概要
幕末から昭和までを生きた実在の女性・新島八重(旧名山本八重/川崎八重)を主人公に、彼女の生涯を描いた時代劇テレビドラマ作品。八重役は女優・綾瀬はるかが演じる。
また、ジャンプSQにて竹村洋平、サムライエースにて久木ゆづる、増刊Cheese!にて梨月詩などにより各々漫画化され連載中である。
ストーリーは前半の幕末篇(会津篇)と後半の明治篇(京都篇)に分けられているが、後半には別の脚本家が参加したこともあってそれぞれ作風が異なり、前者は大河ドラマらしく骨太な展開が繰り広げられたものの、後者は1話完結型のホームドラマ的な展開となっている。
これにより前半と後半の評価がファンによって分かれており、「前半までが大河ドラマだった」「後半からは朝ドラ」という声も少なくない。
総合的な評価
当初は新島八重自体が知名度の少ないマイナーな人物であることや21世紀以降の大河では珍しくなくなった女性を主人公とした大河であること、薩長が敵として描かれることや坂本龍馬があまり登場しないことから期待するような意見は目立たなかったものの、銃を持った女性たちが名誉や会津を守るために命を惜しまず戦う姿を骨太に描いたことから前評判を覆す高い評価を得ており、特に鳥羽伏見の戦いから会津戦争に至るまでの死亡ラッシュや西郷頼母の家族と白虎隊の集団自決のシーンは大河ドラマ随一の鬱展開だと言われている。
キャストの演技の評価も高く、新島八重役の綾瀬はるかの演技に関してはこれまでのイメージを覆したと言われ、松平容保役の綾野剛の演技に関しては「本人の霊が乗り写った」と評されたほど。
しかし京都篇からは別の脚本家を投入したことから作風の変化が現れたり、誇り高き女性だった八重が新政府軍関係者の遺族に土下座するというキャラ崩壊が指摘され、重要事件が駆け足気味になるなど「朝ドラっぽくなった」「明治維新で終わって欲しかった」という意見が目立った。
しかし、京都篇は明治時代を舞台とした大河ドラマで描かれなかった藩閥政治とその問題点や明治のキリスト教史を描いたことから評価する意見もあり、明治を舞台とした大河の中では名作という声もある。
物語
江戸時代。東北は会津藩で砲術の家に生まれた少女の八重。彼女は女の子でも鉄砲を扱いたいと願い、周りの反対も聞かずに銃の特訓をしていた。
時は幕末。黒船来航以来、国内は不安な情勢に乱れ、幕府支配は揺らいでいた。江戸幕府から京都守護を命ぜられた会津藩は任を全うしようと奮戦。八重は会津で日本の行く末を見守っていた。
しかし、幕府が解体され、新政府軍と旧幕府軍の戊辰戦争が起こり、その矛先は幕府方の会津にも向けられた。迫る敵に会津は徹底抗戦を決め、八重も郷里を守ろうと自ら銃を握った。
だが、奮戦空しく会津は降伏し、八重をはじめ残された多くの者達は耐え忍んで生きていた。
そんな時、京都で生きていた兄の山本覚馬の誘いで八重と家族は京都に移り住み、新たな地での暮らしを始めた。そして八重は、アメリカから帰国してキリスト教を広めようとする新島襄と運命の出会いをする。
登場人物
- 新島八重(旧名・山本八重/川崎八重)(演:綾瀬はるか)…会津藩・砲術師範・山本権八の長女。戊辰戦争の会津攻略戦において女性スナイパーとして活躍、維新後、兄・覚馬に呼び寄せられ京に移住、夫・川崎尚之助を失った後は同志社英学校創設のために新島襄に協力し後に新島襄と結婚、夫の死後も大学創立のために尽力した。
