概要
『忍者と極道』に登場する表社会を追放された医療関係者で結成された闇医者のグループである。
白黒に分かれた白衣を身に纏い、デスメタルやヴィジュアル系バンドを彷彿とさせるド派手なメイクを施したかなり怪しい外観をしている。
更にメンバー全員が麻薬で現実逃避をしないと耐えきれないほどの深刻なトラウマを抱いており、総理官邸襲撃後の宴では麻薬入りワインでバカ騒ぎをしていたが、繰田病院での診察シーンや出撃前の集会ではこの世の終わりのように大声で泣き叫ぶといった異様な光景を繰り広げていた。
構成員
繰田孔富
リーダー。破壊の八極道の一員で、「怪獣医(ドクター・モンスター)」の異名を持つ。
詳細は当該記事を参照。
艶道(エンドウ)(メイン画像左から2番目)
作中で最初に現れたメンバーで、濃い目のリップとチェーン付きのメガネが特徴的な外科医。見た目は若く見えるが実年齢は34歳。妹である小夜子を幼い頃喪ったことで医師を志し、かつては繰田・左虎と並ぶ名医「赤毛の天才医(レッド・ジャック)」として注目されていた。
ある日彼の前に小夜子と瓜二つの見た目、「自分の脚でオリンピックを走りたい」という同じ夢、そして同じ肉腫を抱えたみきこという少女と出会う。しかし院長は治すことは不可能だと脚の切断を決断。必ず治すとみきこに誓った彼は諦めきれず薬物をも使い昼夜を問わず症例や論文を探し、ついに孔富の書いた彼女を治せる術式を見つけ独断で手術を行う。しかしあと一歩のところで他の医師に見つかり手術は中断。同時に薬物取締法違反で駆けつけた警察に捕まりそうになり逃亡し、その際手術で脚を失ったみきこと出会う。約束を守ってもらえず夢を失った恨みから「死んじゃえ」と憎しみのこもった表情で告げられ、直後によそ見運転をしていたトラックが突っ込んできたことで艶道は一命を取り留めたが自身を追ってきた刑事共々みきこは死亡。その際孔富に拾われる形で入団した(余談だがその場には当時学生だったと思われるきわみも居合わせていた)。
孔富の右腕ポジションらしく、宴の際にも麻薬入りワインを一人だけ飲まずに孔富の補佐に徹しており、その後の繰田病院のシーンでも泣き叫ぶ事無く平然としていた。一方で出撃前の集会では他のメンバーと同じように孔富に縋りながら後悔と懺悔を泣き叫んでいた。
極道技巧(ごくどうスキル)は暗刃に似た構えから真空刃を繰り出す「黒旋術式(シュトゥルム)」。作中でも珍しい様々な型が存在する技巧であり、戦闘以外にも患部に触れることなく手術をする際に使っている。
作中では水運用センターでしのはと交戦。不可視の真空刃を繰り出す「黒施術式・壱ノ型(ディ・エアステ)」でしのはを攻め立てるが、右龍から届けられた麻薬水(ヤクみず)の血清を接種されたしのはの砂塵を流す忍手「壁霞」によって壱ノ型を見破られてしまうが、同時に展開されていた真空刃の自動防御「弐ノ型(ディ・ツヴァイテ)」によってしのはの右肩に筋断裂の重傷を負わせ、風の刃をしのはがまき散らした砂塵で黒く染めながらトドメとして攻防一帯の「終末型(ディ・レッテ)」を発動。周囲を破壊しながらしのはを追い詰めるが、屋外に誘い込まれ、さらにしのはが地面を破壊したことにより地下の貯水池に二人とも落下。そこに満たされた麻薬水によって両者とも酩酊状態に陥るものの同時に覚醒、「黒施術式」を封じられたものの、右腕を使えないしのはに対し勝利を確信するが、しのはの断裂した右肩の筋肉を自ら固結びにして繋ぎなおすという予想外の荒業で逆転され、忍手”暗刃”によって首を撥ねられる。
