カードテキスト
手札からレベル5以上の通常モンスター1体を特殊召喚する。
概要
上記のテキストの通り、手札から高レベルの通常モンスター一体を特殊召喚するという非常にシンプルな効果の通常魔法。遊戯王OCGにおいて(というかTCG全体に対して言えるようなことだが)「効果テキストが短いカードは強い」とよく言われるが、このカードに関してはデッキのコンセプトによっては確かに有用と言えるものの、どんなデッキに入れても活躍できるような凄味があるとは言い難い。青眼の白龍やブラック・マジシャン、E・HERO ネオスなどを起点としたテーマデッキなどでなら、手札事故を防ぐ意味でも活躍できるかもしれない。
そんなわけで、効果だけ見ると取り立てて強力とは言い難く、良くも悪くも平凡なカードと言える存在である。しかし、このカードが初登場した時、そしてこのカードを手に入れた時、古参のデュエリストや原作マンガの読者は一様に感慨深い想いを抱いた。
このカードの効果はまさしく「古のルール」という名前が相応しいものだったからである。
最初期の頃の遊戯王OCGには、高レベルモンスターの召喚にコスト(リリース)が必要というルールは存在しなかった。シンクロ召喚はおろか儀式召喚すら存在していない当時、ハッキリ言ってしまえばレベルなど飾りであった。高レベルなモンスターも幾らでも手札から出し放題。極端な言い方をすればより強いモンスターをより早く召喚できた方が勝ちという非常に大味なカードゲームだったのである。
そして効果モンスターは指折り数えられる程度しか存在せず、しかもそのほとんどがレベル4以下、高レベルの効果モンスターは基本的に特殊召喚モンスターで、テキストにはその召喚条件が書かれているだけだった。対象が「手札のレベル5以上の通常モンスター」に限定されているのは、つまりはそういう事である。
余談だが、エレキテルドラゴンのフレーバーテキストには、このモンスターが「古のルール」によって捕獲が禁じられていることが記されている。このカードのイラストに描かれている竜のようなモンスターも、もしかするとエレキテルドラゴンなのだろうか。
リアル「古のルール」
当時「公式ルール」と呼ばれていたルールはあまりにも大味すぎたため、より戦略性の高い「エキスパートルール」が急ピッチで開発され、やがてはそちらが主流となっていった。そのため、本当に最初期の頃から遊戯王OCGをプレイしているプレイヤーでない限りはほとんど触れたことのないルールである。
現在主に採用されている「新マスタールール」と比べてみても、非常に多くの違いがある。部分的に噛み砕きながら紹介していくと、
- どんなレベルのモンスターでもリリース無しで召喚できる
- 魔法・罠カードはそれぞれ1ターンに1枚しか手札から出せない
- 永続魔法、速攻魔法、儀式魔法、ペンデュラムモンスター、カウンター罠が存在しない
- 手札の枚数に上限が無い
- 融合はフィールド上のモンスターでしか行えない
- 儀式モンスター・融合効果モンスター・シンクロモンスター・エクシーズモンスター・リンクモンスターが存在しない(その為当時のエクストラデッキは融合モンスターしか入らず、その事から当時は「融合デッキ」と呼ばれていた)
- メインデッキは40枚以上(上限無し)、サイドデッキは10枚以下、融合デッキ(エクストラデッキ)は枚数無制限
- デュエルフィールド上にエクストラモンスターゾーンが存在せず、融合モンスターは直接(メイン)モンスターゾーンに出せる上、自分の(メイン)モンスターゾーンに空きがある限り何体でも並べられる
- どちらかがデッキ切れになった場合、その時点でより多くのライフポイントを残しているプレイヤーが勝利する。
最初期の「公式ルール」を現代のカードプールでプレイしてみると色々と酷い事になりかねないが、興味があれば仲間内でちょっと試してみるのも一興かもしれない。
「エキスパートルール」への移行から2期「新エキスパートルール」までの間、「ジュニアルール」も存在していた。
最初期ルール同様生贄無しで高レベルモンスターを通常召喚出来るのが特徴。モンスターによる戦闘が中心となるようにデザインされており、魔法・罠カードの使用制限が厳しめになっている。
- 魔法・罠カードはどちらか片方を裏側表示で1ターンに1枚しかセット出来ない
- セット後、魔法カードは次の自分のターンから、罠カード及び速攻魔法カードは次の相手ターンから発動可能。
- 魔法・罠カードの発動はそれぞれ1ターンに最大1枚まで。
- フィールド魔法カードはこのセット枚数及び発動回数制限から除外され、即座に発動可能。自分が発動した時、既に相手の場にフィールド魔法がある場合、そのカードは破壊される。
- スペルスピード(※)に関する扱いは新エキスパートルールと同じ。
※カードの発動速度でチェーンブロック処理に関連する。1から3まであり、1(速攻以外の魔法や誘発即時以外の効果モンスター)が最も遅く、チェーンブロックを作れるのが2(カウンター以外の罠と速攻魔法と誘発即時効果)以上、3(カウンター罠)が最速。カウンター罠も参照。
2期初出の事例
- 魔法カード「闇の訪れ」
「魔法の支配者」で登場。フィールド上の表側攻撃表示モンスターを裏側攻撃表示に出来る唯一のカードだった。
しかしリンクモンスター登場も兼ねた新マスタールール移行時にエラッタが施され、表側攻撃表示を裏側守備表示にするように改められた為、裏側攻撃表示そのものがルールから消滅した。
恐らくルール上守備表示に出来ないリンクモンスターを他のカードとの併用で裏側守備表示にしてしまう可能性を考慮したものと思われる。
- 永続罠カード「生贄封じの仮面」
「仮面の呪縛」で登場。詳細は当該記事参照。
現行ルールではリリース/アドバンス召喚となっているが、登場当時は生贄に捧げる/生贄召喚であった。現在でもカード名はそのままで、当時のルールの面影を残す。
3期初出の事例
- 罠カード「生贄の抱く爆弾」
「闇魔界の脅威」で登場。理由は上記の「生贄封じの仮面」と同じ。
生け贄召喚(アドバンス召喚)が発動条件に含まれる為、生け贄召喚が存在しない最初期ルールでは使用不可能で、旧ルールで使いたい場合はエキスパートルール以降となる。
関連動画
関連タグ
遊戯王ラッシュデュエル:こちらは通常召喚を何度でも行える。