全力を挙げて、各国のマナストーンを占領せねばならない。
マナの剣を我が理の女王に捧げ、魔法によって
世界を統一し、『魔法帝国』を築くのだ!
解説
CV:北沢力(LoV)/ 中村悠一(聖剣伝説3 TRIALS of MANAでの配役)
舞台版演者:高尾楓斗(ONE N’ ONLY)
魔法王国アルテナの国主・理の女王の右腕であり、国一番の魔法使いとまで称されるほどの実力者。弱冠20歳にして魔法使いで構成されるアルテナ軍の指導役・指揮官を務める。常に雪が吹き荒ぶ極寒地から脱するため、温暖な草原の王国フォルセナへの侵攻作戦を推し進めている。
……とされているが、その正体は本編から12年前にフォルセナのリチャード王子(現在の英雄王)と黄金の騎士ロキとの戦いで横死した竜帝の腹心。
かつて放浪中に出会った彼の思念体との取引により、自身の命の半分を犠牲に闇の魔力を与えられ大魔術を体得した経緯を持つ。
フォルセナ侵攻に関しても女王を洗脳して操っているのが真相であり、狙いもマナストーンの力でマナの聖域への門を開き、マナの剣を手に入れることである。
デュラン、アンジェラのいずれかが主人公である場合、最終的な敵対勢力の幹部として主人公たちの前に立ち塞がる。
徹底した悪役振りとその背後にある悲劇性、何より美しい顔立ちもあって、敵キャラクターでありながらも発売当時から現在に至るまで高い人気を誇る。
人物
年齢20歳。身長178cm。体重62kg。
その通り名通り、半身を覆い隠すほどの大きな紅色のマントに身を包んだ青年魔法使い。設定画・およびリメイク作『ToM』ではマントの下のローブは黒色で茶髪となっているが、原作であるSFC版ではグラフィックのカラー制限もあり金髪・水色ローブとなっている。
『聖剣伝説 CIRCLE of MANA』では彼が落命した際にアンジェラからアルテナの魔法至上主義の犠牲者と憐れまれてしまった事から相当肩身の狭い思いを強いられていた模様。リメイク版でも「魔法が使えない憐れみの中で生きろ」とアンジェラに言い放っている)。なお、アンジェラとはホセのもとで学んだ同門である。
王女であるアンジェラに対しても尊大な態度で振る舞い「アンジェラ」と呼び捨てにすることから嫌われている。ただし呼び捨てにするのはアンジェラ編の冒頭と彼女との死別の場面くらいで、以降は「アンジェラ王女」「王女」としか呼んでいない。また一応、敬語を使う場面もある。
作中での動向
全編共通
魔法大国の出身でありながら魔法が全く覚えられず、魔法の講師を勤めていたホセからも怒られてばかりの落ちこぼれであり、逃げる様に故国から旅立った過去を持つ(作中では描写されないが周囲からの蔑みや差別などもあったと考えられる。
流れ着いたガラスの砂漠の奥地“ドラゴンズホール”で竜帝の死体(デュランの父・英雄ロキと刺し違えた)と出会い、竜帝の思念体から自身の命の半分を捧げれば、強大な闇の魔力を授けるという取引を持ちかけられる。彼はその取引を受諾し、命を半分捧げて竜帝を生き返らせる代わりに強大な魔法の力を授かった。
以後は竜帝に忠誠を誓い、彼の世界征服の野望に力を貸す。
アルテナに帰還して国一番の魔法使いとして君臨、理の女王を洗脳し手玉に取り、表向きは女王の右腕として国を実効支配した。
マナの大変動による魔法消滅の可能性を煽り、世界各国のマナストーンを占領する事によりアルテナ主導の世界国家「魔法帝国」を建国するとの名目で、世界中に戦争を嗾ける。この際に王女アンジェラをアルテナ領内にある“水のマナストーン”のエネルギー解放を行う禁呪の生贄にしようとするが、逃げられてしまう。
