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分割記事として曖昧さ回避編集

  1. 1947年公開、アメリカ合衆国のブラックコメディ映画。監督・脚本・主演チャールズ・チャップリン
  2. 1967年公開、日本のアクション映画。監督岡本喜八、主演仲代達矢

本項ではどちらも紹介する。

チャップリンの『殺人狂時代』(1947年)編集

喜劇王 チャールズ・チャップリン

原題は「Monsieur Verdoux」。リストラされた銀行員アンリ・ヴェルドゥが生活のために富裕層を殺害し、やがて世界恐慌に巻き込まれる様を描く。

原案としてオーソン・ウェルズがクレジットされているが、実際には作品そのものにはタッチしていない。

「一人の殺害は犯罪者を生み、百万の殺害は英雄を生む」という名台詞で知られる。

戦前に親しまれてきた「チャーリー」としてのチャップリン像を捨てた(ヒゲも自前である)シリアスな作風で、チャップリンも生前最高傑作と評していた。

しかしこの作品を機にアメリカではチャップリン排斥運動が加速、1952年のアメリカ追放に至る。


キャスト編集

アンリ・ヴェルドゥ:チャールズ・チャップリン

アナベラ・ボヌール:マーサ・レイ

グロネイ夫人:イソベル・エルソム

若い未亡人:マリリン・ナッシュ

モーリス(ヴェルドゥの友人):ロバート・ルイス

モナ(ヴェルドゥの妻):メイディ・コレル

ピーター(ヴェルドゥの息子):アリソン・ロダン

アネット(アナベラのメイド):エイダ・メイ

グロネイ夫人のメイド:マージョリー・ベネット

リディア・フローレイ:マーガレット・ホフマン

モロー刑事:チャールズ・エヴァンズ

マーサ(モーリスの妻):オードリー・ベッツ

花屋の女:バーバラ・スレイター

ヴェルドゥの弁護士:リチャード・アボット

刑吏:ジュリアス・クレイマー

検察官:レスター・マシューズ

医者:フランク・レイカー


関連タグ編集

チャールズ・チャップリン

岡本喜八監督の『殺人狂時代』(1967年)編集

殺人狂時代

原作は都筑道夫『飢えた遺産(なめくじに聞いてみろ)』。

マッドサイエンティストに洗脳された殺し屋が次々と襲い掛かって来るという内容ながらも、異常なリアリティーを与える白黒映像の中で軽快でコミカルなBGMが流れるロマンティックスリラー調のアクション映画である。

大元は日活で企画されていた作品だったが、諸事情で日活では製作されず東宝が権利を買い取り、岡本喜八監督が日活のロゴ入りのシナリオを受け取り製作、1966年に完成した。

しかし『江分利満氏の優雅な生活』・『ああ爆弾』などの奇抜な作品から上層部の不興を買っていたためかお蔵入りになってしまい、翌1967年にひっそりと公開された。

公開は映画館から最も客足が遠のくとされる2月、併映作品も別の巨匠が撮ったカーレースのドキュメンタリー映画と露骨な冷遇で、東宝始まって以来の最低記録の興行となってしまった。

※その添え物のドキュメンタリー映画は『インディーレース爆走』だが、これを撮ったのは安部公房のコンビ作で一世を風靡し熊井啓監督との千利休映画対決で知られた勅使河原宏監督だった。図らずも、どちらも曲者揃いの二本立てになった…。


本作がお蔵入りになっている間に岡本が制作したのが、ほぼ公開の交換条件でやった『日本のいちばん長い日』である。


しかし1980年代のリバイバル上映とビデオ~DVD化でカルト的な評価を得て、現在では『仮面ライダー』などの特撮作品での天本英世の悪役キャラの原点として特撮ファンからも評価が高い。


そして本作を含む冷遇されてきた作品陣が再評価される中、満を期す形で岡本は本作の系譜で対極的に一滴の血が流れないロマンティックスリラー映画を出す。

それが、天藤真のユーモア犯罪小説を映画化した『大誘拐RAINBOWKIDS』である。


機会があれば、比較して視聴される事をお勧めする。

ストーリー編集

精神科医の溝呂木省吾は秘密結社「大日本人口調節審議会」の会長という裏の顔があった。入院患者を洗脳して殺し屋に仕立て上げ、人口調節のために無駄と判断した人間を秘密裏に殺害していた。

そんな溝呂木のところにナチス時代の同志ブルッケンマイヤーが現れる。彼は審議会に仕事依頼のテストとして3人の一般市民の殺害を要求した。そのうちの1人・犯罪心理学の大学講師桔梗信治のもとには審議会の刺客・間渕憲作が送られるが、桔梗は間渕を返り討ちにしてしまった。

桔梗はこの一件を警察に通報するが、現場に戻ると間渕の遺体は消えていた。

桔梗は偶然出会ったミステリー記者の鶴巻啓子、車泥棒の大友ビルと共に、次々と送られる審議会の刺客と対峙することになる。

一方溝呂木も桔梗に異常に執着するブルッケンマイヤーに疑問を抱き彼を拷問にかける。その結果ブルッケンマイヤーの真の狙いは桔梗1人であること、そして桔梗にはある秘密が隠されていることが判明する。


