概要
自分が住んでいる国(国家)を、侵略者やテロリストなどの国家を脅かす敵から守ろうとする意識のこと。この「国家を脅かす敵」とは近年ではサイバーテロや未知のウイルスなども含まれる。
日本人は国防意識が低いと言われているが、1995年に日本国内で起きた地下鉄サリン事件、2001年9月11日に発生したアメリカ同時多発テロ事件、2020年にパンデミックを起こした新型コロナウイルス感染症「COVID-19」の流行による社会・経済的影響(コロナ禍)などの影響は大きく、言われるほど平和ボケしている訳ではない。
日本における状況
そもそも日本人の国防意識が低い理由は、戦後教育にある。徹底的に贅沢を禁じる戦時国策の窮屈さ、戦争の悲惨さがあまりにも強烈だったため、戦前の戦争と軍を徹底的に否定した、ウォー・ギルト・インフォメーション・プログラムが国民に浸透した。
- 『ぜいたくは敵だ』『欲しがりません勝つまでは』らの数々の国策標語に支配された戦前の教育とプロパガンダ、敗戦のショックから反動が起こったという面もある。
「我々は標語に支配された」戦時中の数多くの国策標語『欲しがりません勝つまでは』...民衆巻き込んだ"国後援の標語公募"(2022/08/18・MBSNEWS)
その結果、軍を持つこと=戦争になるという日本人特有の思考に陥ってしまっている。
国防を在日米軍に殆ど任せっきりにしてきたことも、国防意識が失われていった一因に挙げられる。冷戦期を乗り越えられた大きな理由は、在日米軍の存在にあるが、日本人は戦争が起きなかった理由が憲法第9条の存在だと盲目的に信じ込んでしまった。
そもそも憲法第9条は自国が戦争に踏み切ることを抑制する憲法であり、相手方が侵略してくるのを抑制できる効力があるわけではない。
戦後、在日米軍軍属が日本国内で犯した婦女暴行・ひき逃げ・タクシー強盗などの犯罪や沖縄県民の反対の声が上がるなかオスプレイが配備されたこと等に抗議し在日米軍の撤退・基地縮小を求める動きもあるが、もし本当に在日米軍が日本から撤退しようものなら日本は国防を自国のみで賄わねばならず、軍事費の増加や徴兵制の復活も議題に上がるだろう。
海外における状況
イスラエル
だいぶ昔の自衛隊広報誌に、イスラエル軍人の日本の国防に対する意見が掲載されており、そこには日本人の考えが甘すぎると非難されていた。他国の侵略を長らく経験しなかった島国と、何千年も国を追われてやっと建国した人間との意識と経験の差である。
そのイスラエルであるが、2023年10月7日に、パレスチナ自治区のガザ地区を実効支配するイスラム武装組織ハマスがイスラエルに向けて数千発のロケット弾を発射。ハマスの戦闘員がイスラエルに侵入して南部を襲撃した。イスラエルのネタニヤフ首相は「戦争状態にある」としてガザ地区に激しい空爆を行っている。
国連総会は10月27日、イスラエルとイスラム主義組織ハマスの交戦が続くパレスチナ自治区ガザの情勢に関する緊急特別会合を開き、「即時かつ持続的な人道的休戦」を求める決議案を採択した。全193か国のうち120か国が賛成した。
- 安保理常任理事国5カ国は、賛成は中国・ロシア・フランスも入って、英国は棄権、反対はアメリカのみ。
- G7では、フランスが賛成、アメリカが反対、そのほか5カ国(英国、ドイツ、日本、イタリア、カナダ)は棄権にまわった。