神戸電鉄
こうべでんてつ
概要
神戸電鉄とは、阪急電鉄をはじめとする阪急阪神ホールディングスの傘下にある民営鉄道会社である。
路線の全区間が兵庫県に属する。
かつては準大手私鉄に分類されていたが、2005年以降は中小私鉄となる。
路線の大部分が神戸市内を通っており、一部三田市,小野市,三木市も通る。そのため、神戸市北部の通勤路線としての性格も持つ。
略称は「神鉄(しんてつ)」。「神鉄六甲」駅などがあることから、「神鉄」の読み方は公式と分かる。ホームページのアドレスもshintetsuになっている。
またかつては神戸有馬電気鉄道という社名であったことから、「神有(しんゆう)」や「神有電車」と呼ばれていた。
路線・施設
沿線の特徴
急勾配、急カーブ、通勤路線。
神戸電鉄は六甲山地を通るため、50‰(パーミル)もの急勾配が存在する。
普通の路線では25‰の坂でも急な勾配とされ、法律で35‰以上の勾配は特例を除き建設してはいけないこととされている、といえばどれほどの勾配かおわかりだろう。
また、山あいをぬって走るため、急カーブが多数あり、4両編成にもかかわらず前の車両から後の車両が見えるほどである。
また、神戸電鉄は有馬温泉と神戸市中心部を結ぶために建設されたが、神戸市の中心部へつながっている利便性から住宅地が造成され、通勤需要が高くなった。そのためラッシュ時間帯は多くの上り列車が運転される。
鈴蘭台駅では2016年5月21日現在で7時台に19本もの列車が発車し、50‰もの急勾配を越えて新開地へと向かうのだ。
車両
50‰の勾配が連続する関係で、全車両が強力なブレーキシステムを搭載している。また、電動車の比率が高い。起動加速度も3.0km/hと阪神電車の赤胴車と同等。歯車比は阪神ジェットカー5700系が5.77である所、神戸電鉄は驚きの7.07!
ちなみに新しい車両を製造することを阪急電鉄と同様「建造」と表現する。
また、慣例が存在し、車体と台車は川崎重工業製で、制御装置は三菱電機製。1000系列を除けば、神鉄の所有するほとんどの車両は非貫通型で、前面に二枚の窓を付けているという共通点もある。
昼間は全車両全列車がワンマン運転の3両編成か4両編成である。ただし、神鉄の場合は都市型ワンマンと呼ばれる形態で、駅員がいるのに車掌がいなかったりする。
車両一覧
種別
特快速
朝ラッシュ時に三田発新開地行きの2本(土休日は1本)のみ運転される。この列車が神鉄最速。
なぜ「特別快速」でも無く「特快」でも無く特快速という名称なのか。神鉄の謎である。ちなみに、特快速を英語にすると「SPECIAL RAPID EXP.」つまり特別快速急行という意味になる。また、快速を英語にすると「Rapid Exp.」となり、快速急行の意味となる。
「特別快速急行」はヤッターマン(昭和版)47話「家あり子」の劇中で架空の有料種別として登場しており、(英語表示だけで見れば)約18年の歳月を経て時代が追いついた(現実のものとなった)といえよう。
快速
朝ラッシュ時の粟生・小野発新開地行と、夕ラッシュ時の新開地発粟生行列車のみ存在する。
特快速とは異なり、下り列車も存在するが、土休日ダイヤでは運転されない。
粟生線では昔の急行停車駅を継承した種別で、現在の急行停車駅である木幡と栄には停車しない。余談だが、西鈴蘭台~押部谷間の途中駅無停車9.9kmは神戸電鉄の全種別の中でも最長距離(特快速の岡場~谷上間は通過駅数こそ多いが9.8kmで僅かに下回る)である。
また、昔は三田線でも設定があり、急行停車駅の大池・唐櫃台を通過していた。
神戸電鉄では快速と急行を比べると快速のほうが上位種別である。
急行
三田・粟生-新開地間で運転される。
準急を除けば最も運転本数の多い優等種別で、上記の2種別とは違い、粟生線では日中にも志染行と粟生行が1時間に1本ずつ運転されていたが、減便で準急又は普通に格下げされる形で廃止された。
また、急行は木幡以西は各駅停車となり、日中は普通や準急は志染で折り返すため、それより先は普通電車のかわりとしての役目を担っている。
準急
普通列車のうち、丸山と鵯越に止まらない種別。
公園都市線を除いた各線で運転されている。(ただし志染以西と有馬口-有馬温泉間は一部時間帯のみ)
本来は普通列車で運転されるようなものだが、鈴蘭台より南側は有馬線の列車と三田線の列車が合流して本数が多くなるため、需要の少ない2駅を通過させるようにした列車である。
有馬線の列車が準急などの時は粟生線が普通列車に、粟生線が準急の時は有馬線が普通列車になり、通過される2駅でも1時間に4本の列車本数が確保される。
普通
日中の志染-粟生間を除いて終日各線で運転される。
言うまでもなく各駅に停車する列車。と言いたいところだが、2005年3月まではそうではなかった。
なぜなら菊水山駅には停車しない列車があったからだ。
前述のとおり菊水山駅近辺では携帯電話がつながらないくらいの秘境であり、あるのは山と谷と川とダムと下水処理施設ぐらいのもので、ハイキング客ぐらいにしか需要がなかった。
その為、菊水山駅停車列車は鈴蘭台駅・西鈴蘭台駅を始発または終着駅とする列車を中心にごく僅かしか停車しなかった。後に有馬温泉駅・押部谷駅発着の一部にも菊水山駅停車列車が設定された。
そもそも鈴蘭台や西鈴蘭台を始発/終着とする列車は少なく、新開地行きは日中5時間以上列車が来ない時間帯もあった。
その菊水山駅を通過する普通列車は「菊水山にはとまりません。」と車内放送や駅の電光掲示板に掲載されていた。
その菊水山駅も2005年3月25日のダイヤ改正と共に休止駅(2018年正式に廃止)となり、全列車が通過するようになった。
また、1975年に休止となり、後に廃止された新有馬駅も末期は1日1往復しか列車が停車しなかった。
神鉄まめちしき
「のぼり」なのに「くだり」
列車は新開地を出るとグイグイ坂を登っていく。そして新開地へ行くときはどんどん坂を下っていく。しかし、起点の駅が新開地(湊川)であるため、坂を登る列車が下り列車、坂を下る列車が上り列車とちぐはぐになってしまっている。
ただし日本ではJRなどは平地の東京から各地方に向かうのを下りとする都合、それほど珍しい例ではなく、たとえば北陸新幹線は東京方面から碓氷峠を登って軽井沢に行く方が下りである(他には奥羽本線の板谷峠なども。下りる方が下りの例としては山陽本線の瀬野八など)。