主要登場人物編集

  • 桔梗信治

犯罪心理学の大学講師。水虫に悩む冴えない中年男性だが、なぜか次々と殺し屋たちを返り討ちにしていく。

  • 鶴巻啓子

ミステリーを専門とする女性記者。偶然桔梗の話を聞き「桔梗と殺し屋の戦いがみられる」と桔梗に協力する。

  • 大友ビル

桔梗のボロ車(シトロエン・2CV)を奪おうとした車泥棒。街の裏社会で顔が広く、審議会の情報を集める。名前は自動車を意味するオートモビルから(オートモ・ビル>大友ビル)

  • 溝呂木省吾

「大日本人口調節審議会」を運営する精神科医。一見紳士的な人物だが「人間の最大の快楽とは殺人にある」と説く危険人物。大戦中は医学研究の一環でドイツに在留しており数字はドイツ語で数える。

お互いの左手を布で縛り付けて背中合わせにしたまま右手のナイフで戦うスペイン式決闘を好む(なお、この時バックで流れている音楽は天本氏の私物のレコードによるものである)。

  • 間渕憲作

溝呂木が桔梗に送り込んだ第一の刺客。スペードのQとジョーカーの2枚のカードにカミソリの刃を挟み、手裏剣のように投げて相手を殺すトランプの殺し屋

  • 老紳士

溝呂木が桔梗に送り込んだ第二の刺客。地下鉄新宿駅で手始めに大友の仲間の情報屋を刺殺した。

こうもり傘の柄に千枚通しを仕込み、槍のように突き刺すこうもり傘の殺し屋

  • 青地光

「日本スピリチュアリズム研究所」の主任を名乗る怪しい男。桔梗に悪霊が憑りついていると語り桔梗たちを研究所に連れ込む。

正体は布をも切り裂く鞭を使う鞭の殺し屋

  • 小松弓江

研究所の所長を名乗る霊媒師。警戒した桔梗は直接会うことは無く啓子と大友が対面した。

正体は催眠術を使い相手を高いところから飛び降りさせる催眠術の殺し屋

  • 義眼の女

啓子を拉致した審議会から送り込まれた刺客。冒頭で桔梗と同じくターゲットに選ばれた痴漢を殺害した。

眼帯を外して義眼から毒針を撃ち出す義眼の殺し屋

  • 松葉杖の男

桔梗たちが山中湖のホテルで出会った袴姿の男。

松葉杖に銃やナイフを仕込んで相手を抹殺する松葉杖の殺し屋で、冒頭で桔梗と同じくターゲットにされた女性を追い詰めて殺害した。

  • ニセ自衛官

東富士演習場で桔梗たちを誰何した迷彩服の4人組。それぞれアトムソランパピィオバQというコードネームを持つ。

正体はもちろん審議会の刺客で、実弾演習(こちらは本物の自衛官が行っている)の標的に桔梗たちを誘い込んだ。

  • 池野

溝呂木の助手を務める最後の刺客。常人の3倍の力を持つ怪力の殺し屋


キャスト編集

桔梗信治:仲代達矢

鶴巻啓子:団令子

大友ビル:砂塚秀夫

溝呂木省吾:天本英世

池野:滝恵一

義眼の女:富永美沙子

松葉杖の男:久野征四郎

間渕憲作:小川安三

老紳士:沢村いき雄

青地光:江原達怡

小松弓江:川口敦子

サラリーマン風の男、オバQ:大前亘(2役)

ラーメン屋の出前持ち、アトム:伊吹新(2役)

シェフ、ソラン:長谷川弘(2役)

仕立屋、パピィ:二瓶正也(2役)

安:大木正司

秀:樋浦勉

編集長(鶴巻の上司):草川直也

ホステス:南弘子

大柄な女:深井聡子

小柄な女:丘照美

コールガール:森今日子

笑う狂人:中山豊

咆える狂人:山本廉

羽織袴の狂人:土屋詩朗

ウインクする狂人:浦山珠実

団扇太鼓の狂人:出雲八恵子

首の長い男:宇野晃司

酒場の客:西条康彦阿知波信介木村豊幸関田裕

駅員:権藤幸彦

アベックの娘:水沢有美

編集部員:清水良二

秒読みの隊員:緒方燐作

ブルッケンマイヤー:ブルーノ・ルスケ


余談編集

オープニングアニメーションにアンクルトリスに似たキャラクターが登場するが、アンクルトリスをデザインした柳原良平は『江分利満氏の優雅な生活』にも参加している。

原作では殺し屋たちを束ねていたのは桔梗の父親で、溝呂木は特にラスボスという訳ではなかった。また溝呂木の容姿も「上野の西郷さんの像そのまま」と、天本氏とは似ても似つかないものになっている。

『なめくじに聞いてみろ』はその後NHKラジオ名古屋でラジオドラマ化され、桔梗役を中尾彬が演じた。名古屋が舞台という設定のためか溝呂木の刺客は名古屋弁で喋るのが特徴。

関連タグ編集

東宝 岡本喜八

仲代達矢 天本英世

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