概要
北海道帯広市の帯広駅と北海道広尾郡広尾町の広尾駅を結んでいた鉄道路線である。
改正鉄道敷設法第133号に規定する「膽振國苫小牧ヨリ鵡川、日高國浦河、十勝國廣尾ヲ經テ帶廣ニ至ル鐵道」の一部として1929年11月2日に帯広駅~中札内駅間が開業。1932年11月5日に全線が開業した。
さらに様似駅まで延伸して日高本線と接続する計画だったが、この区間は未開業に終わり国鉄バスで連絡していた。
1973年に『新日本紀行』で取り上げられたのを機に愛国駅から幸福駅までの切符が「愛の国から幸福へ」として人気となり、現在にも至る縁起物切符ブームの火付け役となった。
しかしブームは一過性のもので同線の営業改善にはつながらず、1980年(昭和55年)制定の国鉄再建法により、第2次特定地方交通線に指定され、国鉄分割民営化直前の1987年(昭和62年)2月2日に全線が廃止された。
駅一覧
廃止後
廃止後は並行してバス路線を運行していた十勝バスが代替バスを運行しているが、沿線の過疎化の影響で乗車率は低迷している。
また十勝バスは愛国停留所から幸福停留所までの硬券乗車券も販売している。
廃線跡は多くの駅が交通公園として残されており、1990年代ごろまでは鉄道車両も保存されていた。
- 北愛国駅:1990年代までは駅跡周辺にある北愛国会館に「広尾線北愛国駅跡地」と書かれた標柱が設置されていた。
- 愛国駅:駅施設が交通記念館として保存されており、1975年に同線を最後に走った蒸気機関車である9600形19671号機が保存されている。
- 大正駅:1997年までは駅舎とホーム、0系新幹線が保存されていた。現在は跡地にホームが新設され駅舎に似せた公衆トイレが建てられている。
- 幸福駅:駅施設が交通公園として保存されており、キハ22形気動車2両と除雪用モーターカーが保存されている。
- 中札内駅:駅跡が記念公園として整備されており、腕木式信号機と有蓋車2両(うち1両は側面をくり抜かれ遊具となっている)が保存されている。
- 更別駅・上更別駅:駅跡に記念碑が建てられている。
- 忠類駅:駅施設が交通公園として保存されており、ワム80000形・トラ70000形・ヨ6000形の3両の貨車が保存されている。
- 大樹駅:駅舎は十勝バスの待合所に転用され、構内にはオハ62形・スユニ60形各1両と貨車2両が保存されていた。車両は老朽化により2000年頃に撤去され、駅舎は現在北海道衛星株式会社の本社が入居している。
- 新生駅:待合所、トイレ、自転車置き場が放置されており劣化しながらも残存している。
- 広尾駅:駅施設が鉄道記念館として保存されており、2018年までは駅舎がバス待合所として利用されていた。