ヴァルハザクとは、モンスターハンターに登場するモンスターである。
初登場作品は「モンスターハンター:ワールド」
套:重ねる・覆うの意
概要
本ゲームの舞台である新大陸にて存在が仄めかされた古龍。別名は「屍套龍(しとうりゅう)」。
3期団の気球船がレイギエナに撃墜された際に不時着した、陸珊瑚の台地及び瘴気の谷で一度だけ起きた異常現象の元凶として便宜的に名前を付けられた。
当時はそれが何であるか解明されず、そもそもモンスターであるかどうかすら不明であったが、本編開始時から新大陸はゾラ・マグダラオスというエネルギーの塊が古龍渡りを行い、それに伴うネルギガンテの介入、止まぬ活性化によって新大陸の各所に住まう古龍が活動的になった事を発端として痕跡が出現。
調査に出向いた5期団こと主人公達の前にその姿をとうとう現した。
大型DLCとなるアイスボーンでは
一連の古龍の活性化の元凶を討滅した少し後、突如として現れた古龍イヴェルカーナを討伐した後に起こった大規模な地殻変動の影響で古龍が再び活性化。古代樹の森に本来現れるはずのないヴァルハザクが出現した。
しかし、そのヴァルハザクは見るからに禍々しい異様な姿をしており…?
外観
見た目は誰がどう見てもドラゴンゾンビ。
全身に死肉(屍)を纏っており、飛べるようには見えない程ボロボロな翼(でも飛べる)、体に生える逆向きの棘、骨がむき出しの様に見える尾、そして深海魚の様に大あごの中にもう一つの小さな顎を持つ二重顎。
しかし至近距離でよく見るとヴァルハザクの内側の顎は普通のドラゴンのそれであり、二つの顎というよりは牙の付いたチンガードを装備しているようにも見える。
目も大きく目立つ黄色の部分ではなく、薄っすら赤く光る部分が本来の目である。
大きな外顎と巨大な目に見える黄色の模様のせいで不気味な印象を与えるが、本来の部分である内顎と赤い瞳だけを見れば割と愛嬌のある顔立ちである。
「屍を套う」と揶揄される容姿に反して、死肉と瘴気の隙間からは鏡のように煌めく美しい白銀の甲殻が垣間見える。
そんなヴァルハザクを古龍たらしめているのは瘴気の操作能力である。
特徴・戦闘力
本作で言う「瘴気」とは、瘴気の谷の下層に存在する分解者である微生物や細菌が放出する毒素、もしくはそれが含まれた空気であり、まっとうな空気の下で生きている生物は瘴気にアテられると侵蝕されて狂暴化、しなくとも徐々に生命力を削られてしまう。
ヴァルハザクは古龍として持つ膨大なエネルギーによって瘴気の苗床として機能する一方、空気中の瘴気はヴァルハザクに吸収された際にヴァルハザクを守る鎧としてその身を捧げるという共生関係にある。寄生ではないところがミソ。
とはいえ任務クエストで対峙する古龍の中では最もゆったりとしていため、お世辞にも身体能力は高いとは言えない。
そんなヴァルハザクの討伐を困難にしているのは、上記の通り「瘴気」が関係している。
ヴァルハザクの周囲に発生する灰色の瘴気はフィールドに蔓延している瘴気よりも更に強力なもの。
種火石の炎で払うことも出来ず、スリップダメージも装衣を用いても防げず、フィールドのものより速度的にも(約1.3秒ごとに倍程)削られる量が多く、範囲が非常に広いため、剣士はもちろんガンナーも影響を受けるのは避けられない。
更にこの瘴気を浴び続けると瘴気侵蝕状態という極めて危険な状態になる。
フィールドの瘴気は受け続けると体力が徐々に低下するが、
こちらは体力の上限が半分になるうえ、特定の装衣やスキルを用いなければ防ぐことが出来ない。
何の対策もしていないと体力が半分以下な上にスリップダメージ付きで古龍に挑むという自殺行為もいいところの危険極まりない状態になるので、最低限ウチケシの実を持ち込むのが望ましい。
戦闘面でも瘴気を存分に活用しており、体内に溜め込んだ膨大な瘴気を利用したブレス攻撃を多用する。
軒並み威力も高めで、ガード強化スキルを装着していなければシールド防御不能。
特に四つん這いから照射するように長時間薙ぎ払うタイプは射程距離もエリアを飛び越えるほど長い。
