概要
鉄道系では保安装置や発車標の実績もあるが、ここでは主に信号灯器について説明する。
信号機の傾向として灯箱のバリエーションが非常に多く、歩行者用灯器と樹脂灯器は主に三協高分子を参考にしている傾向があり、自社製アルミ灯器は松下通工やオムロンなどでOEMにも使用される。
西日対策レンズはアルミ灯器の登場まで消極的だったが、スフェリカルレンズの登場で採用する都道府県も多く存在する。
鉄板灯器やアルミ灯器の中には他社と異なり、レモンレンズだけを頑なに採用した地域も存在する。
設置傾向としては福島県、神奈川県、新潟県、富山県、愛知県、大阪府、岡山県など大都市部や雪国に多く設置される傾向がある。
四国では香川県と高知県に設置されている事が多く、甲信越では3県とも多い。
信号灯器の歴史
車両用灯器
京三の角型灯器は日本信号よりも尖った角型が特徴で、主に神奈川県、愛知県、宮城県等で設置されていた。
他社と比べて特筆される事項として両面タイプでは他社で製造されていた両面が一体化したタイプだけでなくのちの宇宙人タイプや最終丸形以降と類似した設置のものも存在し神奈川県を中心に宮城県や山梨県などで設置されていた。(東京都内にも存在したという噂もある)
東京都は他社よりも元々少なく、参入も昭和40年代だったので八王子市など一部で設置された。
神奈川県や山梨県では両面設置の角型も存在していたが、両面が一体化されたタイプのものはおそらく既に絶滅し、神奈川県に多くあった両面分離設置タイプも片手で数えられるか所しか残っていないとみられる。
昭和46年ごろから丸型灯器が登場し、ヒョロッとした庇や丸っこい宇宙人灯器が登場した。
この頃は角型も並行して生産されており、神奈川県や愛知県等では並行して設置されていた。(東京都に至ってはおそらく宇宙人タイプを採用すらせず、角型がくちばしタイプ登場後まで設置されていた)
大阪府や宮城県、広島県、福島県等ではこの灯器が今でも多く残っており、古い丸形では日本信号2代目丸形と同等かそれより多く残っている傾向がある。
くちばし灯器に移行しなかった県(九州や福島県等)はこの灯器を最終丸形に移るまで採用された。
宇宙人と最終丸形の間に作られた過度期の灯器で主に神奈川県、新潟県、栃木県、東京都、大阪府、高知県等で設置された。
最終丸形の灯箱にくちばしの庇を付けた印象であるが、もともと設置数が少ないこともあり(京三製作所(の鉄製灯器)を採用していた県でも静岡県や茨城県などほぼまったく採用していない県も存在する)この灯器は宇宙人よりも減少している。
最終丸形にも言える事だが、底面に4つの穴があるのが特徴で、縦型も底面に狭いながらも同様の傾向がある。
灯箱はくちばし灯器と同じだが、庇は他社と同じ物になった。
ブツブツレンズもあるが、静岡県や福島県、北海道等ではブツブツレンズが採用されなかった為、レモンレンズが採用されていた。
見分け方として横型は底面のレンズの間に2つの水抜き穴(合計4つ)があり、縦型は狭い底面に水抜き穴がある。
また、コード穴の形状や位置は日本信号と似ているが、色は灰色となっている(日本信号は黒)。
横浜工場製と大阪工場製の2種類があり、大阪工場製の方が質が良い場合が多く錆が少なめ。
京三樹脂灯器
主に自社製の灯器はおたふく灯器と日本信号初代丸形と類似した庇を付けた京三初代樹脂が存在するが、何れも現存しない。(後者に関しては2017年まで高知県に残存していた)
樹脂灯器の多くは三協高分子樹脂を採用しており、プレートを見分けなければ不可能だが、京三の場合は緑色も存在し、円弧アームの物も存在する。また、高知県や静岡県では西日対策レンズ(いわゆるブロンズレンズ)のものも確認されている。
背面が平らで野球のホームベースを連想させる分割型が登場した。
この頃からブツブツレンズを採用した地域も多く、アルミ灯器を採用し始めた地域も多い一方で
福島県や静岡県などではレモンレンズだけ採用していた。
このころから松下電工やオムロンなど他社でも採用している事例がある。
しかし東京都、群馬県、栃木県、そしてセパレート灯器を採用していなかった北海道等では採用されなかった。
