概要
美学校で赤瀬川原平の講義「絵・文字工房」を共に受講していた久住昌之と泉晴紀の二人によって、1981年に結成された漫画家コンビ。『ガロ』でデビュー。
久住が原作・泉が作画を担当する。それぞれ個人での活動も行っている。
エッセイなどで久住は『久住昌之のギャグをうまく具現化できるのは、泉晴紀しかいない』と語っており、日常のあらゆることを細かく、とにかく細かくこだわり掘り下げ、主人公が一人で分析していく…という、久住のその後の作風にもつながるようなストーリーと、ゆったりとした太めの線で描かれる、どこかシュールな劇画タッチが独特の雰囲気を醸し出している。
主に青年向け漫画誌で活動している。『小学四年生』(小学館)にて『キッチョメン!石神井先生』を連載たこともあったが、その作風からあまり子供達の受けは良くなかったらしい。
泉昌之としての作品「耳かき」&「かっこいいスキヤキ」は『世にも奇妙な物語』に取り上げられた。
部分的にスターシステムを採用しており、「トレンチコートの男」「ダンドリくん」「63衛門」など作品を跨いで登場することがある。
プロフィール
久住昌之
読みは「くすみ まさゆき」。原作担当。詳細は本人の項目を参照のこと。
泉晴紀
読みは「いずみ はるき」。「和泉 晴紀」としても活動している。本名は「泉 靖紀」で、アルバイトに入った現場で名前を間違って読まれたことをきっかけにペンネームとした。
1955年2月11日生まれ。
久住によれば当時の流行に逆行するような暗い劇画タッチの泉の作風を面白いと思ったとのこと。
離婚歴があり、最初の妻は泉と離婚後にちばてつや賞を受賞して漫画家デビューしている(ペンネームは非公開)。二人目の妻は同じく漫画家の山崎紗也夏。
シンプルなキャラクターデザインと「濃い」描写が特徴。
作品リスト
単行本リスト
- 『かっこいいスキヤキ』(青林堂)1983年
- 『プロレスの鬼』(綺譚社)1983年
- 『感情的』(白泉社)1985年
- 『エラーマン』(白泉社)1985年
- 『豪快さんだっ!』(青林堂)1987年 ※河出文庫より文庫版発行
- 『イイ大人』(河出書房新社)1988年
- 『ズミラマ』(双葉社)1988年
- 『天国や地獄』(青林堂)1989年
- 『ダンドリくん』(双葉社)1990~1991年 ※ちくま文庫より文庫版発行、ちなみに当時の編集担当は中島かずきであったらしい。
- 『ジジメタルジャケット』(双葉社)1990年
- 『イケイケの人々』(マガジンハウス)1992年
- 『キッチョメン!石神井先生』(小学館)1994年
- 『黄壁先生妄想録』(マガジンハウス)1995年
- 『かっこいいスキモノ』(イースト・プレス)1996年
- 『健康屋台』(双葉社)1997年
- 『新さん』(マガジンハウス)1997年 ※新潮文庫より文庫版発行
- 『ジジメタルジャケット the Delta 』(ブルースインターアクションズ)2001年
- 『ダンドリくんBlack』(ぶんか社)2006年
- 『芸能グルメストーカー』(コアマガジン)2006年
- 『天食』(普遊舎)2009年
- 『ならせば入道と毛坊主』(ワニブックス)2010年
- 『食の軍師』(日本文芸社)2011年~ ※連載中
その他作品
- 『ダークマスター 大人の漫画』(エンター・ブレイン) - 狩撫麻礼(現・土屋ガロンまたの名をひじかた憂峰)原作
- 『真剣なサル』 - 泉晴紀・単独名義単行本
- 『インテリやくざ文さん』 - 泉晴紀・単独名義単行本。第2巻目あり
パロディなど
- 「抹殺されたウルトラマン」ほか
1980~1990年代当時は著作権に関する意識が曖昧であったこともあり、ウルトラマンのパロディ、あるいはそのまんまウルトラマンを出した話がいくつか合った。内容は『帰ってくれウルトラマン』の先駆けともいえるような、等身大のウルトラマンが人間社会であまり活躍もせず過ごす、というストーリー。
現在では封印作品扱いとなっており、単行本収録の際に修正されていたり、あるいは単行本収録そのものがなされなかったりしている。
- 泉昌之版『おそ松くん』
イースト・プレス社コミックキューの企画(二次創作)として制作されたが、フジオプロの許可を得ず描いた作品ゆえ長い間封印状態だったいわくつきの作品。
内容は親元を離れてアパートに暮らす六つ子達がラーメンを食べに行く単純な話。「大人になった六つ子が取り止めもない会話をするギャグ」という、ある意味では本家筋にあたる『おそ松さん』とも共通する話となっている。
※現在は河出文庫「豪快さんだっ!」に収録されている。
他には「水戸黄門」の二次創作も描いている。
関連イラスト
『夜行』
『プロレスの鬼』