概要
東西約40km、南北約30kmで、神奈川県の面積の約6分の1を占める広大な山塊(山脈系から離れた一かたまり状の山地)。
ほぼ全域が神奈川県内であるが、北西部と西側のわずかな一部が山梨県と静岡県との県境に接している。
その他の主要な山として、
丹沢山(1,567m)、塔ノ岳(1,491m)、大山(1,252m)、
檜洞丸(ひのきぼらまる)(1,601m)などがある。
丹沢山は同県で唯一「日本百名山」に選ばれているが、そのように命名されたのは明治時代になってからである。
また選定者である登山家・随筆家の深田久弥について、「丹沢山地全体」の意味合いにしたともされている。
地形・登山
2,000m級の高山が存在せず、市街地に近い場所には1,000mにも満たないハイキング向けの低山も多い。
しかしながら、山地の形成過程から中央部の山々は急斜面で足場が崩れやすい岩場が多く、無数の谷や沢、滝が点在する複雑な地形となっている。
登山口からの標高差の大きい山が多く、最も登山者数が多くて中級者向けと言われる大倉ルートでの塔ノ岳登頂でも1,200mで、上りの標準時間が3時間半もかかる。
山頂までの距離が長い山も多く、最高峰の蛭ヶ岳へは通常は一泊二日以上となる。
さらに北部や西部に至っては完全な深山となり、樹林帯が生い茂って檜洞丸や大室山(1,587m)などのように山頂ですら展望がほぼ見渡せない山も多い。
データ上の標高の低さや都心から登山口まで2時間圏内で行けるアクセスの良さから登山者数は多いが、難路や悪路の多さから遭難者も多く初級者殺しの山が多いのが特徴である。
富士山や日本アルプスなどの高山や、深山縦走のトレーニングとして登る中上級者も多い。
大山のケーブルカーを除いて登山鉄道やしっかりした登山用車道は皆無であるが、全体的に有人の山小屋数が充実しており通年で毎日営業の施設もある。
自然・文化
植生としては塔ノ岳を中心に人工のスギやヒノキ林が広がるが、天然のヤマボウシやブナ林も多く残っている。
動物層もニホンジカ、イノシシ、ニホンザル、ニホンカモシカをはじめ、多くの鳥類や昆虫類が生息する。
ヤマビルによる出血被害やニホンツキノワグマとの遭遇例が多く、入山にはこれらへの注意を要する。
山地の主要部は丹沢大山国定公園に、西辺は県立丹沢大山自然公園に指定されている。
大山は鎌倉時代頃から信仰の対象になり、江戸時代には山岳信仰が大いに繁栄した。
現在も麓には山腹の神社や寺への門前町が形成されており、参拝客や軽登山客で賑わう。
その他の山も石仏が安置されるなど信仰登山の対象になっていたものが多い。