略歴
子供の頃からメカや怪人の絵を描く事が好きで、専門学校卒業後スタジオぴえろにデザイン持ち込みを行い、1984年10月『星銃士ビスマルク』でデビュー。
以降は様々な制作会社を転々として実績を重ね、現在はフリーランスで活動している。
作風
彩色にマーカーを使い、差分作成でコピーの切り貼りするアナログ派。その為か、メカで有りながら有機的な質感を持つデザインが特徴。
また原画では、絵として見栄えを良くする為メカ・キャラクター等の足元へ『影』を入れるのがお約束。その『影』はざわめいたり、オーラが立ち昇ったり、色が付いてラインが走ったりもする。それはあたかも、そのメカやキャラクターが持つエネルギー(魂や生命力)を表現しているかの様に見える。
※大半のデザインはクリンナップの際、『影』を除かれている。原画を見たいなら後述する特撮怪人のデザインを探すといい。
その作風故かメカ以外では、クリーチャー・怪人等のデザインにも実績を持つ。
そちらでの代表作は『サイレントメビウス』、『超人機メタルダー』、『特捜戦隊デカレンジャー』(みんなのボスこと、ドギー・クルーガーも森木氏の手による物)等。
他にもメカのコクピット、建物を初めとした美術設定や、武器等のプロップデザインも手掛けており、デザインの対応能力は高い。
また、『人面』のデザインに個性がある。具体的には、無駄の無い線で構成された鼻口に対し、大きくハッキリ描かれた目と言う物。日本人形や西洋ドールにも通じるシンプルかつ硬質、それでいてどこか生々しい怖さを感じるデザインであり、先述した作風を持つ森木氏の腕が発揮されている(代表例は『スクライド』の絶影)。
不遇絵師...?
上述した作風やwikipedia等に載る仕事履歴からも解かる通り、確かな実力と実績を持つベテランである。
それなのに、プロのデザイナーとしてはイマイチ知名度が低い。そこでその原因を調べて見た所、森木氏がデザインした主役メカはその殆どが不憫な目に会っている事が判明した。以下はその事例である。
デビューしてからまだ数年の精力的に活動していた頃、共同デザインをしたカトキハジメ氏を差し置いてデザイン。しかし、肝心のゲームがクソゲーであったため、ヒットにならず『スタッフが勿体無い作品』と評されたゲームごと忘れ去られてしまう。
上述のサーディオンよりも前に、メカデザイナー達に取っての花形とも言うべき『ガンダム』をデザイン。ZZ並にゴツイがシャープなシルエット、宇宙世紀史上初の人型で飛行出来るMSと言う、後輩のガンダム達に見劣りしない魅力を持つ存在だが、その最後はビームバリアに引っかかり墜落→鹵獲、パイロットは銃殺刑と言うあんまり過ぎる物だった。
その結末故か、閃光のハサウェイはガンダムシリーズなのに今だアニメ・OVAによる映像化をされておらず、主役機のΞもマイナーな扱いを受け続けている。
しかしこの度、2017年発売予定のスーパーロボット大戦Vに参戦が決定。長らくメディア露出に恵まれなかったΞガンダムだが、これで知名度アップなるか。
今後、新作劇場アニメ3部作での主役機が予定されている。
同作品に登場する連邦軍の新型量産型MS。小説の挿絵に登場したときはガンダムタイプMSと見紛うヒロイックな外観であったが、『Gジェネレーション』に登場したとき藤田一己によってデブ、じゃなくて重量級な外観に変更された。
アニメ作品『機動戦士ガンダムUC』、『機動戦士ガンダムNT』に登場するも、いずれの作品でも目立った活躍もすることなく無力化、撃破されてしまっている。カタログスペックは『ジェガン』より上の筈なのにあんまりな扱いである。
映画『閃光のハサウェイ』では活躍して欲しいところだが…。
バンプレストとウィンキーソフトの提携解消直後、バンプレスト側が世に送り出した魔装機神ブランドのアニメ作品。その主役機であるサイバスターを森木氏はリファインした(OPタイトルのカットが印象的である)。
ところがそのサイバスターの相手は、最初が戦闘向きでない作業用ロボット、次がまるで弱い戦闘用ロボット、更にその2機のパーツをコンパチした機体と格下ばかり。しかもロボットアニメで有りながらその戦闘シーンはおざなり(必殺技で一掃、ほぼこれの繰り返し)だった。
これも含めてアニメ全体の評価は悪く、旧シリーズを知るファンからは黒歴史扱い。その流れを受けて森木版サイバスターもまた忘れられていった。
この他にも、『忍者戦士飛影』や『電脳冒険記ウェブダイバー』等でデザインした主役メカが不遇を食らっている。
勿論、これだけが知名度の低い理由にはならないのだが、上記のように一メカデザイナーとして看板級の知名度を持つ主役メカを得ていない影響は決して小さくないと思われる。
また、エロ漫画の「ドラゴンピンク」(ITOYOKO作)でもクリーチャーデザインをいくつか手がけ、そのキャプションには"(マジです)"と付けられていた。
私生活
(twetterより引用)
- 『Atari2600』、『アミーガ』等のファミコン以前のゲームハードPCに詳しい模様。その実機やソフトを大切に保管している(保管場所の倉庫は空調付き)。曰く、『当時のパソコンは高価な遊び道具だった』らしい。かと言って、今のゲームに興味が無い訳ではなく、たまに『ドラゴンズドグマ』や『コール オブ デューティー』等の洋ゲーを遊ぶ事も。
- 先に書いた様に、デザイナーとしてはアナログ派だが、当人は作業の楽なデジタル作図へ移りたいと考えている。