概要
日本野球機構(NPB)の現役選手の移籍に関する制度。
MLBで導入されている「ルール・ファイブ・ドラフト」がベースとなっている。
「出場機会に恵まれない中堅選手の移籍を活性化し、新天地での活躍の機会を創出する」という趣旨のもとで、プロ野球選手会の要望により導入に踏み切った。
2018年頃から実施に向けて動き始めていたが、2022年に大方のルールが決定。同年シーズン終了後に第一回の現役ドラフトが開催された。
現行制度では以下の方式がとられている。
- NPB12球団が、「放出対象選手」のリストを提出する。
- リストには年俸5000万円未満の選手を2名以上載せる。なお1名に限り年俸5000万円以上1億円未満の選手も載せられるが、この場合は年俸5000万円未満の選手を含めて3名以上をリストに載せる必要がある。
- 育成選手、外国人選手、複数年契約中の選手などは対象外。
- 各球団が指名したい選手1名に投票を行い、最も多くの票を獲得した球団が1番目の指名権を獲得する。以降はウェーバー方式。
- リストの中から各球団は必ず1名以上獲得する必要があり、最大獲得人数は2名。移籍手続きはトレードと同じ扱い。
- 会議は非公開で行われ、終了後に指名選手のみ公開する。
主な事例
第1回
2022年12月9日実施。全球団が一巡目のみの指名で終了。
指名球団(移籍先) | 選手 | 移籍前の所属球団 | ポジション |
---|---|---|---|
オリックス | 渡邉大樹 | ヤクルト | 外野手 |
ソフトバンク | 古川侑利 | 日本ハム | 投手 |
西武 | 陽川尚将 | 阪神 | 内野手 |
楽天 | 正隨優弥 | 広島 | 外野手 |
ロッテ | 大下誠一郎 | オリックス | 内野手 |
日本ハム | 松岡洸希 | 西武 | 投手 |
ヤクルト | 成田翔 | ロッテ | 投手 |
DeNA | 笠原祥太郎 | 中日 | 投手 |
阪神 | 大竹耕太郎 | ソフトバンク | 投手 |
巨人 | オコエ瑠偉 | 楽天 | 外野手 |
広島 | 戸根千明 | 巨人 | 投手 |
中日 | 細川成也 | DeNA | 外野手 |
2023年シーズンは、大竹が12勝2敗、防御率2.26、細川が140試合出場、打率.253、24本塁打、78打点の好成績を挙げた。一方、松岡、古川は育成選手に降格、渡邉・正隨・成田・笠原の4選手は(戦力構想外により)移籍後1年で退団している。