「今度の戦いは、死ぬ為の戦いじゃない…
未来を生きるための戦いなんです!」
演:吉岡秀隆
概要
『ゴジラ-1.0』の登場人物。
戦時中には海軍工廠の技術士官として兵器開発に携わっていた。
ゴジラシリーズをはじめとする東宝特撮ではお馴染みの博士ポジションに相当するキャラ。
以下、本作品のネタバレ注意
戦後、秋津淸治艇長率いる特設掃海艇「新生丸」に乗り込み、米軍と旧帝国海軍が戦争中にばらまいた機雷を除去する特務に参加していた。前職の経験から科学知識と機械の扱いに長けており、エンジン操作と整備を担当している。職を探して特務に応募して来た主人公の敷島浩一ともこの時出会い、秋津艇長や見習い乗員の水島四郎とともに仕事を重ねるうち、敷島と親交を深めるようになり、彼を「敷さん」と呼ぶようになる。秋津からの渾名は「学者」。
海軍工廠にいた頃に軍や政府の暗部を見てきたらしく、巨大生物がいる海域に「新生丸」が派遣された際は、秋津とともに何故自分たちが向かわされたのか(=死を前提とした時間稼ぎ)をすぐに看破していた。この際、敷島から大戸島の巨大生物「呉爾羅」を見た話を聞き、それ以後「ゴジラ」と呼ぶようになる。「新生丸」がゴジラと遭遇した際は、水島とともにゴジラへ機雷を投下して応戦した。
ゴジラによる東京襲撃後は、元帝国海軍将兵らを集めてゴジラ駆除作戦「海神作戦」を立案する。本人曰く、ゴジラと間近で戦ったから白羽の矢を立てられたとのことだが、作戦説明会では成功するか未知数だと聞くなり途中退場しようとした敷島に「可能性はあるんだ!」「敷さん、最後まで聞いてくれ」と訴えており、ゴジラ撃破に熱意を持って臨んでいることが分かる。作戦前夜には、「戦時中の日本は命を粗末にしすぎた」「これは死ぬ為ではなく未来を生きる為の戦いだ」とも述べ、この作戦が戦時中のそれとは異なることを強調した。
作戦本番に際しては、彼も駆逐艦「雪風」に乗り込み参加。放射熱線の威力に気圧された乗組員たちを叱咤激励し、作戦を決行させた。
余談
- 演者の吉岡氏は『ALWAYS 三丁目の夕日』シリーズにて茶川竜之介を演じており、『続』では鈴木則文の夢オチという形でゴジラが登場、『’64』では彼の小説の中にゴジラが登場している。
- 吉岡は子役時代に松竹の『男はつらいよ』に諏訪満男役でレギュラー出演していたが、同シリーズには、第1作『ゴジラ』で山根恭平博士を演じた志村喬が、満男の祖父にあたる諏訪飈一郎役で出演してもおり、『男はつらいよ』で祖父と孫の間柄で出演していた役者がゴジラシリーズで共に博士ポジションの役として出演するという事態が起きている。これについては、演者の吉岡も、「『寅さん』で言うと志村さんは、おじいちゃん。不思議な縁だと思って」とコメントしている。なお、山崎貴監督はこのことを全く知らずにキャスティングしたとのこと。
- 「日本は命を粗末にしすぎた」という理由の一つに、「戦闘機に脱出装備がない」事も理由として上げているが、世界中を見ても戦闘機に脱出装置を取り付けるようになったのは戦後のジェット機の時代になってからで、第二次大戦中はドイツの一部の試作機ぐらいしかない(実際、本作の震電の脱出装置もドイツ製である)。そして機体から飛び降りてパラシュートで脱出するのは日本を含めどの国でも行っている。同時に並べられた戦車の装甲などの件も含めてあくまで戦争そのものへの彼個人としての発言と言える(パンフレットでは現代日本と比べた戦中日本の人命の扱いに対してのアンチテーゼの要素が盛り込まれていることが語られている)。
- Blu-rayBOXに特典として収録されているブックレットによると、終戦時の階級は技術少佐。海神作戦参加者の中では堀田辰雄を始めとする駆逐艦長達に次いで二番目に階級が高かった事が判明した。作戦説明会の際に秋津は「学者って意外と凄い奴だったんだな」と呟いていたが、本当に凄い奴だったようだ。