概要
外見は長さ10メートル前後の白い反物のようであり、傍目には洗濯物が風に飛ばされているくらいにしか見えない。また、球状に丸まっているとする地域もある。
夜、虚空を飛んで人を襲い、首や顔に巻き付いて窒息死させたり、人を体に巻き込んで空へ飛び去ってしまうとも言われ、伝承のある地域ではそれなりに恐れられてきた。
嘗て口伝のみにて伝えられる妖怪だった為比較的無名だったが、近年水木しげるの漫画作品『ゲゲゲの鬼太郎』に登場してから一躍、名が知られるようになった。
似たような妖怪に、佐渡島の「衾」(ふすま)、愛知県の「布団被」(ふとんかぶせ)などがある。
ゲゲゲの鬼太郎
全長は約8~10mほど。体重は約2キロとも言われるが正確には不明。
『ゲゲゲの鬼太郎』では鬼太郎軍団の機動力の要として重要な役割を果たしている。
内臓には空気を調整する機能があるため、どんなに小さな風力でも飛べる。
巻き付きの他、頭や身体の縁や尻尾を利用した切断(魔女の刀をへし折るほどの威力がある)や仲間とのコンボによる暴風攻撃などもあり、漫画『妖怪千物語』では砂かけ婆の藥で強化され、鬼太郎と切断系のコンボ技を生み出した。また、どんなに切られても、水さえあれば完治する不死身性を持つ。頭の先端には骨があるため、切断系の攻撃にも使える。
一方、仲間が反物にされてしまった「妖怪反物」のエピソードでは、最初から布なので結われて縄にされてしまった(この際に「捕まったら反物にされてしまうとよ」と逃げた理由を語るが、「あんた最初から反物じゃない」と猫娘から見事にツッコミを入れられた。ただし、5期では普通に反物にされた)。アニメ5期では、ポのふんどしにされたこともある。
目の色はアニメごとに異なる。また、猫化すると、耳と後ろ足が生える。
尚、原作ではねずみ男に「あいつの思想はタカ派だ」と言わしめる程の気性の荒さを見せた。
そのキャラクターと、ユニークな飛行の姿などの理由で人気が高まり、水木の出身地・鳥取県境港市の観光協会による「第1回妖怪人気投票」では堂々の1位に選ばれた。
映像作品における一反木綿
現在では鬼太郎の移動手段として定着しているが、はっきりと定着したのはファミリーという概念が固まった第3作からである。
アニメ第1作品
声:富田耕生(当時は富田耕吉、21話と22話のみ)
初登場作だが、全65話中登場したのは僅か7回、喋ったのは2回と、当時はまだファミリーとしての印象が薄かった。
アニメ第2作目
声:キートン山田(当時は山田俊司)
1作目もそうだが、本作でも基本的に長距離移動は化けガラスに頼っていたため、本作でも出番はそれほど多くない。しかし乗り物として出てくる機会は急増し、定着。これが後の3作目への布石になっている。ねずみ男を助けるという鬼太郎の命令に対し「助けない方が世のため(要約)」と意見するなど、ドライな面を見せることもあった。
アニメ第3作目
声:八奈見乗児
現在における一反木綿のイメージを定着させた作品。原作と一転し、博多弁の台詞と気のいいひょうきんな性格にアレンジされた。とりわけ八奈見乗児氏のアドリブ交えた口調が原作にも多少影響を与えた(鹿児島弁ではなく九州弁ないし博多弁を話しているのはご愛敬)。
アニメ第4作目
声:龍田直樹
既存のイメージを踏襲しつつ、九州弁を話すようになった。本作では酷使されたり、俗っぽい面が出てくる場面も増え、マスコット的な活躍もしばしば見せた。
9話にて遠くの雪泊村まで休みなしで飛ばされた時には、鬼太郎親子に対して「親子揃って妖怪使いが荒か」と怒って帰っていったが、モンローを見て素早く戻ってくるなど美人好きな一面が描かれた。その際に「おいどんファイトが沸いてきたでゴワス」と力こぶを出して興奮し、目玉おやじに「だんだんねずみ男に似てきたな」とツッコミを入れられた。