背面にカマボコに似た突起がある事からこの愛称がついた。
京三の一体型灯器でこの頃から群馬県は京三を本格的に採用するようになり、樹脂灯器を採用していた多くの自治体もこの灯器でアルミに移行した。
また、この頃からスフェリカルレンズが本格採用された為、東日本のバンドミラー採用県(東京都、福島県、茨城県など)の多くは、スフェリカルレンズに移行した。
その一方で静岡県と北海道ではまだレモンレンズが採用されていたが、レンズの質は向上している。
神奈川県や京都府などではプロジェクター式のLEDもこの頃から採用された。
25cmと30cmがあり、U型指定するまでは両方ある。
京三の一体型灯器でU型指定の後の為、レンズ径は30cmのみである。
背面はおまるに似ている事からファンの間でこの名が定着したが「製作者に失礼だ」として一部の信号ファンの間では物議を醸した。
静岡県と北海道では設置末期までレモンレンズの採用が続いたが、この頃から個体差でレンズの色が濃い灯器が目立つようになった。
なお、この時期からLEDを本格採用する地域が増加した。
京三の最初の薄型灯器で背面はカマボコを連想し、正面は他社に比べて平らである。
神奈川県や兵庫県、栃木県などでは標準庇、東京都や大阪府、北海道などでは短庇が採用され、新潟県では積雪対策の為に赤だけ標準庇が採用された。
この頃はまだ標準庇を採用する地域が多かった。
京三製作所にも一体型の薄型LED灯器が現れた。
特徴としては丸形に近い構造をしている事が挙げられる。
神奈川県では一時的に短庇を採用し、後に標準庇に戻ったがこれは発注関係のミスであるとの事。
多くの道府県ではここから本格的に短庇が採用された。
また、製造途中からステンレス鋼製に代わるなどのマイナーチェンジもあったが、
東京都と徳島県では採用される事が無く終わった。
流石に東京都では設置されないと判断したのか、ステンレス製で分割型に移行した灯器。
形状としてはVSP型の分割型である。2015年(平成27年)下半期にようやく東京都内に設置された。
京三低コスト灯器
2017年(平成29年)に各社が導入した低コスト灯器。
コイト電工は従来の極薄型をそのまま小型化。
日本信号は京三VSPに似たような形になったのに対し、京三はなぜか独自の灯器を作らず、電材に灯器を採用している。
因みにVSPに似た灯器は日本信号で作られており、その灯器は京三製と誤認しやすいので要注意。
信号電材との見分けはプレートで見分ける事になる。
歩行者用灯器
日本信号にも作られている灯器だが、後期のものは日本信号と異なり、ねじ止めが2つあるのが特徴。
大阪府では「ヤンキー兄ちゃん」と呼ばれる変わった庇も採用された。
又、日本信号で採用された青のみ庇が短い灯器は基本的には採用されていない。
日本信号と同様に京三でも六角の灯箱を持った六角歩灯が採用されたが、こちらは三協高分子を参考にした灯器でねじ止めが長めになっている。
西日対策が出来ないことからおまる歩灯に移行した。
一部都道府県では日本信号の六角歩灯に似たLEDも存在する(蝶番が京三製とは異なる。)。
飴色レンズに対応するために作られた灯器で、この灯器も三協高分子が参考に製造されている。
但し、西日に積極的でも多くの自治体はノーマルレンズを採用されていた為、東京都、愛知県、愛媛県を除き、採用されなかった。
松下やオムロンなどでも採用されているのでプレートをしっかりと見る必要がある。
薄型歩灯
最初は日本信号や小糸と3社共通灯器を使用していたが、後に日本信号と同じ灯器になり、こちらは背面に凸凹があり、ステンレス鋼製になった。
当初は京三独自に庇を採用したが、後に日本信号と同じ庇になった。
電材低コスト薄型歩灯
日本信号やコイト電工の歩灯は低コスト移行後もそのまま採用になったのに対し、京三は電材灯器のOEM化に伴い、灯器が電材そのものなり、庇も完全になくなった。
基本的にプレートの見分けで判別が必要になる。
関連項目
信号機 コイト電工 日本信号 信号電材 三協高分子 星和電機