概要
インド神話の三大神の一柱・ブラフマーが仏教にとりいれられた存在。
色界十八天のうち、初禅三天の最高位・大梵天に座し、天部としてはかなりの高位に属する。
顕教では一面二臂、密教における様式では四面四臂で右手に払子(毛はたき)、左手に蓮華をもち、鵞鳥を騎乗獣とする。
釈迦が悟りを開いた際に、それを他人に隠そうとしたことを叱咤し、人々にその教えを広く広めるように諭したとされる。また釈迦の涅槃の際には彼を迎え来たという。
このことから、天部の中ではほぼ最高の存在として扱われ、仏教の守護者として帝釈天とともに崇められている。この二天を合わせて梵釈(ぼんじゃく)と呼ぶこともある。
密教においては方位神「十二天」の一人とされ、上方(天)の守護神とされた。
仏教の世界観では「梵天」と呼ばれる神は一人ではない。
梵天である神々
阿含経典
- サハンパティ梵天(娑婆主梵天)
娑婆(サハー、この世界)の主(パティ)である梵天。梵天が釈迦に教えを説いてくれるように頼む「梵天勧請」の梵天はこの神とされる。
タイ王国首都バンコクにある「エーラーワンの祠」で祀られるのもこの梵天のようだ。
- バカ梵天
過去生においてはケーサヴァという人間だった梵天。
- サナンクマーラ梵天
他の梵天の息子。ヒンドゥー教ではブラフマーの心から生まれた四童子チャトゥルサナに同名の者がいる。
このほか、ティッサ、ハーリタ、スブラフマー、パラマッタといった梵天が言及されている。
大乗経典
- 尸棄大梵と光明大梵
『法華経』序品において、「娑婆世界主(である)梵天王」の次に言及される梵天。
日本における神仏習合説に基づく両部神道ではそれぞれ豊受大神、天照大神と同一視される。
四面佛
中国人や台湾人、各地の中華系の人々により、東南アジア様式で表現される四面八臂のブラフマーが「四面佛」と呼ばれ尊崇されている。道教の廟でも祀られる。誕生日は11月9日とされる。
上述の通り、仏教の文脈ではいずれのブラフマー(梵天)もブッダ(仏)ではなくデーヴァ(神、天部)である。そのため解説で「四面神」とも呼ばれることも。
道教ではもともと如来佛祖(釈迦如来)や観音佛祖(観世音菩薩)も信仰する流派があり、基本的に漢伝仏教系の表現に基づいた像が道教寺院に安置される。
四面佛の場合は東南アジア様式そのままの神像が安置され、「エーラーワンの祠」安置像タイプで祀られた梵天が「泰国四面佛」と紹介される事もある。
関連タグ
梵天:pixivでは殆どが『東京卍リベンジャーズ』に登場する同名の犯罪組織関連のイラストで占められている。結果としてコブラ(蛇)みたいな感じでこちらの解説ページが設けられる形となった。なお、東リベの「梵天」は暴走族チームに起源を持つが、実在の暴走族にも仏教の天部神から名をとった集団があった。