幸い、タメ動作として特有の吸引音を出しながら瘴気を吸い込み、体を反らしながら首を左右に振る特徴的なモーションがあり、ヴァルハザクから見て右側から必ず反時計回りに薙ぎ払う。
つまり左脚側から側腹部へ回り込めれば安全に回避できる上、前述の長時間の照射のため攻撃チャンスでもある。
他にも地面に向けて拡散させたり、うずくまった後に乱射するようなブレス攻撃もあるが、前者は広がる速度は遅めなものの、着弾点からヴァルハザクの尻尾辺りまで判定が広がるほどの広範囲なので注意。後者は腹~背後が安全である。どちらも長めのスキができるが、拡散はブレスの判定が若干残るのでガード性能を上げたガード等で突破しなければスキを突くのは難しい。
瘴気の谷のフィールド自体にも注意が必要。
最下層の酸の池は瘴気とは全く別のダメージであるため、攻撃を受けて体力が残っていても吹き飛ばされた先が酸の池でそのまま力尽きる・・・という事態になりかねない。
なるべく酸の池には近づかないほうが賢明だが、攻撃を避けられないと判断したときは迷わずに踏み込むのも一手である。ヴァルハザクはこの酸をものともせずに行動してくる。
ヴァルハザクが使用する瘴気は自身が生成しているものではない為、戦闘が長引いたり龍封力を持つ武器で剥がしていくといずれ瘴気切れを起こすが、その場合ヴァルハザクは付近の瘴気を吸いつくす行為を取る。
この時、周辺の瘴気侵蝕状態に陥っている生物の体力も吸い取り、死に至らしめる。
その姿はまさに無差別なエナジードレインであり、下層にいる瘴気まといのギルオスやラフィノスは勿論、瘴気侵蝕状態のハンターも例外なく吸い取られる。
その他に警戒すべき攻撃は、後退り後の突進【強】と突然発動する連続突進、胴体プレス、尻尾の二連薙ぎ払いである。
突進は直前にうめき声を上げる、プレスは体を持ち上げる等の予備動作があるが、尻尾の薙ぎ払いは少し尻尾を動かすだけで殆ど音もなく振るため、慣れた人でなければ目視判断が困難。
歴戦個体であれば防御400台クラス+食事体力でも初擊で6~7割以上吹き飛ばし、強化具合によってはスリップの追撃で最悪ほぼ即死するという、鈍いモーションに反する恐ろしい威力を誇る。
対策
ここまで並べた通り《瘴気》が討伐の際に大きな障害となるため対策をしたいところだが、瘴気侵蝕状態を防ぐスキルを持つ防具や護石を作るには……
……ここまでストーリーをプレイしているハンターは最早お約束レベルで想像が付くだろうが、案の定ヴァルハザクの素材を要求される(護石は宝玉まで要求される)ため、基本的に初回は丸腰に等しい状態で喧嘩を売ることになる。
…といっても全く対策出来ないわけでもなく、予め上位クエストを回っていると瘴気耐性の装飾品『耐瘴珠』が出ることもあるため、それを防具のLv1スロットに3つ付ければ侵蝕状態を無効化出来る。
最低でもLv2、マルチ(特に歴戦個体)では可能な限りLv3まで積むと双方安心である。
ただし、無効化できるのは瘴気侵蝕状態だけであり、スリップダメージ自体は防ぐことはできないことに注意。
勘違いされがちだが、瘴気環境適応スキルは瘴気耐性とは別物であり、前者での効果はフィールドの瘴気の無効化と酸のダメージの軽減のみである。
フィールドの瘴気は『種火石』という中層キャンプ付近にあるスリンガー松明弾を瘴気がある場所の足元に放てば、時限ではあるが一定範囲の瘴気を消してくれる。
そちらの適応スキル装備を積んで拡張性を犠牲にしたくないなら食事のついでに拾っておくと良いだろう。
- 歴戦王
通常と比較して、咆哮のボディプレスに風圧拘束が追加、ブレスが多段ヒット、見た目がメタリック、初期位置が瘴気エリア、寝る位置が酸の中、寝る前にブレスを放つなどの差異がある。
ついでに瘴気を纏っている部位では弾や矢を弾くというガンナー殺し。
更に瘴気の範囲が地味に広く、ダメージが約2倍となっており、物凄い勢いで体力が削られる。
そのため、侵蝕状態に陥るとものの数秒でネコタクに運ばれることになるため、瘴気耐性スキルLv3は必須…というより付けていること前提である。
