「こんな強力なカードもあるんだ!」
概要
サンダー・ボルトは、遊戯王OCGに存在する通常魔法カードである。
その強力な効果から2004年3月1日より禁止カードになっていた。
海外では2014年10月に制限復帰を果たし、2019年4月1日、日本でもついに制限復帰を果たした。実に15年ぶりの公式のデュエルでの使用可能となる。
その後海外で無制限となり、日本でも2022年7月1日に制限解除となった。
効果テキスト
通常魔法
(1):相手フィールドのモンスターを全て破壊する。
解説
効果は極めてシンプルで、相手モンスターの表示形式・攻撃力・守備力・レベル等を問わず全て破壊する。
テキストはたった一行。「単純なテキストほど強い」を地で行く効果である。
「それ以外に何も書かれていない」と言うことはすなわち発動時にコストを要求せず、使用後のデメリットも存在しないということを意味する。
因みにこの初期版の単純すぎるテキスト故に、「相手のデッキや手札のモンスターも破壊できるのでは?」というデマが流れた事もあった。
『遊戯王』を全く知らない人でも、テキストから「強そう」となんとなく想像できるくらい強力。
対となるハーピィの羽根帚とセットで使うことで、相手のフィールドを簡単に更地にできた。
相手がモンスターを使用しない特殊なデッキでもない限り、1枚で形勢を逆転できるカードである。
そのため他の除去カードと異なり「とりあえず」感覚で無理なく投入できる。
自分フィールドを巻き込むブラック・ホールすら禁止や制限を往復していたのを考えると、いかにノーコストかつ相手フィールドのみの除去が強力であるかが分かる。
現在は完全下位互換となる「ライトニング・ボルテックス」が存在し、こちらは特に制限がない。
条件・効果面でかなり調整がされているカードで、発動時にコストとして手札を1枚捨てなければならず、表側表示モンスターしか破壊できないという制約がある。
なお、このカードですら制限カードであった時期もある。
海外では日本より前に禁止から解除されており、代わりに伏せ除去の定番である大嵐やハーピィの羽根帚が禁止になっており、モンスターを取り除いても伏せカードを取り除きにくく攻撃が通らない、という可能性が高い。
国内と海外で環境バランスの取り方が異なっている一例といえよう。
余談だが、このカードや前述のライトニング・ボルテックスをはじめ、遊戯王OCGにおいて「雷」や「電撃」をイメージしたと思われるカードには、複数枚のカード(特に表側表示のモンスターカード)を一挙に破壊するなどのド派手な効果を有するものが少なくない。
また、名前も効果もこのカードを意識したと思われる「サンダー・ボトル」というカードも存在する。こちらは永続罠であり、単純に罠カードとして発動させただけでは効果を発揮しないが、効果そのものはサンダー・ボルトとほぼ同じ。
規制の歴史
登場
遊戯王カードの1999年3月18日発売の「STARTER BOX」に収録されたのが初出。
これはシリーズ第一弾であるVol.1発売より一ヶ月後に発売された最初の構築デッキであり、シリーズ最初期のカードである。
発売直後は、罠や魔法のバリエーションが非常に少なく、効果モンスターもまだ登場していなかった上に、そもそもモンスター召喚時の生け贄が不要だった時代であり、戦闘はただの力と力のぶつかり合いでほぼ決着がついていた。
そのため当時は単純に攻撃力3000の青眼の白龍が最強であり、サンダー・ボルトはそれを抑える有効手段として機能していた。
ちなみに最初期のルールでは、デッキ構築の一例としてこのカードや心変わり、死者蘇生などが平気で三枚入っているものが紹介されていた(この当時デッキ枚数は最低40枚というだけで上限が無かった)。
今から見れば信じられない、時代を感じる話である。
制限カード入り
しかし、発売された年に生け贄システムが導入され、青眼の白龍が一気に弱体化。
そして同時に設けられた「制限・準制限カード」で、サンダー・ボルトは準制限を素っ飛ばして最初の制限カードとなった。
禁止カードへ
そして2004年3月1日に『禁止カード』が設けられると当然のようにそれに指定され、『遊戯王』初の禁止カードとなった。
以来長らく緩和されていないため、禁止カード設立以後に始めた人にとっては全くなじみのない、ある意味伝説のようなカードである(前述のようにゲーム作品を楽しんでいる場合は別)。しかし2014年10月1日適用の海外の禁止・制限カードで海外では制限カードについに復帰。
制限カードとして復帰、制限解除
近年の環境デッキは破壊耐性持ちのモンスターが当たり前のように複数盤面に登場、全体除去ですら容易に無効化できて当たり前、少ないカードで大量展開できるのですぐに立て直し可能というギミックを複数もしくは全部搭載しているデッキばかりであり、このカードは通り辛い上に通っても効果が薄くなってしまった。また先攻で引いてしまうと通常魔法の除去カード故に展開にも相手の封殺・妨害にも使えず腐るリスクを抱えてしまうことからメインデッキはもちろんサイドデッキにすら投入しないプレイヤーもおり、同じように採用をされないこともあるハーピィの羽根帚と同じく時代の流れを感じさせられる緩和となった。
しかしもちろん効果は変わらず一方的に相手モンスターを破壊するので通ってしまえば強い。展開札やドローカードをブラフとしてちらつかせて無効にさせこのカードを通し形勢逆転といった使い方もできるし、逆に無効化されたら無効化されたでその分別の効果を発動できるので、このカードを見せてカウンターさせその後に本命を通すという使い方も可能。
