概要
神々の世界『神部界』で使用される巨大ロボの総称。大きさは3m~10m前後(噛み砕いて言えばAT、TA、OB、守護騎士サイズ)、1頭身~4.5頭身で、腕の数は基本的に二本腕が多いが、中には腕無しや複数の腕を持つのも存在し、手足の指の本数は脚無し~四本が多数派(パラレル的解釈の『超~』ではレジスターから超弩級戦艦、居城級と大きさにバラつきがあり、腕や大腿部がワイヤー同様に細く非美形、脚の骨格フレームが剥き出しで、指も五本となっている機体も存在)。
『創界山』とその周辺では汎用性や特務などを含めオリジナルの機体は約百体前後可動する。神々の魂と、悪魔的な破壊力の矛盾を併せ持つ誕生経緯ながら、神話の時代から既に産業の一つとして定着している。値段は一体平均約50万クレジット(日本円で5千万円に相当する)。容姿は多種多様性で操縦方法も、操縦桿、モーショントレーサー、マスタースレイブと様々。子供が動かすのは高級外車を街中で暴走させるにも等しく、呼び出しに関しては旧式では大半は電話交換対応だったが、後に小物を翳し召喚するものに代えられる(月刊OUT90年5月号 OUT版星界NEWS参照)。伝達する手段があるならば、例え遠方であろうと、到達不可能な聖域だろうが、機体が長距離移動と稼働出来る万全な状況なら必ず呼び出される。
魔人の支配下にある村人の手で製作された量産型が多くあるものの、稼動は出来るがワンオフ機よりも質が落ちてしまい性能も余り高くない。『外伝』や『七魂』では色違いや、一部改良型派生機が跋扈する。
これとは別に『丸魔神』と呼ばれる機体群が存在し、魔神の中でも特に性能が段違いに高く、略全ての機体に『漢字に丸の字』が付く。それでも、『日輪丸』の様に一部を特化し過ぎて攻撃の決定打に欠けるものもある。操縦者の経験を能力と性能にプラスへと転じる『龍神丸』に元来備わっている力を機械的に再現した装置『エクスペリエンスシステム』を装備するも、特許が取られており無闇に他の機体へと搭載させられない。この機能は約半世紀前に開発された比較的新しいもので、それ以前の『丸魔神』や、隠れ魔神鍛冶『ク・ワーノ』が製作した『戦国魔神』系には付けられていない。
『創界山』各地で生産されていると思いがちだが、其所より南方200里にある孤島『魔神山』に住む『魔神鍛冶』達の手作業により製作されたもので、頂上の第七層にある神社に住まう『ナ・風輪』、『レンジヤ・ヒノ』を含む『魔神絵師』が描くデザインを基に、3人の『図面仙人』が設計図を起こし、『ケン・テンプラー』設定師らがデザインを見極めた上で武装やネーミング等を考えたメモ書きを添えて川に流し、第六層以降で待ち構える鍛冶達がボディとなる鉱物の選定、採掘からはじまり、フレームや配線、武器製造や操縦席を配しベルトコンベアー方式で次々と組み立て、下流に行き着くと一体の魔神が出来上がる仕組みである(が、『真』上巻ではトンカラリンの自宅工房で組み立て中の『雷王丸』が描写された矛盾が存在)。機体の成形や、武器の鍛造に必要な工房の炉は9つ存在する。この段階では自力で動く事はなく、湖畔に浮かぶ3つの神社何れかでお祓いを受け、清められる事で初めて起動。成果場の如く競りに出されて出荷される。
だが、『魔神山』で産出する二つの金属『頭能銘石』『母泥混石』が電子頭脳とフレームには必要不可欠であり、これらを素材として組み込まなければ『魔神』としては正式に認められない。
陣頭指揮が採れるのは『名魔神鍛冶』と呼ばれるたった10人の職人しかおらず、名人は優秀な魔神を製作し、周囲に名機と評価されて最優秀魔神大賞を3回受賞しなくてはなれないと云われる。『魔神紋章』の形状で、ある程度制作者は判別可能だが、『星界魔神』は『星界文字』の子音を基本にする。高名なのは『鍛治部トンカラリン』や『アーサー・雛』、『北村魔神鍛冶』など。魔神デザイナーやコクピット内装、操縦席専門の職人も存在する。
鍛冶達は、一度製作した機体には完成後は全く興味が無くなる悪癖があり、どうしても欲しい場合は敵味方問わず、操縦者が島に赴いて自身の好みに合わせ専用武器も発注して売買する場合もあるらしい。出荷先は『創界山』やその周辺、『星界山』、『天界山』など。それ故に使い手の心によって善にも悪にも成りうる存在な故に『魔神』と呼ばれている(噛み砕いて言えば『バトルゴリラ1号』が善業と徳を積み上げ続ければ名機と呼ぶに相応しい最強クラスの魔神になれる)。