更には草原の王国フォルセナへの侵攻を目論み、ある晩にたった一人で城内に侵入し夜営中の兵士たちを虐殺。一足遅れで駆けつけた若き傭兵デュランが立ち塞がるも、力の差は明白で、一方的に彼を痛めつけ屈辱を与える。
故にデュランにとっては自らを打ち負かして尊敬する英雄王リチャードを侮辱した存在として、アンジェラにとっては愛する故国アルテナを暴走させ、メチャクチャにした存在として、両者にとっての「宿敵」と呼ぶべき存在となる。
その後は8つのマナストーンの力を解放するため、同じく竜帝の忠臣である黒耀の騎士が各地にあるマナストーンの下に差し向けられた。紅蓮の魔導師もまた、フォルセナへの再侵攻や獣人王国ビーストキングダムへ兵を派遣するなど、積極的に活動する。他勢力である黒の貴公子や仮面の導師もまたマナの聖剣を求めてそれぞれ部下たちにマナストーンを捜索させていたため、主人公たちが8人の精霊の力を借りて“マナの聖域”に入ろうとしていた矢先にすべてのマナストーンが解放されて上空に聖域への巨大なゲートが開かれてしまう。
アルテナの所有する「空中魔導要塞ギガンテス」に乗って他勢力より一足先にゲートに辿り着いた紅蓮の魔導師は、その直下に存在する忘れられた島にいる主人公たちを二度も砲撃し、高笑いしながら悠々と聖域へと入る。その後、他勢力が加担するナバール王国、ビーストキングダムもまた聖域に侵攻し、聖剣を狙う三派閥は激戦を繰り広げた。
デュラン・アンジェラ以外が主人公の場合
戦いで勝利した別勢力によって竜帝は倒され、自身も聖域にて討死する。死後、黒耀の騎士が紅蓮の魔導師の遺体を回収し、共に主人公たちの前から姿を消し、物語から離脱していく。デュランの場合は、彼自身の旅の大目標であった紅蓮の魔導師を討てなかったことに落胆するが「紅蓮の魔導師を倒した奴らを自分が倒せば強さを証明できる」という考えに思い直したことや直後、世界に起きようとしている危機的状況を憂い、再び主人公に協力する(また、紅蓮の魔導師との因縁とは別に、黒耀の騎士から最後に意味深げな言葉を投げかけられる)。
一方、デュランと同じく因縁があったはずのアンジェラからはノーリアクションだったりする。
この場合、アンジェラの母であるヴァルダはこの時点で預かり知らぬ所で洗脳が解けていると考えられる。
デュラン・アンジェラが主人公の場合
聖剣を抜いた彼らが油断している隙にフェアリーを誘拐し、彼女の命を盾にマナの剣を持ってアルテナへ来るように要求し姿を消す。アルテナでは城内に魔物を放って兵士たちを追い出し、アンジェラの母でもある理の女王をも人質にとり、彼女とフェアリーの二人の命を交換条件に聖剣の譲渡を要求した。
剣を奪うと本性を現し、世界中のマナストーンを破壊してそれぞれの石に封印されていた神獣を解放、世界を混沌に陥れさせた。更には、交換条件であった理の女王を解放せずに連れ去り、竜帝復活の生贄にしようと企んだ。本拠地であるドラゴンズホールに戻り、竜帝にマナの剣を献上した。
主人公たちは出現した世界各地の神獣を倒して回り、ついにはガラスの砂漠に眠っていた闇のマナストーンを最後にすべての神獣を倒したが、結果、竜帝はマナの剣に集まった神獣たちの力を吸収し、ドラゴンズホール最深部までやってきた主人公たちの前にてマナの剣を破壊し、より強大な力を得た“超神”となった。しかし、マナの女神の抵抗を受け、竜帝は女神を完全に鎮めようと、マナの樹を切り倒すため聖域へ向かう。紅蓮の魔導師は主人公を始末するために立ち塞がり、いよいよ決着をつけることになる。