ハーピィの羽根帚やブラック・ホールも同様だが、これは通ってしまったらボードアドバンテージを大きく失う単純明快な大型除去ならではの扱い方である。
もちろん相手に使われることもあるのでマストカウンターはこれまで以上に慎重に見極めたい。
そしてこのカードがさらに輝くのは優勢時もしくはダメ押しの一発として打つ場合だろう。対策がされてしまうとはいえその多くがデッキがちゃんと回っている場合に発揮されるものであり、そうでなければ往時の輝きを取り戻す活躍を見せてくれる。なので強力な低速デッキやコントロールデッキ等ならメインからの採用も優先される。
ちなみに無制限化後にこのカードが刺さりやすいデッキが多く活躍する環境が来た事もあって再評価されトーナメントシーンでの採用率も上昇。2023年1月から準制限カードに規制強化される運びとなった。
場合によってはブラック・ホールと併せてフル投入し全体除去を連発して相手の盤面を崩すという戦術も見られ、これは評価が低めだった「通常魔法の全体モンスター除去」の意地を再び見せつけた、とも取れるだろう。
その後、後攻側の捲り札を増やすという意図もあるのか、2024年10月1日に制限解除されている。
魔法罠の除去も選択できるライトニング・ストームとは競合するが、こちらには名称1、表示形式の指定がない。
無制限カードに緩和されていた時期にはその判断にこの競合も影響したと思われる。
原作・アニメにおいて
遊戯王
アニメ版のバトルシティ編での「城之内VS闇遊戯」戦において、マリク・イシュタールに洗脳された城之内克也が使用した。
バトルシティの大会では直接ダメージを与えるカードと除去カードは禁止カードに指定されており、マリクの狡猾さを演出している。
原作では「ライトニング・ボルテックス」が使用されているが、効果はサンダー・ボルトそのものだった。
遊戯王GX
『遊戯王デュエルモンスターズGX』では、カミューラが「幻魔の扉」というカードを使用している。
その効果は「相手のモンスターを全て破壊し、さらに相手の墓地に存在するモンスター1体を召喚条件を無視して特殊召喚する」という凶悪なもの。
ただし、「使用者がデュエルに敗北した場合、幻魔に魂を奪われる」という恐ろしいリスクがあった。
召喚条件を無視するので、相手の墓地にさえあれば通常は蘇生不可能な古代の機械巨人や融合E・HERO等も特殊召喚できる。
タッグフォースシリーズではこちらもオリジナルカードとして収録されている。
幻魔に魂を奪われるというリスクは、エンドフェイズ時にLPが10分の1になるという効果になっている。
その性質上、とどめを刺すターンに使うのが定石であり、エンドフェイズを迎えなければリスクも関係ないというカードになっている。
このカードの効果で破壊した相手モンスターも条件を無視して蘇生できるため、とどめを刺すという状況はかなり満たしやすいチートカードである。
『タッグフォース1』では制限カードなのでそのまま投入できる。『2』以降は禁止カードに指定されている。
遊戯王SEVENS
遊戯王SEVENSおよび遊戯王ラッシュデュエルには、このカード名のパロディである
3Kボルトが登場しているが、モンスターを直接破壊する効果はない。
類似効果を持つカード
以下のカードは「サンダー・ボルト」のように規制されていないが、発動条件が設定されている。
- 滅びの爆裂疾風弾…「青眼の白龍」が自分の場に表側表示で存在するときのみ発動可能。このカードを使用するターンは青眼の白龍は攻撃できないというデメリット付き。しかし「青眼の白龍」が豊富なサポートカードのために場に出しやすいことや、このカード自体も「光の霊堂」でサーチできること、効果発動後に攻撃できない「青眼の白龍」を融合などの素材にしてデメリットを踏み倒すといった使い方もできるので一概に下位互換とは言いづらい。
- E・HEROアブソルートZero…このモンスターが自分の場から離れた時に発動する。離れた「時」に「発動する」効果なので融合素材にするなどの効果の一環として能動的に場から離しても発動して相手の場を一掃する。デメリットは融合モンスターであるが故の発動までにかかるカードコストの多さと発動条件の関係で即効性の無さ。これ自体は出してさえしまえば相手への強力な牽制となる上に融合素材の緩さという利点もあるのだが。また、「亜空間物質転送装置」等で一瞬だけ場から離れてその後戻ってくるカードであろうと例外なく効果を発動し、場のモンスターの効果を無効にする「スキルドレイン」影響下では「場から離れた時」=「発動しているときの場所は場ではないから無効化されない」という理屈で問答無用に相手の場を一掃するなど、時に「サンダー・ボルト」以上の凶悪さを見せることもある。
避雷針
サンダー・ボルトの効果を相手に跳ね返す「避雷針」というカードが存在する。
こちらは全く規制されていないが、サンダーボルトの禁止化と共に一時期全く存在意義の無いカードとなっていた。一応入れるだけならできたが。
同じような境遇のカードとしては「ホワイト・ホール」(ブラック・ホール)、「壺盗み」(強欲な壺)、「グリフォンの翼」(ハーピィの羽根帚)などがある。
敢えてこのカードの優位性を説くならば効果を相手に跳ね返すためただ発動や効果を無効にするだけのカウンター罠カードと比べて効果が成立した際のメリットは大きいことか。
しかし通常罠カードであるためこのカードを無効化されたり、「自分モンスターの代わりに相手モンスターを全て破壊する」という効果のせいで相手モンスターが存在しないときには発動できないなどの弱点も存在する。