概要
チュンソフト(現・スパイク・チュンソフト)が手掛けたダンジョン探索型RPGの金字塔『不思議のダンジョン2 風来のシレン』に登場する旅仲間の1人。
数々の後発作品に続投するお竜やペケジとは異なり、リメイク版を含む第一作のみの出演であるため、3人の旅仲間の中では最も知名度が低い。
人物
無骨な盲杖に仕込んだ長ドスから繰り出される達人級の居合術と、こばみ谷のあちこちで迷惑の種となっている半人前の指圧術の持ち主。
仲間にするにはシレンも彼の指圧を受け、なおかつそれが成功しなければならない。
モデルは勝新太郎の当たり役『座頭市』だが、一部の発言の末尾に遊女言葉の「やんす」を付ける違いがある。
作中の動向
詐欺まがいの指圧による荒稼ぎを重ねた末、遂に山頂の町の住人に捕まって袋叩きに遭う因果応報の結末を迎えるが、旅の中で知り合った風来人のシレンがたまたまこの現場を目撃して仲裁に入り、救われた大恩を返す一念から過酷な長旅の助勢を申し出る。
実は、肝心の視力には何の問題も抱えていない全くの健常者であり、「目が見えないフリをしていた方がそれらしいから」という単純な理由で盲人を装っている。
ちなみにSFCのイラストはゲーム本編のグラフィックのようにヨボヨボとした爺さんっぽい見た目をしているが、リメイク版では元ネタの座頭市に似せたイケメンキャラになっており、ものすごく格好良く見える。グラフィック上は変わってないのだが。
小説版『風来のシレン 黄金郷アムテカに舞う花』では、テーブル・マウンテンの中腹に位置する地下水脈の村を故郷としており、村の村長であるヤブメの息子として登場する。ヤブメは伝説の黄金都市アムテカの王族の子孫であり、ケチはアムテカ王族の末裔にあたるという、壮大な設定を与えられた。
――アムテカは魔蝕虫によって滅ぼされ、雪辱を果たし都へ帰還する事を一族の悲願としている――これを幼い頃から聞かされていたケチは、剣の腕を磨き、やがて修行の為に放浪するようになる。また、指圧の技術は伏せがちになったヤブメを楽させる為に身につけたとされている。
とあるきっかけでシレンと出会い、彼の力があれば魔蝕虫からアムテカを奪還できると確信し、共に「黄金郷」を目指す事となる。
能力
視力の如何に関わらず、冴え渡る居合でシレンの戦闘を直接サポートする頼もしい存在である一方、シレンの体調を懸念して勧める指圧術には難があり、成功すれば壷アイテム「背中のツボ」(HP・状態異常全回復)と同等の効果を得られるが、失敗するとHP-10、力-4、満腹度-30%という救いようの無いマイナス効果を発現し、HP10以下の状態で指圧に失敗した場合は「座頭ケチの指圧に失敗し、たおれる。」というあまりにも不名誉な番付短評が記される。
失敗しても次に成功させればHPと力は帳消しにできるが、満腹度だけはどうにもならない。
剣の腕は優れているとは言ったが、蓋を開けてみれば実力はお竜や最強状態のペケジ(5回目以降の同行時)に劣り、HPから見た防御力の低さと特殊能力の関係からネブリ山廃坑時点で明らかに運用が厳しくなるため、縛りプレイや攻撃エフェクトの好みなど余程のこだわりが無い限りは仲間に誘われない人気の低さが先述の知名度に直結する一因となっている(一応ペケジと違い最初から戦力になるという利点はある)。
リメイク版では攻撃力の再設定でお竜との差別化が図られたが根本的な解決には結び付かず、やはり活躍の場は少ない。
誤解
そもそも、座頭とは盲目を抱えて一般職に就き難い者のための組合における序列を指し、大きく分けて「検校」(けんぎょう)、「別当」(べっとう)、「勾当」(こうとう)に続く第四階を意味する。元来は琵琶法師に用いられていた位階だったが、後世になって先述の組合に所属しつつ指圧や鍼灸などを専業として生計を立てる視覚障害就労者を表す肩書きに変化したものである。
即ち、座頭ケチはそれが個人を示す一つの名前なのではなく、肩書きが頭に付いた「座頭のケチ」、もっと砕いて言えば「指圧や鍼灸を生業とする盲目のケチさん」となる。
関連イラスト
「旅は1人より2人、2人より沢山が良うござんす。そうでやしょ、ダンナ?」