敗北後、デュランやアンジェラに対し、これまでの自身の経緯を語り聞かせると共に、すでに自身の命は半分しかなく、竜帝から授かった闇の魔力も不完全なものであることに絶望し、自殺をはかろうとする。デュランやアンジェラからは、それぞれ生きることを願われ止められるも彼の決意は揺らぐことはなく、宿敵である筈の自身に優しい言葉を向けてくれた彼らに感謝を述べながら、自らにダークフォースをくらわせて自害。その命を散らした。彼の死後、理の女王は洗脳からも身柄も解放され、主人公たちに連れられてアルテナに帰還した。
美獣に支配されたナバールではイーグルを始めとした事態に気付きかけた人間の虐殺と多数に対する洗脳が行われ、ナバールに侵略されたローラント王国では美獣が撤退し、残されたナバール人が洗脳を解かれた状態で放り出された瞬間に現地民の不満が爆発する事態が起きているが、紅蓮の魔導師が洗脳したのはヴァルダ一人で、反抗して御尋ね者になったのもアンジェラ一人。
アンジェラ主人公でヴァルダを救出した後で、「自分は戦争に乗り気ではなかった」と漏らすアルテナ兵が居るが、逆に言うと、紅蓮の魔導師は国内で粛清や臣民の洗脳を行わずとも反対派を抑え込んで政権を運営出来ていたという事である。
魔法の才能こそなかったが、政治家や行政官としては適性は高かったと言わざるを得ず、竜帝を発見した探検家としての才能も併せると、魔法に拘る国の出身で無かったら国家元首の側近・寵臣として重用されていた可能性も低くはない。
その末路と境遇はフェアリーからも「切ないよ‥闇の魔力が彼を狂わせてしまったのね‥」と哀れみを向けられた。
ボス敵として
SFC版ではバリアチェンジで属性を変更させながら魔法を連発してくる。最強の魔導士は伊達ではなく最強魔法エインシャントまで使いこなす。移動の際には残像を描きながら移動し、この間は物理的攻撃も受け付けない。……しかし魔法しか使ってこないので魔法対策をすればエインシャント以外はほぼ無力化出来てしまう。
なお、一応MPが設定されているようだがMPが尽きると魔法のクルミで回復してくるためMP切れになることはない。
リメイク版では3Dになった関係でフィールドが広くなっているため、残像を描きながらの瞬間移動が地味に厄介になっており、物理攻撃主体のパーティだと追撃をするのにだいぶ手間が掛かる。遠距離からの魔法攻撃主体のアンジェラやニンジャマスターのホークアイがいれば幾分か楽になる。
リメイク版での追加台詞
2020年に発売されたリメイク版では、ドラゴンズホールでの戦闘中にデュランもしくはアンジェラとの掛け合いが追加されている。
デュランが主人公の場合
紅蓮の魔導師「父と同じく、竜帝様の闇の魔力の前にひれ伏すが良い……!」
デュラン「……オマエには感謝しているぜ、紅蓮の魔導師。あの日、オマエに負けて、オレはもっと強くなれた」
紅蓮の魔導師「ほう、ならば竜帝様に命を捧げればより強い力をいただけるぞ? 父と同じようにな」
デュラン「冗談じゃねぇ! 黄金の騎士ロキの剣があんなもんか! 剣は心を映す鏡……、黄金の騎士の剣は、守るための力だ」
デュラン「本当の強さってのはな、守る者が居て初めて得られるんだ! それに気づけないオマエに、本当の強さはわからないだろうな!」
紅蓮の魔導師「ほざけ! そんな剣なぞ、竜帝様の力の前には無意味だということ、私が今一度味わわせてやる!」
デュラン「負けるかよ! 今日、オレは、オマエを超える!」
アンジェラが主人公の場合
アンジェラ「魔法が使えるようになったからってこんなことをするなんて……!」
紅蓮の魔導師「フフフ…、アナタも私と同じように、竜帝様に忠誠を誓えば闇の魔力を与えてもらえますよ、王女」
