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機首右側の残骸が横倒しで地上に落ちている写真有名

概要編集

1988年12月21日、スコットランドパンアメリカン航空(パンナム)のボーイング747が爆破されたテロ事件。スコットランドのロッカビー村で発生したことからこの名がある。

標的となったのは、イギリスロンドン発アメリカ合衆国デトロイト行(ニューヨーク経由)のパンナム103便(ボーイング747-100)で、乗客243人と乗員16人が乗っていた。

103便がスコットランド上空を飛行中、客室下の貨物室に仕掛けられた時限爆弾が大爆発を起こし、機体は完全に空中分解して多数の部品がそのまま地上に落下した

このとき、粉々になった103便の直撃を受けた村こそがロッカビーであった。クリスマスを目前に控えていた和やかな村に突然、まるで隕石と見紛うような巨大な物体が上空から降ってきたのである。その巨大な物体の正体は隕石ではなく飛行機(すなわちパンナム103便)であった。

この惨劇により、103便に乗っていた乗員乗客259人全員と、地上の住民11人の合計270人が死亡した。


事件の真相編集

103便が空中分解するに至った原因について、当初は「機体の致命的な故障」または「爆弾などの爆発物を使用したテロ」のどちらかが考えられるとされたが、その後の調査により、前者ではなく後者であることがわかった。すなわち本件は「事故」ではなく、れっきとした「事件」だったのである

犯人は爆弾入りの荷物を預け、自分は103便に搭乗しなかった。つまり自爆ではなかったため、犯人は事件後もどこかで生きている可能性が濃厚となったわけである。

では、犯人は一体どこの誰なのだろうかという疑問が生じる。犯人の国籍としてイラン人が真っ先に考えられた。実はロッカビー事件の半年ほど前、アメリカ海軍がイラン航空の旅客機を誤って撃墜して290人が死亡するという事件が発生しており、当時のイランはアメリカと真っ向から対立していたのである。そのため、イラン出身のテロリストが対立国であるアメリカの航空会社(パンナム)を狙ったのではないかと推測された。

しかし緻密な捜査の結果、ロッカビー事件を起こしたテロリストはイラン人ではなく、リビア人のアブデルバセト・アル・メグラヒであったことがわかった。事件の首謀者であるメグラヒには裁判で終身刑が言い渡された。


パンナムが経営破綻へ編集

事件の犯人であるリビア人テロリストだけでなく、航空会社側(パンナム)にも重大な責任が生じた。なぜなら、同社は持ち主が機内にいない荷物を搭載して地上を離れてしまったからである

航空会社は、荷物を預けた乗客全員が飛行機に乗り込まない限り、そのまま飛行してはいけないと法律で決められている(これを「旅客と荷物の一致」という)。しかしパンナムはこのルールを守っておらず、テロリストが預けた爆弾入りの荷物をそのまま103便の貨物室に収納してしまったのである

実はこの事件が起こる3年前の1985年、エアインディアのボーイング747が同じ手口を使った過激派のシーク教徒によって北大西洋上で爆破されて墜落しており、その際乗客の手荷物は厳重に検査の上機内に運び、同時に持ち主の搭乗が確認できない場合は出発しないよう厳重に勧告されていた。つまり防げたはずの惨劇だったにもかかわらず、パンナムはあろうことかその教訓を全く活かしていなかったのである

このため、裁判によりパンナムに対しても有罪判決が下され、このことは同社の経営破綻の遠因にもなってしまった。その意味で本件に関していえば、パンナムは「被害者でもあり加害者でもある」ということもできるのだ。


関連タグ編集

パンアメリカン航空 リビア ボーイング747

大韓航空機爆破事件:本事件の前年に起こった航空機爆破テロ


外部リンク編集

パンアメリカン航空103便爆破事件 - Wikipedia

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