富、名声、力、この世の全てを手に入れた男、海賊王ゴールド・ロジャー
彼の死に際に放った一言は人々を海へと駆り立てた。
「おれの財宝か…?欲しけりゃくれてやる……」
「探せ!!!この世の全てをそこに置いて来た!!!」
男達は、グランドラインを目指し、夢を追い続ける。
世はまさに大海賊時代!!!
概要
少年漫画ONEPIECEにおける架空の時代設定。
海賊王ゴールド・ロジャーこと、ゴール・D・ロジャーによって発生したとされる。
原作冒頭、もしくはテレビアニメ版では各話ごとの冒頭に、海賊王ゴールド・ロジャーの死に際に放った一言は、人々を海へと駆り立てたという文言と共に、世はまさに、大海賊時代と繋がる。
沿革
大海賊時代は、ゴール・D・ロジャーの死によって始まったとされるが、実際には少々事情が込み入っている。
まず、大海賊時代以前、何故ロジャーが海賊王と呼ばれるに至ったかと言うと、それは彼が不可能とされた偉大なる航路の制覇、即ち世界一周を果たした末に、ひとつなぎの大秘宝とされるワンピースを手に入れたからである。
富、名声、力の全てを手に入れた者だけが手に入れることができるとされるその宝を手に入れたロジャーを世間は海賊王と呼んだ。
その後、ロジャーは以前から患っている不治の病により余命幾許もないことを悟り、生まれ故郷である東の海にある町のローグタウンにて処刑されることになったが、その際に見出しの項目にある言葉を聴衆に投げかけ、これをきっかけに世界中で海賊たちが横行をはじめ、大海賊時代と呼ばれる時代が始まる。
実情
ストーリーとして言えば、物語の主な舞台であり、主人公であるモンキー・D・ルフィが活躍する時代ということもあって、肯定的に紹介されることが多いが、端的に言って世紀末的な世界である。
各地では大海賊時代という名目で無法者たちが大手を振っており、例としてバギーによる町の占領や破壊、アーロン率いる魚人海賊団による約10年にも及ぶココヤシ村支配、そして何よりもサー・クロコダイルやドンキホーテ・ドフラミンゴといった本来海賊に対する抑止力となるはずの王下七武海ですら影で社会的犯罪を繰り広げており、こういった国家転覆を行えるだけの規模を持つ犯罪者集団が跳梁跋扈している時代である。
アーロンがココヤシ村に襲撃してきた際、幼いナミとノジコを密かに逃がそうとしていたDr.ナコーの「こんな時代に甘えは無用じゃ!」という言葉が、大海賊時代が一般人にとってはどのような時代であるかを端的に物語っている。
FILM Zでは海賊によって全てを奪われた元海兵が大海賊時代を巻き込んだ無理心中を起こそうとした。
FILM REDでは上記の大海賊時代の闇がクローズアップして描かれており、力を持たぬ民衆たちにとって大海賊時代がいかに悲惨なものかがより分かる。
そしてそのREDでは人々から救世主と祭り上げられた歌姫が自らの能力で人々を大海賊時代から解放するため新時代を作ろうとした。
だが、因果を辿ればこの世界が抱える絶望的な闇、歪みこそが大海賊時代の背景となっている。ONEPIECE世界では世界政府という統治機構が海を支配しており、更にその上には天竜人と呼ばれる絶対支配者が君臨している。だが、彼等の統治は腐敗しきっており、無能な王による暴政や人をゴミか何かとしか認識していない天竜人の横暴によって数多くの民衆が理不尽な不幸を被っている。世界政府加盟国ですらこの有様なので、非加盟国ではもっと悲惨な状況が広がっており、人権すらろくに保障されないこの世の地獄がそこかしこに存在しているのである。抗いようのない支配構造、出口の見えない貧困、残酷な人種差別、果てなく続く戦争、そういった絶望的な社会状態の中で、持たざる者が最後にたどり着くのは何時の時代何処の世界でも【犯罪】である。そして、この世界に於ける最もポピュラーで「自由」な犯罪者こそが【海賊】なのである。
ロジャーの言葉は、そういった明日をも知れぬ命を生きる者達に、光り輝くような希望を与え、海へと駆り立てたのである。
そして、同時に海賊達の横暴による悲劇もまた、世界各地に広がっていた。
大海賊時代は、海賊にとってはロマンと冒険の時代であり、民衆にとっては犯罪者が跳梁跋扈する地獄の時代なのである。
モデル
モデルとなったのは、現実の世界における大航海時代とカリブ海に海賊が跋扈した海賊の黄金時代と思われる。