兵災雪
へいさいせつ
「永訣。人間有缺，生滅無可說。
彼岸荒吟悲不絕，骨添星髮；
作八月濤聲，十里風咽，滿城兵災雪。」
称号：八月濤聲（はちがつとうせい）
｢霹靂布袋戲｣の登場人物。
｢霹靂朝靈闕｣では主要人物の一人として活躍した。
暗劫八無暇の第二位。優雅な頭脳担当。
義理堅い剣士で、義兄弟たちのために力を尽くす。その反面、義兄弟に仇をなす相手には一切に容赦せず、手段も選ばない。
| 性別 | 男 |
|---|---|
| 初登場 | 霹靂朝靈闕 第2章 |
| 根拠地 | 妖氛之脈 |
| 身分 | 暗劫八無暇の第二位 |
| 化身 | 不全鷹 |
| 所属組織 | 暗劫八無暇 |
| 恋人 | 算雪 |
| 義兄弟 | 祖登龍、罟魂棺止、愁傘人、霸金纛、醉不同、憂靈召命、血如袖(いずれも暗劫八無暇) |
| 武器 | 彼岸骨吟(白骨剣) |
| 所有物 | 酆夜之趾(左手のアクセサリー) |
白いフサフサな外套を纏う、金髪碧眼の剣士。地獄鳥の力を駆使し、武林の転覆を狙う組織「暗劫八無暇」の一員にして、頭脳担当である。人を殺す前に、入浴して身を清め、体を香らせる習慣がある。彼に好意を寄せる女性からは、雪郎と親しんで呼ばれる。
優雅を好む一方、八無暇の義兄弟たちに対して情に厚い。常に義兄弟を最優先にする、義理堅い面も見られる。義兄弟と敵対する相手には、拷問や殺害など、どんな手段を使っても厭わない。行方不明の義兄・祖登龍を探し出すべく、権謀術数を巡らせて、積極的に動く。
知略のみならず、武術の造詣も深い。多人数の相手が襲ってきても、軽々と勝利できるほどの実力を持つ。戦うシーンには、吹雪が伴う演出が多い。
「霹靂朝靈闕」本編が公開される前に、霹靂布袋戲Youtube公式チャンネルの予告映像で、傲神州と共に登場した。祭火秘天珠を巡って、傲神州と交戦した様子が見られる。この戦いの後、傲神州とある取引を行った。
不全鷹
義兄・祖登龍の行方を探すため、最初は北雲折翼・不全鷹（ふぜんよう）と名乗って、祖登龍の宿敵である香六牙に接近した。香六牙が創設した学校「湯問夢澤（とうもんぼうたく）」に潜入して、油断させる。自らの両足を断ち、身障者として、下半身が義肢の状態で入学した。上述した傲神州との交戦でも、義肢を使って戦っていた。
湯問夢澤では、「霹靂靖玄錄」シリーズに登場した琴狐や江南春信などと同期である。琴狐たちの卒業後も学校に残り、後輩たちからは「大先輩」として尊敬された。不全鷹の姿で活動した時は、車椅子に乗り、引きこもりで孤独な身障者を演じていた。長年潜伏して、実力を隠し続けた代わりに、香六牙から大きな信頼を得る。
八無暇の決起と共に、正体を現す。祖登龍の行方を吐かせるべく、湯問夢澤の所属者たちを次々と虐殺。これにより、湯問夢澤は事実上全滅された。西窗月たちが湯問夢澤の惨状を目の当たりにしたところで、「兵災雪」として正式に登場する。
算雪の死
兵災雪の過去には、恋人の算雪（さんせつ）がいた。算雪は義弟・愁傘人の実の妹である。算雪は占いに長じる女性で、昔に祖登龍を占ったところ、祖登龍の陰謀を見抜く。口封じのために、算雪が兵災雪の剣によって命を落とす。祖登龍の指図だが、義兄への忠義のあまりに、兵災雪は真実を隠し続けた。算雪の死から、愁傘人は兵災雪を恨むこととなり、八無暇の内部で綻びが生じる。
祖登龍の復活
そんな中で、兵災雪は八無暇に残ったメンバーたちを率い、祖登龍の行方を探し始める。傲神州との取引を利用して、三度にわたって八無暇の戦いに協力させた。幾度もの戦いを経て、祖登龍を見つけ、八無暇が再び武林に脅威をもたらす。だが、兵災雪が見つけた祖登龍は本物ではなく、祖登龍の宿敵・香六牙が扮した偽物であった。
八無暇の義兄弟たちの間には、七趣寶樹（しちしゅほうじゅ）の力で、命の契約を交わしている。八人のうちに一人が死亡しても、七日以内に義兄弟に生き残りがいれば、全員が復活する効果がある。香六牙は八無暇を全滅させるために、祖登龍のふりをしていた。義弟たちが香六牙の計で亡くなっていく中、兵災雪は香六牙の正体を見抜く。
香六牙との交戦で一度敗死するが、頭脳担当の兵災雪は、後手を残した。七趣寶樹の契約は、義兄弟たちが生んだ子供にも適用する。祖登龍の実子である步虛行をあらかじめ保護したことで、八無暇の全員が復活。それと同時に、本物の祖登龍が正式に復活する。兵災雪の計略で、香六牙の策を完璧に阻止した。
大義のために
復活した本物の祖登龍は、地獄鳥の力を駆使して、武林で残虐の限りを尽くした。阿鼻叫喚の世界と化した最中、香六牙は自らを犠牲に、地獄鳥を天堂鳥に浄化する。地獄鳥を再び支配するために、祖登龍は本性を現す。七趣寶樹による契約は、義兄弟たちを地獄鳥の力を温存する道具として、利用するためだった。契約を解除することで、祖登龍はさらなる力を得る。そのため、祖登龍は契約のカギとなる憂靈召命を殺害した。
義兄の行為に疑いを生じた兵災雪は、愁傘人に算雪の死の真相を明かす。その後、祖登龍の真意を探る。祖登龍の冷酷さに大きく失望して、ついに堪忍袋の緒が切れる。算雪の死と義弟たちの犠牲は、すべては祖登龍の野望を成就させる過程に過ぎなかった。大義のために、兵災雪は愁傘人と共に、決裂した祖登龍と交戦。戦闘の途中で重傷を負い、愁傘人と逃亡する。
その後、少陽君ら中原の豪傑たちが祖登龍と戦う中、割り込んで参戦する。激戦の果てに、祖登龍に勝利した。祖登龍の再生を阻止するため、兵災雪は身を挺して、祖登龍を抱えて玉砕する。これにより、祖登龍の肉体を完全に破壊した。兵災雪は水に沈み、行方不明になる。その体は、どこかに漂着された。
称号「八月濤聲」の元ネタは、唐の詩人・劉禹錫の作品『浪淘沙』から取った単語である。本来は中国浙江省の銭塘江で、潮が最も激しい旧暦の八月に、その強烈な波の音を指す。兵災雪はそれに転じて、「怒涛のような激しい勢い」の意味で使った。
旧暦の八月が新暦では、8月下旬から10月上旬ごろに当たる。季節的に兵災雪と合わない。だが義兄弟のために積極的に動く姿と、圧倒的な力で敵をせん滅する様子は、激しい勢いそのものである。
- 公式人物資料（兵災雪）※中国語
