前後のストーリー
予告
前編
怪獣研究の第一人者、横峯万象教授。
ヒルマ・ゲントとかつての恩師が再会するとき、未曽有の大事件の幕が上がる。
次回『ウルトラマンブレーザー』「虹が出た・前編」
天に数多の虹が輝くとき、それは現れる。
後編
日本各地にかかる厄災を呼ぶ逆さ虹。ウルトラマンブレーザーをも退けたニジカガチを前に、SKaRDはアースガロンの新装備導入を決断する。
次回『ウルトラマンブレーザー』「虹が出た・後編」
賽の目は神のみぞ知る。
概要
特撮作品『ウルトラマンブレーザー』第7話、第8話のタイトル。
令和どころかニュージェネでは前代未聞の、同じタイトルで前後編に分かれている。
逆さ虹とともに現れる、強敵・ニジカガチを巡る戦いを描く。
前編
2023年8月26日放送。
- 暑さが続く中、基地で待機するテルアキとゲント。そこにアンリがアイスを持って来る。その際、アンリはゲントが読んでいた本に興味を持つ。
- 本の著者で怪獣研究の第一人者・横峯万象教授の公演を聞いたことがある、と話すゲント。テルアキはそれを聞いて羨ましがる。
- 一方その横峯は、どこかの湖に七色の七つの輪が付いた左腕を突っ込む。謎の発光現象のあと、空には不気味な逆さ虹が浮かんでいた……
- 夏の暑さ対策をしつつ、アースガロンの新装備「MOD.2」開発を進めるSKaRD。そこへエミから7日経っても消えない逆さ虹のデータを得たゲントは、ひとり釣りをする横峯を尋ねる。
- 虹の怪獣を研究していた彼によると、日照りが続いた幼い頃、人々は雨乞いをしていたらしい。そこへ逆さ虹が出現、雨が降った。しかし邪な気持ちがあると嵐を伴い災いをもたらす。……それがニジカガチという“空の主”、自然そのもの、または神だという。
- しかし今では誰も信じないことに、横峯は不遜な気持ちを抱いていた。
- するとニジカガチが本当に出現、横峯に「また釣りをしましょう」と告げてゲントは現地へ向かっていった。
- ……「そんな日が来ればな」という彼の声は届かなかった。
- アースガロンの牽制を無効化する鉄壁の鎧に身を包むニジカガチ。大気を吸い込み、その場で熱帯低気圧を生成して台風を作り出してしまった。
- 翌日、対策を立てるために基地で移動するニジカガチの動向を監視するSkarDの下に、エミが関連資料を集めて帰投する。
- 古来より雨を降らす神とされているニジカガチだが、伝承はバラバラ。ある壁画によると「はるか昔、7つの色が天から降り注ぎ大地を焼き払った」とされる。
- 再び横峯を訪れるゲント。彼は怪獣と人間が保っていた共存という調和を人間が壊してしまったと語り、火傷した左手を見せる。
- かつて文明のリセットがされたという比土羅市で、再びニジカガチによるリセットを行おうとする横峯。左手から放った光弾でゲントを気絶させると、雨の中どこかへ去ってしまう。
- 熱帯低気圧もとい台風を7つも生成されてしまい、なんとか帰ってきたゲントは、この事態が始まりに過ぎないと感じ、何としてもニジカガチを止めるべくアンリと共にアースガロンで出撃する。
- 強固な装甲と超パワーでアースガロンをも蹂躙するニジカガチ。横峯の光に呼応して、ついにその鉄仮面を脱ぎ、未知のエネルギーによる七色の破壊光線一発でアースガロンをダウンさせてしまった。
- ブレーザーに変身したゲントはニジカガチに立ち向かう。善戦するも硬い身体とパワーに圧され、スパイラルバレードも虹色光線に相殺されてしまった。
- カラータイマーが点滅する中トドメとばかりに放たれた光線だが、直撃寸前にブレーザーは消滅、後ろの山に命中する。ウルトラマンでも敵わぬ絶望感に襲われながらも、ヤスノブ、エミ、テルアキはアンリとゲントを助けるべく走る。
- 新たな世界の始まりを確信する横峯。一方ゲントは山の中でひとり倒れていたーー
後編
9月2日放送。
- 前回のあらすじが流れ、ゲントは夢の中でブレーザーの光を目にした直後、病院で目を覚ます。アンリも負傷したが無事だった。
- しかし、テルアキ達から7つの台風が合体して超巨大台風に変わっており、防衛隊は攻撃できない状況で、ヤスノブ達整備班が急ピッチでアースガロンの修理を行っている事を知らされる。
