で眠るヘルンを通してシルの本心を聞いた『豊穣の女主人』の参戦により、戦況は傾くことになる。その現状に、フレイヤはどこまでも自分を苦しめる『シル』に対し、激しい苛立ちを募らせる。
『派閥連合』との激戦の末、自分の眷族達が次々と敗北し、オッタルを含めた幹部達も全員戦闘不能に追い込まれる。もはや自分を守る者が誰もおらず、完全に孤立した状態でベルと対面する。悪あがきで『魅了』を施そうにもベルに通用するはずが無く、自分にどんどん近づいて来るベル。それを見たフレイヤは女神としての威厳を捨て、ベルを手に入らないことへの絶望と苦しみを曝け出しながら、今まで抱いていた本当の想いをベルにぶつけた。
「好きなの、ベル……」
初めて『愛』ではなく『恋』を抱いた少年に告白をするフレイヤ。
それに対しベルは、彼女を救うためにも『娘』の時と同じように『女神』の想いを拒んだ。
「僕は! 貴方の『伴侶』になれない!!」
「貴方の『恋』を、終わらせる事しか出来ない!!!!」
その言葉と同時にベルに胸の花を散らされて敗北。そして自身の『初恋』も散ることになった。
『派閥大戦』の敗戦後、今までの傲岸不遜な振る舞いもあってファミリアの解散と自身のオラリオからの追放を言い渡されることになるが、ヘスティアの恩情で女神はダメだが街娘としてならばオラリオにいることを許される。しかし、これ以上恥はさらせないとオラリオを出ようとするフレイヤだったが、そんな彼女の元に『豊穣の女主人』の店員達とベルが訪れる。
シルの正体がフレイヤと知っても一緒にいることを望むリュー達の姿と、フレイヤが二度と間違いを起こさないよう彼女の『騎士』としてずっとそばで見守り続ける事を誓うベルの言葉に、涙を流しながらずっと心の奥底で望んでいた「女神ではなくただの娘として生きたい」という『本当の自分』を見せ、シル・フローヴァとしてオラリオに残る事を選択。こうしてフレイヤの抱えていた虚無感と孤独感は終わり、真の意味で救われることになった。
その後は、シルとして『豊穣の女主人』でこれまでと変わらず働いているが、今回の一件で迷惑をかけてしまった者達には女神ではなく一人の娘として罪を償うべく謝罪しに回っている。また、ベルへの失恋を受け入れこそしたが、ベルへの想い自体が消えたわけではないので、ベルやベルに想いを寄せている女性をからかって遊ぶこともある。女神達から罰として集計をやらされていた「冒険者順位(ランキング)」のアンケートでも、ベルを一位にする為の私利私欲丸出しのアンケート調査を行い、山吹色の妖精と一悶着を起こしていた。
ちなみに、ファミリア解体を言い渡されたが、フレイヤはヘスティアの『従属神』という扱いで収まり、眷族達も全員オラリオに残っているので、ファミリアの解体は表向きはされたと言える。この事を一般市民や通常の冒険者は知らないが、オラリオに住む神々と『ギルド』職員の一部は黙認している。(フレイヤを目の敵にしている女神たちはヘスティアとヘルメスの説得を受けて仕方なく認め、『ギルド』も【フレイヤ・ファミリア】という大戦力をオラリオから手放したくなかったので都合が良かった)
余談
- フレイヤとシルの関係
本編17巻の後書きで作者は、フレイヤとシルの関係を化粧で譬えており、シルはフレイヤのすっぴんバージョンなら、フレイヤはばっちりメイクを決めた姿とのこと。この譬えからもシルこそがフレイヤの素顔であることが伝わる。
- ライラックの花言葉
『派閥大戦』に参加した派閥の主神は、それぞれ参加の証として胸に花を差すことになり、フレイヤには「紫色のライラックの花」が渡されたが、ライラックの花言葉には「恋の芽生え」「初恋」という意味が込められており、当時のフレイヤの心境にピッタリの花だったと言える。フレイヤもライラックの花言葉を知っていたようで、ライラックの花を渡された際は「とんだ皮肉ね」と呟いていた。
- ヘスティアとの共通点
外見・服装・性格・司る事物など、一見正反対に見えるヘスティアとフレイヤだが、作中の二人の主な行動や出来事を並べると
・不器用で仕事の失敗が多い
・孤児院の子供たちに慕われている
・眷族は家族や境遇に恵まれなかったものが多い
・どのファミリアからも門前払いされたベルを一目見て気に入る
・本編序盤からずっとベルを見守り支え続けている
・ベルの為に《ヘスティア・ナイフ》や『魔導書』といった高価なアイテムを用意する
・ベルに膝枕をされてもらった事がある
・ベルとの初めてのデートの待ち合わせ場所は「アモールの広場」
・数億年生きて初めて恋した相手がベル
など、このように何かと行動が似通っており、本質は似た者同士であることが窺える。作中でフレイヤはヘスティアに対して「尊敬している」と発言しているが、自分を偽ることなくありのままに生きるヘスティアに対する憧れのようなものも含まれていたのかもしれない。
ベルも自分を見守り支え続けてくれたヘスティアとフレイヤのことを大切に想っており、Lv.5にランクアップした際には【美惑炎抗(ヴァナディース・テヴェレ)】という、ヘスティアとフレイヤへの想いが由来のスキルを発現している。
また、作中でベルは家族としてずっと一緒にいる事を約束したヘスティアには『鐘(ベル)』の髪飾りを渡し、騎士としてずっと側で守り続ける事を誓ったフレイヤには『騎士』の髪飾りを渡しているが、奇しくも二柱の女神との約束と誓いが反映されたものになっている。