それでもなお生き延びるが、助かる見込みはないとしのはに己の敗北を告げ薬物の成分表を彼に渡した。そして本当は薬物で人々を救えないことはわかっていたこと、それでも人々を救いたかったことを告げ、突如現れた破壊の八極道の一人、砕涛華虎により殺害された。
上記の通り、しのはは視力回復後も首を撥ねる瞬間以外は艶道に有効打どころか近づくことさえままならず、しのはが彼に勝てたのは一か八かの賭けで技巧を封じたうえで騙し討ちに近い形での辛勝であった。故に戦闘力は他メンバーを比べてどころか下位の破壊の八極道に匹敵すると言える。
トラウマワードは「あの子」の「貌(かお)」恐らく先述のみきこの表情のことと思われる。
歪罹井(エリイ)(メイン画像右端)
「KILL ME BABY」の文字と胎児の刺青が特徴的な看護師の女性。眼帯もしているが、戦闘時には逆に外していた。
極道技巧は腹部から伸縮自在かつ異様な強度の寄生虫を放つ「孕みの蟲髑肢(サンディ・サンディ)」。
元々は産婦人科の看護師だったが、何らかの要因で妊娠が出来ない体となり、「それでは患者である妊婦の気持ちが理解できない」と判断して自らの体に寄生虫を埋めこんでいる。
上記の行動の通り元は不器用ながらも妊婦のことを考えていた真面目な女性だったものの、ある時ニュースで自分が初めて取り上げた子供がいじめを苦に自殺してしまったことを知り、更には自分が取り上げた子供がことごとく車中置き去り、一家心中、虐待など不幸な目に合い亡くなってしまったことを知り精神が崩壊。以降は反出生主義に近い考えを抱いてしまうと同時に薬物中毒になっていたところを孔富に拾われた。
作中では麻薬の流出を止めに来た雄鷹斗女と対峙。終始優位に立ち斗女のボディを破壊するまでに至るも、事前にロボと入れ替わっていた彼女の奇襲を受けて敗北。最後に自身の知りたがっていた胎児の気持ちを知って死亡した。
トラウマワードは「子供達」。
美陀(ヨシダ)(メイン画像左端)
カイゼル髭が特徴的な中年男性。戦闘時にはシルクハットを被っている。
極道技巧はただ声を掛けるだけで相手を自在に操る催眠術「夢遊ナル螺旋回廊」。
また、戦闘時には催眠に掛かった相手を束縛するベルトや、鋭利なステッキを武器にしている。
元々はあえて「患者に寄り添わない」事を信条とし、多くの患者を救ってきた凄腕の精神科医だった。女手一人で自分を育ててくれた優しい母親を誇りに思い、自身が寄り添う唯一の相手として心の支えにしており、母親もそんな美陀の事をとても大切にしていた。だが母親が重度の認知症を発病してから生活が一変。美陀の懸命な介護もむなしく、息子の顔すらわからなくなり、常に怒鳴り散らしながら暴れるようになる。介護生活の限界と現代医療でも母親を救えなかった事実に絶望しながら美陀は母親を絞殺。その後は具体的な経緯は不明ながらも孔富と出会い、彼に気に入られたことで入団した。
作中では麻薬の流出を止めに来た神賽惨蔵と対峙。極道技巧で優位に立ちまわっていたが、始末する前に催眠で忍者側の情報を引き出そうとしたのが仇となり、彼から明暦二年にまで遡る過去話を聞かされて錯乱してしまう。その隙を付かれて色の暗刃と自身の極道技巧を合わせたコピー技を使われて敗北。最後は母親への謝罪を口にしながら自らの首を捩じり切り自害した。
トラウマワードは「母さん」。
叛巻(ホンマ)(メイン画像右から2番目の奥側)
ソバージュのロン毛の男性。常に嫌慈と行動を共にしている。
極道技巧は暗刃に似た構えで相手を突き、そこから空気塞栓を生み出し血管を詰まらせ患部を爆発させる「花葬拳(ロージア)」。
優れた触覚を持ち、地上の地面に触れただけで梅田の地下街にいる孔富の場所を正確に捉えた。