- ゲントはすぐさま隊員服に着替え、車中でテルアキ達に今回の黒幕が横峯と明かし、横峯の研究室に入り込んで調べていたエミからの報告で、彼が黒である事を掴む。
- ゲントは横峯はニジカガチと同調している事から、横峯を最悪の場合『倒す』事態も想定して対応する事をテルアキに話す。
- SkaRDは対横峯、ニジカガチ戦を想定した作戦会議を開始。テルアキの分析で虹光線の発射部のクリスタルを精密狙撃で破壊すればニジカガチの放つ光線を封じれると仮定するも、アースガロンのアースファイア、ウルトラマンでも壊せないものを倒せる戦力が今のSKaRDには無いため手詰まりになる。
- そこでゲントは開発中のMod2の使用を提案。7話冒頭の時点で未完成のため実戦投入出来るレベルでは無いとヤスノブが言おうとするも、今はSkaRD全員が藁にもすがる思いのため急いで最終調整に取り掛かる。
- またニジカガチ撃破と同時に横峯の拘束も行うため、ゲントはアースガロンをテルアキに任せて自分はエミとアンリを引連れて横峯の元に向かおうとするが、テルアキは「彼の考えは一番よく分かっているつもりです」と、横峯を尊敬する者としての覚悟を伝え、拘束に自分が行くことを提案、ゲントはこれに応え任務を託す。
(その際、最悪の場合『横峯を殺す覚悟』があるかとゲントに問われたが『教え子であるゲント自身に出来るか?』と返される。)
- 出撃準備に入るヤスノブはMOD.2のいきなりの実戦投入に危険過ぎて『どうなっても知りませんよ』とゲントに警告する。ゲントは『テストじゃ本気を出せないだろ?』と冗談交じりに冷静に返す。一方、テルアキ達は横峯の確保の為に車で比土羅市を目指す。
- 横峯は案の定、台風の目となっているニジカガチがいる比土羅市浜岸町で釣りをしていた。その上空に一つの飛行機雲が走る。
- ニジカガチは飛来する気配に気付き威嚇する。着陸したのは新型装備Mod.2ユニットを装備したアースガロンだった。
- この際、川北バックが入った。
- 多目的レーザーを使い牽制するアースガロン。アースガン、アースファイアにも耐えたニジカガチが、連続して放たれるレーザーに押されはじめ、ヤスノブはそのまま鎧角を開かせようとする。
- 一方、テルアキ達も横峯の下に到着。横峯はゲントの部下だと気付くが、冷静に接し自分が『死ぬ覚悟』でいる事を伝える。
- テルアキは横峯の説得を始め、ゲントの様に「人間も自然の一部である」と訴えるも、横峯は「(人間も含め)生物は絶滅を繰り返す」と反論する。テルアキはそこに何か感じるものがあった。
- 横峯はニジカガチを使って現代文明を一度洗い流し、生き残った人類はニジカガチ=自然、神の恐ろしさを知り、語り継ぐ事で新たな文明を切り開かせる事が目的だと語る。
- そこまでの過程でテルアキは横峯を分析し答えを出す。
- アースガロンの猛攻を受けて、遂にニジカガチが鎧角を開いた。すかさずレールガンを発射するが、反動が強すぎてアースガロンは転倒。しかも弾はニジカガチでは無く、ニジカガチを飛び越えて空の彼方に飛んで引力圏に達した。
- ゲント「これなら宇宙から何が来ても撃墜できるな」……隊長、冗談きついっす……
- 出力を再調整して次弾を発射し、顔を直撃するも反動が強すぎて照準が定まらず、クリスタルには命中しない。
- ニジカガチは再び鎧角を閉じてアースガロンに突進。あくまでもバックユニットを装着しただけのアースガロンはパワーに耐え切れず突き飛ばされてしまう。
- テルアキは横峯の著書を取り出し、横峯の考え方が人間の事を思っての事であること、だが文明のリセットを選べば文明や人間だけでなく動物や植物、怪獣など「現存の自然」を洗い流す結果になり、それらの「生きる権利」を奪う結果となることを訴え、そして、自分自身も今を生きたいと述べる。
- 横峯もそこまでの言葉を聞いてその考え方は正しいと返すが、自分とテルアキ、どちらかの考え方が淘汰されるべきと主張して腕から光線を放つ。しかしテルアキはそれを回避して、銃撃で腕輪だけを見事に撃ち抜き破壊した。
- ところがニジカガチは依然止まらず、破壊された腕輪から出てきた光を浴びて、まるで横峯の邪な感情が宿ったかのように『荒神』となってより強力となった黒い虹光線を発射する。間一髪バーニア噴射で回避したアースガロンだが、その強力な衝撃に伴い機能停止に陥ってしまう。
