概要
イラストレーター・漫画家の松(A・TYPEcorp.)が提唱する『不幸な境遇の人物が幸せになる話』を指す言葉。
具体的には、自力では這い上がれない底辺の環境から、誰か(主人公など)がきっかけとなって、またはその助けを借りて不幸な人物の事態が好転する話のこと。
この不遇な状況とは、本来誰もが手にしているものすら与えられていないどん底を意味する。
事態の好転に関しても、初手は飽くまでマイナスをゼロにする段階となる。
これらの点がシンデレラストーリーのような成功談とは大きく異なっている。
鉄の掟
上記の概要からもわかるように、ストーリーラインさえ合っていれば『救われ系』には現代もの・歴史もの・SF・ファンタジー・ホラー・サスペンス・恋愛もの等のジャンルを問わず、作風も様々な広範囲の作品が該当する。
しかし『救われ系』を掲げる以上、くだんの不幸な境遇の人物は必ず幸せにならなければならない。ハッピーエンドは不可欠の鉄則である。
当事者にとって悲しい結末を迎えるアンハッピーエンドはもちろん、客観的には不幸だが当事者にとっては幸福な結末となるメリーバッドエンドも、誰にとっても幸不幸が混在する結末のビターエンドも『救われ系』には当てはまらない。
不幸な境遇の人物が必ず幸せになる。これが『救われ系』の最低限の条件であり、必須要素である。
読み終えた読者も同時に救済する作品であれば、より救われ系を体現している。
ハッピーエンドまでの過程
救われ系を語る時、頻繁に出されるのが『最終的に救われることが確定しているのなら、その過程ではどれだけ不幸な目に遭わせても良いのか』という意見である。
これについて提唱者の松(A・TYPEcorp.)氏は、「作家性に委ねるが限度はある」と見解を述べている。
不幸な人物の境遇が改善されていく途中で、『試練を与えられる』『心を曇らせられる』などの出来事に見舞われるのは、物語に深みを与えるためや刺激を加えているとも取れるので許容範囲と言える。
ただし必要以上に『不幸な人物を傷つける展開』に力を入れるのは、『救われ系』の主旨から外れてしまうことになる。
結末の救済を担保にして不幸な人物に非道な行いをするのは、『救われ系』の本意ではない。
飽くまでも『救われ系』とは、不幸な境遇の人物が幸せになる過程を描いてほしい。
救う側が主人公である必要性
物語の主人公でなくとも、いわゆる名無しのモブキャラであっても、『不幸な境遇の人物を幸せにする』ことは可能である。
ハッピーエンドの鉄則が守られていれば『救われ系』に含まれると思われるが、現時点では救う側の定義は特に定められていない。
救われ系に該当する作品
※上記の定義を基に、救われ系作品をご存じの方は追記をお願いします(作品名別・50音順)
【注記】
※1 未完の作品は、作者や製作者が公式にハッピーエンドを確約しているものに限る。
※2 ジャンルの特性から結末のネタバレが避けられないため、ハッピーエンドが判明しても問題ない作品に限る。
※3 スピンオフなどの派生作品も該当する場合には、原典の後に追記。単なるメディアミックスは対象外。
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