特にオンラインではスキルを付けずに侵蝕状態に陥ると部屋からキックされても文句言えないレベル。
地雷扱いされないためにも必ず付けよう。
装備
作成できる装備はウルズ装備。まるでフロムソフトウェアのゲームに出てきそうなファンタジーな喪服のような儚げのある見た目になる。
瘴気耐性や回復速度上昇、フルチャージ等のスキルがついており、わかりやすいゾンビ装備。シリーズスキルは「屍套龍の命脈」で、体力の自動回復が体力ゲージの最大値まで継続するというもの。
それとは別にシリーズおなじみのデスギア装備も作成可能となる。探検隊を派遣した際に手に入る布で一部の装備は作成可能だが、一式をそろえるにはヴァルハザクの素材が要る。
ちなみにオトモアイルーのデスギア装備は布さえあればヴァルハザクと闘っていなくても作成可能。一足先に死神になってもらおう。ウルズネコ装備は普通に怖い。
ウルズγはより防御力が高くなっており、耐性スキルこそないが、体力関係のスキルが豊富で、所謂ゾンビ装備。
高レベルのスロットも沢山付いており拡張性が高い。
古龍だけあって、武器も全種揃っている。どれも龍封力がついており、龍属性が付随する。
詳細はウルズ装備を参照。
余談
- 死骸を纏ことでのゾンビのような姿が特徴的だが、実はシリーズの『4』までの設定資料集「ハンター大全」(エンターブレイン刊行)ではシャガルマガラの初期案として「墓場のスカルドラゴン」というものがあり、更にMHXのラスボス古龍のオストガロアはゲーム雑誌『ニンテンドードリーム』でのディレクターインタビューにして初期案とコードネームが「ドラゴンゾンビ」であった事が判明している。ヴァルハザクはこれらの案を世界観とも結びつけてより昇華させたものだと見られる。
- ネルギガンテ以外の古龍と同じく、任務クエスト以外の個体は遭遇しても攻撃しないかぎり敵対しない。目の前で石ころを地面に発射するとかなりオーバーなリアクションを取ってくれる。
- 専用BGMは「黄泉を統べる死を纏う者」。作曲者は瘴気の谷汎用戦闘BGMやナルガの専用BGMを手がけた成田暁彦氏。ピアノと弦楽器を主旋律とした、ハイファンタジーでダークファンタジーなゲームのボス戦のような、壮大かつ綺麗で、恐ろしい相手に立ち向かう物語のようなファンタジスティックな曲調となっており、ヴァルハザクの虚空に響くような鳴き声と相まって不気味な雰囲気を醸している。
- 名前の由来は「ヴァルハラ」と「ハザード」と思われる。
- 外側の顎の形状は実在する深海魚のオオクチホシエソがこれと似た頭部を持っている。また二重顎構造自体はウツボの仲間が有しており、テレビ番組で取り上げられたこともある。
- 瘴気の谷には一ヶ所だけ障害物で入れないエリアがあるが、ヴァルハザクの討伐クエストにて通れるようになる。入る際にムービーが入り初対面となるが、通常の個体はここを寝床にしている。
- ヴァルハザクは瘴気と双利共生関係にあるらしく、ヴァルハザクは瘴気から養分を吸収し、そして武器として運用する代わりに、ヴァルハザクが瘴気のバランスを管理することで瘴気が局所的に集まり過ぎた結果死骸分解の末に酸欠により瘴気が大量死滅することを回避している。
- このことから、ヴァルハザクは新大陸の生態系の管理者としての側面を持つと思われる。
- 『アイスボーン』設定資料集によると、ヴァルハザクは栄養摂取を含めたあらゆる面を瘴気との共生関係に依存しているため、瘴気の谷の外では活動が困難であるとされている。他のフィールドに姿を見せないのは「出ようにも瘴気の谷の外に出れない」という事情によるものである。
- なお、『アイスボーン』に登場した特殊個体の「死を纏うヴァルハザク」はそれを克服した個体であり、「共生させたカビの胞子をばら撒くことで、周囲を強制的に瘴気の谷に近い環境へと作り変えてしまう」能力を得た個体だという設定だそうで、これが古代樹の森でも活動できている理由とされる。
関連イラスト
関連タグ
モンスターハンター:ワールド MHW 古龍種 ドラゴンゾンビ