元々は内科医であり、嫌慈と共に過疎地の小村に赴任し、都市部に及ばない設備であってもひたむきに活動していたが、その村を流行病の猛威が襲い、近隣の町の病院にも患者を受け入れてもらえず次々と病死する患者、さらに診療所の備品が壊される・落書きをされるという嫌がらせにも耐えてきたが、ある夜二人が後にした診療所に遺族と思われる二人組が火を放とうとし、ガソリンを撒いていたこと、さらにその場でタバコに火を付けたことにより引火して大爆発。村民343人が焼死するという大惨事になってしまう。それを見た叛巻は医者としてか救助に当たろうとするも、それまでの村民からの扱いに心が折れてしまったと思われる嫌慈と共に逃亡(しかもこの火災は二人が火を放ったと報道された)、その末に孔富と出会い入団した。
作中では水運用センターで右龍と交戦。花葬拳を駆使して右龍を失血死寸前まで追い詰めるも、亜種ボツリヌス菌の血清を奪われ、さらに右龍の特異体質によるチート級の回復能力に形勢を逆転され血風怒涛強雷漢(ビリビリクラッシュメン)を食らう。それでも自身の信じる「救済(すくい)」の為に奮起するが、追撃として放たれた不死身の電気漢・直撃(ふじみのエレキマン・チョク)を受け敗死。その亡骸は嫌慈の首と共に消し炭となった。
トラウマワードは「みんな」。
嫌慈(ケンジ)(メイン画像右から2番目の手前側)
髪を逆立てた看護師の男性。常に叛巻と共に行動している。外観や名前から恐らくモデルは筋肉少女帯の大槻ケンヂだと思われる。
極道技巧は自ら強い毒性を持つボツリヌス菌の亜種の保菌者となり、それを『地獄への回数券』で更に強化したうえで、二枚服用の副作用である人体爆破で周囲に拡散する自らの命と引き換えの自爆技「疫爆飛(ヤクブットビ)」。
他にも地上から地下街に大穴を開けるくらいの脚力を持っているが、実力自体は医師団最弱であり、本人も「気合と根性しか取柄がねえ」と自覚している。
元々は叛巻に命を救われた元暴走族の入院患者で、退院後に5年かけて看護師免許を取得して恩人である叛巻の元へ働きたいと押しかけて看護師となった経歴を持つ。着用する白衣も叛巻から贈られたもの。
その後叛巻と共に小村に赴き働くが、流行病に罹った患者を助けられず村民にも嫌がらせを受ける中でやつれるほどに精神をすり減らしてしまい、火災の際には村民を助けようとする叛巻を止め、彼らを見捨てて逃亡した。その後孔富と出会い叛巻と共に入団することとなった。
作中では水運用センターでしのは・右龍・左虎と対峙。すぐさま左虎の凍剣執刀で首を撥ねられるも、『地獄への回数券』二枚服用で強化された肉体はなおも走り続け、疫爆飛によってしのは達三人の視力を奪った(叛巻はガスマスクで感染を防いだ)。絶命したその顔は役目を果たしたからか笑顔であった。
トラウマワードは「村」であり、叛巻とは同じトラウマを共有している。
本編の動向
「割れた子供達」による前代未聞のテロ事件の後に、きわみから次の出撃を任命される。
その後、大阪にてお互いに全く意図しない形で孔富と右龍・左虎兄弟が遭遇。孔富にとって兄の仇が二人である事が判明するが、孔富はその場で逃走。二人は追いかけるが、メンバー全員によって邪魔をされ逃げられてしまう。
その後東京に戻った救済なき医師団は「東京を全部ぶっ壊す」ために、東京各地の水道局を占拠。水道水に大量の『天国への回数券』を混入させ、東京全土を麻薬汚染に陥れるバイオテロを決行。
都民の大多数が重度の急性麻薬中毒となる地獄絵図となり、更に帝都八忍の面々も麻薬による強制的な弱体化を受ける事になる。
八忍の面々は麻薬水を止めるために、斗女と惨蔵が都内への供給量トップ2の浄水場に、しのはと右龍と左虎が東京水道管理の中枢部・本郷の水運用センターにカチコミを掛ける事になる。