概要
始新世後期~中新世前期(約4100~2500万年前)にかけて、北アメリカ、ユーラシア、アフリカ等に幅広く生息した肉食哺乳類。名前は歯の形がハイエナ科に似ていたことから「ハイエナの歯」を意味する。しかし分類は食肉目のハイエナと異なり、「肉歯類」と呼ばれる原始的なグループに属する。肉歯類は食肉目の祖先から分岐した比較的、近縁なグループとされる。
多数の種が確認されており、最小のものは現在の貂程の大きさだったが、最大種であるギガス種は体長3m・体高1.7m・体重500kgもの巨体を誇った。
名前が示す通りハイエナのように強靭な顎と歯をもち、獲物の骨まで噛み砕いて食べることが出来たと考えられている。小型の種は小動物等を捕らえていただろうが、大型のギガス種などはカリコテリウムやエンテロドン等の大型有蹄類を捕食していたと考えられている。アメリカで見つかった化石から、現在のクマ科のように仕留めた獲物の周囲に糞をしてマーキングを行っていたことが判明している。
彼等、肉歯類は長い期間繁栄したグループだったが、地球環境の寒冷化に伴う環境の変化(生息地や獲物の変化や減少)や、捕食者としてより優れた食肉目の哺乳類との生存競争に敗れるなどして衰退していき、最終的に絶滅したと考えられている。
肉歯類は歯の構造が多くの食肉類のように雑食も可能なようには出来ておらず、肉食しかできなかったと思われる(肉歯類という名前もここに由来する)。また脚や腰の構造などから食肉類より走行などの運動能力が劣ったと推測される。こうした差異が百万年間単位の長期間では大きく響いたのだろう。