アニメ第5作目
声:八奈見乗児
声優が八奈見氏に回帰したことから、3作目に近いイメージとなったが、自身の洗い方にこだわりを持ったり、やや気難しい性格となっている。飛行の最中の垂直ターン時に尻尾の先が螺旋状になびくのがお気に入りであるらしく、後にこれが鬼太郎とのコンボ技を編み出す役に立った。四十七士の鹿児島県代表でもある。
従来は水を含まれれば斬られた部分が再生能力を持っていたが、本作では単に水に濡れた場合は、力が抜けるようにもなった。乾燥機が苦手だが仲間や恩人の危機を優先して自ら飛び込んだ。仲間からポーカーフェイスと思われている事を気にしており、表情やこだわりをわかってくれる人に出会った時は凄く喜んでいた。目が衰えたのか老眼鏡を持ち出す事がある。
アニメ第6作目
声:山口勝平
「女好きでナンパ癖がある」というとんでもない一面の設定が強調されている(ただし、4作目でも女好きな面は既に見せていたし、5作目でも猫娘の下着を堪能していた事もある)。
鬼太郎を運んできた犬山まなを見るやいきなり握手からのボディタッチをやらかし、砂かけ婆から『色ボケふんどし』と呼ばれてしまう。しかし、まなやトイレの花子さんにストーカー行為をするねずみ男とヨースケくんに『そげんこっちゃ、おなごは落ちんばい』と説くなど、良識はある様子。
前述の切断攻撃を披露した他、自身をゴムの代わりにしてパチンコの如く子泣き爺を発射した。どこの鉄人彗星だ。
また、『ガッテン承知!』と木綿をかけた『コットン承知!』という台詞をキメるようになった。
なお、初見だととても山口勝平氏が演じてるとは思えない(気付かない)程の声をしている(ちなみに山口氏は、4作目でのっぺらぼうの役も準レギュラーとして担当したが、その時も同様に直ぐには気付かれそうにない声で演じていた)。
コミカルな口調と雰囲気は、八奈見氏が担当した3作目に近いイメージである。
描写は無いが、砂かけ婆のスマホ画面を見るにスマホを持っている可能性がある(スタンプ機能も使っている)。
普通の生物同様尻に尻子玉があり、どの位置が尻に該当するか分からないと河童を挑発するが、簡単に探り当てられたあげく抜かれてダウンした。
実写映画版
声の出演:柳沢慎吾
ほとんど九州弁を喋らず、どちらかといえばアニメ2作に近い。
他の創作作品に措ける一反木綿
忍者戦隊カクレンジャー
声:檜山修之
第25話ゲスト。表記はカタカナの「イッタンモメン」。
風になびく細い布が幾重にも重なって人型を成したような姿。グラサンをかけ、バイクを乗り回す。口癖は「ベイビー!」。忍の巻きを探すサスケを妨害しに現れた。
伝承通り、布を伸ばして首を締める他、巨大化すると両腕が機械の腕と化して光線を放つ。
侍戦隊シンケンジャー
声:ふくまつ進紗
第二十二幕ゲスト。表記は「ウラワダチ」。
名前がイッタンモメンではないのは、このアヤカシが一反木綿の伝承の元になったとの設定から。のたくった布のような姿をしており、服を媒介に犠牲者に取りつき命を吸ってしまう。
手裏剣戦隊ニンニンジャー
声:山崎たくみ
忍びの9ゲスト。表記は「妖怪イッタンモメン」。
絨毯をローブのように纏ったような姿で、箒を持っている。妖怪にして魔法使いという異色のキャラであり、魔法忍者のアオニンジャーと魔法対決を繰り広げた。
仮面ライダー響鬼
表記はカタカナの「イッタンモメン」。
妖狐×僕SS
声:細谷佳正
反ノ塚連勝の項を参照。
一血卍傑
声:平川大輔
和風伝奇シミュレーション。イラスト担当は一越A区。
白い布で身を包んだ青年姿の妖「イッタンモメン」として登場。
妖怪ウォッチ
この妖怪をモチーフにしたオリジナル妖怪「一旦ゴメン」が登場し、以降のシリーズでも派生種が複数登場している。後に本布(?)もコラボ企画で登場した。