- 川崎尚之助(演:長谷川博己)…八重の前夫。兄・覚馬とともに佐久間象山に学び、覚馬に伴われて会津に移住。八重と結婚し、新政府軍を迎え撃つ。維新後、藩命により米相場に手を出すが失敗、みずから罪をかぶり病に斃れた。
- 山本覚馬(演:西島秀俊)…八重の兄。会津藩主・松平容保の側近として軍備の洋式化を目指したが、藩上層部の抵抗と時代の流れの速さに手遅れとなる。鳥羽伏見の戦いのおりには、薩摩軍にとらえられ幽閉される。牢内において建白書(『管見』)を書きあげるが失明、歩行困難となる。維新後、京都府知事・槇村正直のもとで京都再建の策を練るが対立、府会議員から府会議長となって槇村を糾弾する。新島襄の死後、同志社臨時総長に就任。
- 山本権八(演:松重豊)…覚馬・八重兄妹の父、会津藩・砲術師範。
- 松平容保(演:綾野剛)…会津藩・最後の藩主。将軍後見・一橋慶喜、政治総裁・松平慶永の推薦により京都守護職就任を依頼されるがこれを固辞、しかし、藩祖・保科正之の遺訓を守るべきだとの説得を受けて受諾、新選組の後ろ盾となったことも災いし恭順の意を示した後も朝敵とされ、会津の悲劇となる。
- 松平定敬(演:中村隼人)…容保の実弟。桑名藩主、京都所司代に任じられ、兄・容保とともに京の治安維持を担当するが、鳥羽伏見の戦いにおいて旧幕府軍が敗北、慶喜の逃亡に兄とともに大阪からつれさられ、江戸に到着後、慶喜に見捨てられ朝敵の烙印を押される。
- 西郷頼母(演:西田敏行)…会津藩家老。容保の京都守護職就任に反対するが会津に追放。会津鶴ヶ城攻防戦において息子を除いた妻子を失う。
- 山川浩(演:玉山鉄二)…容保の側近。
- 斎藤一(演:降谷建志)…新選組三番組長。維新後、西南戦争では官軍につき薩摩軍と戦う。松平容保の媒酌により藤田時尾と結婚する。
- 佐川官兵衛(演:中村獅童)…会津藩家老。西南戦争では会津藩の生き残りを率いて薩摩軍と戦い、戦死する。
- 西郷隆盛(演:吉川晃司)…下級藩士だが、藩主・島津斉彬に重用され、江戸や京都で政治工作に従事する。戊辰戦争では不仲だった長州と同盟を結び、江戸幕府を倒す。明治政府では陸軍大将になるが、親友で政府参議の大久保利通と意見が合わなくなり辞職。その後、政府に不満を持つ不平士族達や慕われる部下達に担ぎ上げられてしまい、西南戦争に巻き込まれる。この戦いに敗れ、部下の介錯で自刃する。
- 徳川慶喜(演:小泉孝太郎)…江戸幕府・最後の将軍。鳥羽伏見の戦いにおいて抗戦を主張する京都守護職・松平容保、京都所司代・松平定敬を江戸へとつれさり、結果として容保・定敬兄弟を朝敵としてしまう。
- 松平慶永(演・村上弘明)…京都守護職就任を固辞する容保を説得する。
- 槇村正直(演:高島政宏)…京都府知事。覚馬を招いて京都再建の道を探るが、次第に横暴さが目立つようになり、覚馬と対立する。
- 新島襄(演:オダギリジョー)…キリスト教の精神に基づいた英語学校を創設、大学創立を目指し、八重や覚馬とともに奔走する。
- 徳富蘇峰(演:中村蒼)…「熊本バンド」のリーダー的存在。熊本洋学校の廃校後、追われるように同支社英語学校に入学、卒業後、国粋主義的な論客となる。
外部リンク
関連動画
関連タグ
2013年 時代劇 NHK 大河ドラマ ジャンプSQ 八重 桜
仮面ライダー響鬼:前半と後半の作風の変化から評価が分かれることが多い作品。