- 非常用電源を作動させる為にゲントは外へと向かい、電源再起動後、絶対にレールガンを当てることをヤスノブに伝えてブレーザーへと変身する。
- ブレーザーとニジカガチによる格闘を交えた光線の撃ち合いが始まる。一度戦ったこともあり、尻尾の刃にこそやられたが大奮闘する。
- ヤスノブは反動が強すぎるレールガンの対策として、まるで猟犬のような四つん這いとなって伏せ撃ちによる射撃を敢行。一瞬の隙を突いて発射、遂に命中した。
- 割れたクリスタルから虹が漏れ出し、咄嗟にブレーザーはそれを掴む。ゲントの思いにブレーザーが答えるかのようにニジカガチストーンが生まれ、それをブレスにセットすると巨大な七色の光の輪・レインボー光輪が発生。ブレーザーは光線を失い突進してくるニジカガチにレインボー光輪を投げつけ一刀両断、撃滅した。
- ニジカガチの爆散後、綺麗な虹がかかり、超巨大台風も沈静化した。望みが潰えて呆然となる横峯に、テルアキはさっきまでの雰囲気をなぎ倒す勢いでサインを頼むのだった。(ヤスノブ曰くバグってる)
- アンリ、エミ、ヤスノブはゲントがブレーザーの新必殺技をレインボー光輪と名付けたゲントのセンスをダサいと笑っていた。
- そのゲントはニジカガチの追跡調査の過程でテルアキの実家に立ち寄り、農作業の手伝いをしていた。
- 横峯の動向が気になったテルアキがゲントに聞くと、防衛隊に「あそこまで強力な怪獣による惨事を一人の人間によって行える筈がない」と判断され嫌疑不十分で釈放されたらしく、どこかでのんきに釣りをしてるだろうと語られる。
- 横峯はゲントと釣りをしていた川でまた釣りをしていた。ふと空を見上げると、虹からニジカガチの声が響く。横峯はどこか憑き物が落ちたような笑顔を見せるのだった。
- ニジカガチは自然そのものという横峯の考え通りならニジカガチは死んではおらず、自然に還っただけで再び現れる可能性もある。だが、それは横峯だけに聞こえた幻なのかもしれない。とはいえ、彼の満面の笑みから分かる通り、きっと彼ももうニジカガチによる今回の二の舞は起こさないだろう。ニジカガチは厄災を引き起こすだけでなく、虹とともに恵みももたらす、自然の神様なのだから……。
登場怪獣
天弓怪獣ニジカガチ
余談
- サブタイトルに「前・後編」と付くのは、列伝・クロニクル系作品を除くと2006年に放送された『ウルトラマンマックス』第33・34話「ようこそ地球へ!」(前・後編)以来であり、無論令和ウルトラマンでは今回が初めてとなる。
- なお、『マックス』のそれには「バルタン星の科学」「さらば!バルタン星人」という副題が付いてるため、副題の付いてない前後編は、2001年に放送された『ウルトラマンコスモス』第21・22話「テックブースター出動せよ」(前・後編)以来22年振りの事となる。
- 最終回後のメインキャストと監督の座談会動画にて、ヤスノブ役の梶原颯氏がエミから送られた1週間続いてる逆さ虹をタブレットで見てるシーンの撮影で「GoProの広角レンズはワイドに写るのでガンガン近づいちゃってください」という中川監督からのディレクションを受け、撮影が始まるとヤスノブが他のメンバーより前のめりにカメラに近づきヤスノブしか映らなかったため、テルアキ役の伊藤氏に「ふざけてるの?現場を和ませるためにやってるの?」と困惑、ゲント役の蕨野氏はこの一連のカットの撮影で「そういう方なんだな」と思ったようである。
- 映画公開記念のマイナビテレビでの田口清隆監督、蕨野氏、伊藤氏のインタビューにて、8話のラストのゲントとテルアキの会話シーンでラムネを渡すカットの本番直前、蕨野氏は伊藤氏にゲントが渡すラムネを振って、炭酸が一気に吹き出したらテルアキはどういう芝居をするのかというイタズラを仕掛けたが、伊藤氏はラムネを開けなかったため未遂に終わったという裏話を語った。映像的にはOKだったものの、蕨野氏は「おもろくねえ~」と思い、仮にそのまま開けたら作業着にラムネがかかって撮り直しになるため、「そうなった場合早く乾かないかなあ~」と白々しくしてたようである。これを聞いた田口監督は「作業着にかかったら助監督が怒られるよ」と突っ込んでいる。