※飛鳥時代の貴族は蘇我蝦夷を参照。
概要
日本古代に東方・北方にかけて住んでいた人々を指した言葉である。
ただしその呼称は、時代や地域によって捉え方が大きく異なっている。
「蝦夷」(エミシ)は、東日本(新潟県北部から東北地方)に広く住んでいた、大和朝廷の支配に服属しなかった人々を指し、中央の人々からは強くて勇敢な人々として見られていた。朝廷の支配に服した蝦夷は朝廷から食糧を支給されて全国各地に強制移住させられたが、彼らの優れた武芸は後の武士に継承されることとなる。この時の蝦夷は先アイヌ(後の本州アイヌ)及び東国人(大和朝廷に服属しなかった和人、後のアイヌ文化の影響を受けていた)の両方が混在していた。
中世以降の「蝦夷」(エゾ)はアイヌを指し、北海道(千島列島)・樺太を指す言葉となっていった。
ロシア人を「赤蝦夷(あかえぞ)」と呼んだこともある。当時はロマノフ朝ロシア帝国であり、「赤」は共産主義や社会主義のことではない。
アイヌとの共通点と相違点
共通点
- 本州の中でも平安時代以前に蝦夷が居た地域の地名などから、蝦夷の言葉はアイヌ語と同系統である可能性が高い。
相違点
- 蝦夷は製鉄技術を有していたが、近代より前にアイヌが使っていた鉄製品は、ほぼ輸入品。
- 蝦夷は馬の飼育に長けていたが、近代より前にアイヌには馬を飼育する文化は、ほぼ無かった。