大天狗
だいてんぐ
神通力を扱う天狗のなかでもより強力な神通力を持つとされる天狗。「八天狗」と「四十八天狗」が有名。
善悪両面を持つ存在であり、神や仙人、日本における修験道の鼻祖、あるいは権現、仏菩薩として扱われ、人々の守護者となる天狗がいる一方。大魔王などと畏れられ、日本妖怪の頂点として魔界に君臨するともいわれる。なお、天狗は登場初期より時代を下るにつれ力を増していき、神格を帯びる、または魔王などと呼ばれるようになるのは中世以降である。
人間が様々な経歴を経て大天狗になるという場合もあるらしい。
ほかの天狗に比べてより長い鼻を持つ「鼻高天狗」、半人半鳥で背中に翼をもつ「カラス天狗」、太平記に出てくる崇徳上皇は「金色の鳶」として登場し、那智滝本前鬼坊のように鬼が苦行を積み大天狗となった場合などは鬼の姿で表現されることもあり、容姿については多様な姿で表されている。また、幾つかの書物には天狗の姿は普通の人間と一切変わらないと記述されている。鼻高天狗に関しては、大天狗の出現以前から見られるという説もある。
ちなみに天狗の羽は猛禽類に似た金色の翼を持つとされ、目もまた金色に鋭く輝くとされる。
また、三吉神、ホダラ山王、ミエビ山、榛名山の天狗などはダイダラボッチに匹敵しかねない超巨大な天狗であるらしい。
天狗の霊力は中世以降と比べ登場初期は見劣りするものであった。それでも大天狗となれば大抵の法師の霊力を凌ぎ、直接の敵と言えば法師らが召喚する不動明王や制多迦童子などの護法童子であったが、それらの前では苦も無く敗れ去るような、まだ魔界を制覇する貫禄も威力も通力も不足していた。
それらの天狗が他の妖怪と格差を広げ、魔界に君臨するというような貫禄、威力、通力を手にするとされたのは、優れた力を持つ人物を天狗界に引き入れることに成功したという所が大きい。天狗になった実在の人物としては崇徳上皇が有名だが、そのほかに役小角、奉澄上人などの優れた呪術者も天狗になったとされており、生前様々な奇跡、呪験を発揮し、山神や鬼なども縛し使役した様な霊力を持つ彼らの天狗であるから、その他の如何なる妖怪でもまず敵うもの無しとされ。人間界に害を成す天狗においては、時に神仏の力を以てしても手におえない大妖怪とされたわけである。天上世界を一瞬で焼き払う力を持っているとされることもある。『正法念処経』によると、夜摩支天達の住む世界のさらに上の兜率天という世界を大天狗が光焔か何かによって破壊してしまったというのだ。
石鎚山法起坊は、八大天狗や四八天狗でも別格とされている(参照)。
人型、もしくは人型に近い容姿をした大天狗は羽団扇を持っていることがある(※葉団扇ではない)。天狗の羽で作られるとされ、団扇自体に強力な通力が備わり、火炎、人心、風雨、雷雨等何でも自由自在に操れるとされる。翼のない者が使用することで飛行術、縮地なども可能となる。民間で特に恐れられたのは天狗の起こすとされた炎とそれによって起こる火事であり、今でも天狗の祀られている神社などは火伏の神として、あるいは火伏の効能ありとしている神社が多い。
つまり団扇という形状から風を巻き起こすのが主な使用法と考えられがちな天狗の団扇だが、火を煽り火勢を強め、それを操るというのが天狗の団扇本来の使用法である。
(最近では某忍者漫画に登場する火の術を得意とする一族の家紋が団扇だったりするがそれと同じようなものと言えばわかりやすいだろうか)
尚、天狗の羽団扇が棕櫚の葉や、八手の葉にすり替わっていることが多々ある。これは天狗を祀っていた神社の富士氏の家紋が棕櫚の葉で、しかもその棕櫚の葉紋が天狗の羽団扇にそっくりな形をしていたため混同されたものと見られている。八手の葉の別名が「天狗の羽団扇」である事も見逃せない。しかし、正しくは天狗の羽で作った「羽団扇」である。羽の数は奇数とされ9枚、11枚、13枚とされる。
声 - 富田耕生(第2作)、屋良有作(第3作)、笹岡繁蔵(第4作)、楠見尚己(第5作)、梅津秀行(第6作)/ 演 - 中村獅童
シリーズを通して見られる存在であるが、とくに5期では従来よりもクローズアップされ、赤嵐坊と黒鴉の父親の黒雲坊が登場した。後者は、打ち切りになった5期の最終話に登場し、息子の妖怪四十七士としての覚醒に無関係ではなかった。
それ以外では妖怪裁判の裁判長役などで登場。
東方Projectにおける大天狗
天狗たちの上司にあたる存在として、以前から射命丸文や姫海棠はたての台詞で言及されていた。
新聞大会において、「鞍馬諧報」という新聞で優勝したというエピソードが存在。
当初は台詞上のみの登場で、公式絵はおろかドット絵すら存在しなかった(普通の天狗なら、書籍「東方文花帖」にて魔理沙のイメージにて登場している。見た目からは男の天狗のようであった)。
その後、2021年に発表された『東方虹龍洞』にて第5ステージボスとして飯綱丸龍という名の大天狗が登場。今作の異変に一枚噛んでおり、その見た目から青い文とも言われている。
尚、飯綱丸が上記の「鞍馬諧報」の記者かどうかは定かではないが恐らく彼女ではなく、同じ日本八天狗に数えられる鞍馬山僧正坊を元ネタとする未登場の別の大天狗が書いた可能性が高い。
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