上記の理由から機体の一部が破損、大破した場合直接メーカー送りをする事が出来ず放置状態が多々ある。その為、『魔神鍛冶』から派生した『魔神修理屋(ドクター)』なる職種が生まれているが、それでも修復と言うよりは縫合などで穴埋めをしている程度でしかない(神々が総力を結集して製作した『龍神丸』や、頭部以外が壊れても治る『カライガー』、ドラゴンの特性全てを組み込んだ『ドルドラゴン』は再生能力が高く例外中の例外)。『ガッタイダー』が数ヵ月もの間修理作業し続けたのも『ブリキントン』では『魔神鍛冶』並みの製作及び修復スキルLvは皆無に等しく、代替えが出来ないワンオフ機だからである(『2』や『超』では盗用や技術革新で向上)。『Dr.サッカ・サマー』や『ドクトル・コスモ』の様に一から製作が可能な技術者なら修復や強化改良、武器製造は可能。
魔界側にはその文化は現代でも定着しておらず、個々の魔人の戦闘能力が高い為に必要としない。魔神に搭乗する者の殆どが悪心に染められた神々だからである。有用性はある程度熟知しており、購入だけでなく盗品や紛い物などを経て魔神技一体なる技術が確立した『MADE IN MAKAI(魔界製魔神)』製も出回り始めた(サソリアンナイトやブラックサタンが相当)。
『2』に登場する『ドワルダー魔神』は出現した際に力、速さ、あたまの3項目が振り分けられる。力が高ければ体術を振りほどき、速さが高いと瞬足、あたまが高ければ悪魔の頭脳と云われる。更に攻撃力、防御力、運が追加され計6項目で統一される。攻撃力が高いと掠っただけでも大ダメージ、防御力が高いと強靭かつ鉄壁の体、運が高いと悪運と言ったように相手の特徴を見極める必要がある(TVシリーズでは3項目だけで、6項目有るのはプラクションにラインナップされた機体だけかと推測したが、コロコロコミックでも1部の機体が全項目記されており、全て設定されていたと憶測)。ポテンシャル全てが飛び抜けた機体は1体も存在せず、操縦者の性格や能力も絡んで一長一短が多い。丸魔神は当然それらよりも高く設定されてるだけでなく、エクスペリエンスシステムから来る操縦者の経験値も加えられてもおり、開きがある。主要な魔神の肩にはエンブレムを刻まれているのも特徴。
また、『丸魔神』に対抗してダメージを受ける度にパワーが増す『サンドバックシステム』を備えた『角魔神』が登場するも、プロトタイプの『シュテンカク』を含めて3体で打ち止めしている(後継作品が制作されれば他勢力の強奪や情報流出等でまだ見ぬ機体も有りうる筈…。現状では色違い同型機や魔力による再生体、二次創作が関の山)。
水晶を核にした『デスアンデス』は基の大部分が土で構成された上に、術者の魔法力を用いて遠隔操作もされており魔神のカテゴリーに入るかは微妙である。
『3』に登場する魔界側の魔神は『バーストタイガー』を除き魔界呪術『魔神変化』を用いて生物の肉体を魔神化させるが、体表は鉄の様に硬くとも、基が生物の為に除外する。
『超』に関しては上記の設定の大部分が省かれ、装甲や出自などに、これ迄の設定との齟齬が生じている為に此方も無視してよい。
SD化したとは言え、アニメで動かす際に元々あった複雑な細部設定が簡略化された機体も多い。『キングコマンダー』が装備する全身の銃火器や、『シュテンカク』の兜や鎧垂れ、『スターベイダー』の各種武器が相当する。演出によってはMSサイズ並に巨大化しているシーンも有る。
初期企画書案では主役魔神以外(兵器、お化け、格闘技、宇宙人、乗り物、動物)は虫、食べ物、隠れキャラと言うカテゴリーも存在しており、大部分はメカ的要素が満載で生体的要素の機体は少なく、強化型(所謂Mk-Ⅱ)、可変機は一切描かれていなかった。初期魔神原案には明貴美加も参加している。
参考文献
ワタルファンクラブ会報
コロコロコミック89年2、3月号
別冊コロコロコミック89年1月号
ワンダーライフスペシャル 魔神英雄伝ワタル プラクションbook
ワンダーライフスペシャル 魔神英雄伝ワタル プラクションbook2
魔神英雄伝ワタル 創世伝記
※1部の記事はコロコロコチャンネル内で過去特集されたのを再掲載しているが、アニメと台詞が違うだけでなく、誤字も多いので注意が必要。