アンジェラ「ふざけないで! 私は、お母様や、国のみんなに喜んでもらいたかったから、役に立ちたかったから魔法を覚えたかったのよ」
アンジェラ「今のあんたは、アルテナどころか世界を滅茶苦茶にしているじゃない! そんな魔法の力なら、こっちから願い下げよ!」
紅蓮の魔導師「ならば、改めて、何もできない無力な王女として憐れみの眼の中で生きるがいい……! 女王と同じ、操り人形として生かしてやろう!」
アンジェラ「させないわよ! 借りものの力には絶対に負けるわけにはいかない! 私の魔法で、あんたの魔力を消し飛ばしてやる!」
また、アンジェラが仲間にいる状態で神獣復活後にアルテナに行くと、城下町にいる彼女から紅蓮の魔導師についての話が聞ける。「自分と同じく魔法が使えない落ちこぼれだった」という話はパーティ加入イベントで話したときと同様だが、同時にこのときは「性格もあんなんじゃなかった」と僅かながらも彼を哀れむようなことも話している。
紅蓮の魔導師自身がアンジェラに対してどのような感情を抱いていたのかは不明だが、当初はマナストーン解放のための人柱に利用しようとしていた彼女を、決戦の際には敢えて生かしてやろうと言っていることから、落ちこぼれから聖剣の勇者へと成長した彼女に対する何かしらの認識の変化は生じていたのかもしれない。特に深読みしないのであれば「自分と同じ境遇でありながら、自分と同じようにならなかったアンジェラを無力な王女として生かすことで自尊心を満たす」つもりだと受け取れる。
余談
竜帝接触までの経緯
魔法が全く使えない落ちこぼれだった頃にどうやってガラスの砂漠~ドラゴンズホールに「ふと立ち寄った」んだよ、というのはプレイヤーからよくツッコまれる話。
(ゲーム的には終盤のダンジョンであり、強敵がウヨウヨいる上に、そもそもフラミーに乗って空から降り立つことでしか入れない場所なので、どう考えても一般人が近寄れるような所ではない)
この件に関しては「そもそもこんな僻地に行こうと思った時点で、実は彼本人も気づかないうちに竜帝の思念に誘導されていたのではないか」という解釈もあるが、公式に明言された設定ではないので注意。
中の人について
ToMで彼の声を担当する中村悠一氏は、他に闇の魔獣ゴーヴァやその他何人かのモブキャラを担当している。
本作発売後にYoutubeチャンネル『マフィア梶田と中村悠一の「わしゃがなTV」』にて実況プレイ生配信をおこなっている。通話相手のマフィア梶田氏や大川ぶくぶ氏を交えて聖剣シリーズの思い出や収録当時のエピソードなどを語った。
(因みにパーティ編成はアンジェラ・シャルロット・リースの3人)
本名について
本名が『ブライアン』であるという噂があり、二次創作で採用される事も多い。出典は不明だが遅くとも1996年の夏コミ(コミックマーケット50)の時点でだいぶ流布しており、採用したりフリートークやアンケートで触れている同人誌が確認できる。また『紅蓮魔』『ぐれ魔』の愛称でも呼ばれていた。
公式英語版では『Crimson Wizard』となっており、紅蓮の魔導師を直訳した名称となっているが、それ以前に非公式英語翻訳版も存在していたが、なんと名前が『Koren(コーレン)』と誤翻訳されていた。
エコマナのメインストーリーシーズン2第二章に『フランマ(flamma:ラテン語で炎の意)』と言う名前で登場。
第二章11話にて、紅蓮の魔導師からも『過去の自分』と言われていることから、恐らく間違いはないと思われる。
関連項目
Hightension_Wire:(戦闘時のBGM、他にもツェンカーやダンガードとの戦いでも使用されている)