概要
ED14は米国のゼネラル・エレクトリック社が4両を製造し、鉄道省が輸入した貨物列車牽引用の直流電気機関車である。
輸入当時は1060形という形式名であったが、のちの車両形式称号規程改正によりこの形式名となった。
デザイン
車体前面に搭載された砂箱と縦長の前面窓といい側面窓の十字桟といい、先んじて輸入されていた同じGE製のED11に非常に類似した形状であるが、これは両形式とも当時のGEやAlcoの電気機関車やディーゼル機関車に多く見られた意匠(俗称:Boxcab)をそのまま活用しているためである。
ED11との差異を知りたい場合→ED11
変遷
輸入後は東海道本線にて活躍したが、4年後の1930年には中央本線の甲府電化に合わせて甲府機関区に転属した。
時期は不詳ながらも戦後になって飯田線に再転属したが、当時仙山線で活躍していたED19とトレードをする形で仙山線に異動した。(当時の仙山線は直流電化)
1960年には転属してきたED17と新製されたED60に置き換えられそうになったが、ED60の出力では変電所容量が不足してしまったため4両中2両のみの置き換えになった。
置き換えられたのは2号機と3号機で、この際に近江鉄道へと譲渡され、
残った1号機と4号機は仙山線完全交流化の少し前の1966年に引退して近江鉄道に譲渡された。
1988年に同社の貨物輸送が全廃された後はイベントや工事列車などの事業用車として活躍したが、老朽化と機関車を運転可能な乗務員の減少、重量超過の点で順次引退し、同社の彦根工場にて全車が保存された。
しかし2018年の彦根工場隣接の近江鉄道ミュージアム閉館に伴って全車解体されてしまった。
余談
2号機と3号機が近江鉄道に譲渡された際、3号機に関しては近江鉄道の親会社である西武鉄道に一時的に貸し出されたため、ピンク色を纏って西武安比奈線などで活躍していた時期がある。
姉妹形式としてはED11がいるが、他にもED11とED14を混ぜ合わせたような見た目の伊那電気鉄道デキ20型がいた。(詳細は→ここ)
近江鉄道では軸重15tの本形式は橋梁の耐荷重を超過するため、一部区間でしか活躍できなかった一方、姉妹機のED11-1ことE61は西武では特に問題もなく全線で使用されていた。
しかし最高でも自重50t程度がせいぜいなところが多く、むしろ西武の道床の強さが珍しいレベルの私鉄で、60t級の電気機関車が活躍すること自体が相当珍しいため、近江鉄道での処遇は仕方なかったのであろう。
絵本「かもつれっしゃのワムくん」に登場する私鉄の機関車ED49840(よくはしれ)はED14とED16を混ぜ合わせたような外観をしており、TOMIXで「ワムくん」を題材にしたNゲージが発売された際には鉄道コレクションのED14が機関車として指定されていた。