CV:中田雅之(2001年TVアニメ版)/江口拓也(2018年TVアニメ版)
概要
初登場は『グラップラー刃牙』幼年編。
15歳で暴力団・藤木組系花山組の組長になった。現在19歳。最近20歳の誕生日を迎えた。
(なお、大親分である藤木組組長・秋田太郎は彼の母方の祖父であると思われる。)
傷だらけで強面の巨漢だが、組長になれるだけの器量の持ち主。
登場したての頃はヤクザらしい冷酷で容赦のない面が強調されていたが、連載が進むにつれ、次第に無口ではあるが温厚で人当たりのいい素顔を見せている。
特にシマにしている街の人たちからは非常に慕われており、その界隈での犯罪は激減しているなど、ヤクザでありながらも彼の存在がある種の犯罪抑止力にもなっている。
彼自身、売春や麻薬などの非道な行為は決して許さない為、花山組の主な収入源は投資とおしぼりのレンタル業(商店のみかじめ料)などであり、非合法な事は一切していない。
刃牙シリーズにおいて一番心優しい、人望がある人物かもしれない。
全身が切り傷だらけであり、背中には花山家に代々伝わる「侠客立ち(おとこだち)」の入れ墨を持つ。
14歳の時に父親を殺害した敵対する組織「源王会」の事務所にたった一人で殴り込みし、数十人を素手で倒した伝説を持つ。
この一件で逮捕(未成年なので正確には補導)、収監されるが、素手で牢屋と鉄門をぶち破って母からの15歳の誕生日を祝われた。(「バキ外伝 疵面-スカーフェイス-」では16歳となっているが誤植。)
未成年で初犯である事や、相手が凶器所持の複数である事、恐らく被害届が出されなかったであろう事などから、その後間もなく釈放(この為正当防衛、もしくは不起訴処分になったと思われる)され、最強を目指していた範馬刃牙と正面衝突、かつて刃牙を倒したプロボクサーのユリー・チャコフスキーを瞬殺してその名を刃牙に知らしめた。
その後刃牙とはゲームセンターで大乱闘を繰り広げたが敗北(ほぼ痛み分け)し、後に友情を結ぶ。
しかし、突如現れた範馬勇次郎との勝負に満身創痍の状態で立ってしまい、大怪我とトラウマを負ってしまう。
療養後は「まず一線には戻れない」と進言されたにもかかわらず、驚異的な回復力で復帰。
それから間もなくして母親は亡くなっている。
この後、刃牙と勇次郎との戦いに備えユリーと共に刃牙のスパーリングを務めた。(その後、またも勇次郎にボコられるハメに…)
なお、『バキ外伝 創面』にて幼年編~最大トーナメント編までの空白の4年の間は伝統校の倉鷲高校に通い、真面目に勉学に励んでいたようである。
シリーズ1作目『グラップラー刃牙』最大トーナメント編では19歳となり、一回戦では日本拳法の使い手稲城文之信と対戦。彼の直突きに思わぬ苦戦をするも、アッパーカット一発で完勝。
二回戦では愚地克巳と戦い、防御(うけ)が通用しない攻撃で苦しめるも最後はマッハの突きの前に敗れる。
シリーズ2作目の『バキ』最凶死刑囚編ではスペックとおおよそ人間同士の戦いとは思えぬ激闘を演じ、拳銃弾を口に詰められて暴発させられ、頬の皮を吹っ飛ばされる重傷を負うもなんとか勝利。
その戦いを見ていた警官から「チョット憧れちゃいますね・・・男として」と言わしめた。
シリーズ3作目の『範馬刃牙』では範馬勇次郎ですら止められなかったピクルの突進を真っ向から受け止め、彼にトリケラトプスを思わせている。
シリーズ4作目『刃牙道』では範馬勇次郎に再戦を挑んだが、再び敗れている。
負けはしたもののあの勇次郎に打撃一発で鼻血を出させ、「他人の手により出血したのは久しぶりだ」と感心されている。
趣味、嗜好
10代にして愛煙家でバーボンウイスキーのワイルドターキーを愛飲する酒豪(法律は守りましょう)だが、好きな食べ物はオムライスとナッツ&チョコチップのクッキーというカワイイ一面も。どうやら甘党らしい。
流行にも興味がない訳ではなのか、メイド喫茶に通ったこともある。(ちなみにその時はメロンフロートを注文していた)
趣味は旅と魚釣りで、魚釣りはプロ級の腕前。
大親分の秋田組長とは月一で海釣りによく行っている。
ちなみに下記の通り格闘技はしない主義だが、スポーツ自体は嫌いという訳でもないらしく、体育の日では律儀にジョギングしていたりする(曰く『国の決めた日だから』とか)。
体育の授業もちゃんと出席しており、体育の先生からは「オリンピックにも出れる」と評価されている。高校でのプールの授業では、刺青を隠すために競技用の全身型の水着で対応した。
理数系がちょっと苦手らしく、花山の右腕兼家庭教師の木崎からも呆れられていた。
だが一日たりとも休まず登校し、授業も真面目に取り組み、友達からも慕われている事を担任の先生に褒められており、木崎もその事は高く評価していた。
しかしながら「7×6=48」と掛け算を間違えて覚えてしまっており、冬休みの宿題でそこで詰まってしまいギブアップ(目を開けながら寝てしまった)してしまったというなんともマヌケな逸話もある。
ファイトスタイル
ファイトスタイルは完全な我流。
これについては花山自身が「格闘技はしない」主義を貫いているため。
持論を要約すると――
『格闘技は戦う力が足りない奴がそれを補うことを目的にしているから、
自分のように才能にも体格にも恵まれたヤツが手を出すものではない。
それはただでさえ強いヤツが、拳銃とかを持つのと同じようなものだ』
としている。
あくまでステゴロの喧嘩での真剣勝負を目的する花山にとって、必要以上に強くなることは無粋だとしているのかもしれない。
その在り方を見た者からは、「強くなるための努力さえ女々しく思えてくる」と評されるが、花山本人は努力を否定したことは一度もない。
桁外れの身体能力に物を言わせた喧嘩といったもので、握力×体重×スピード=破壊力の方程式から放たれる強力無比な打撃と敵の攻撃をノーガードで平然と受け切り反撃する規格外のタフネスが持ち味。
攻撃面では刃牙に「夜叉猿より強いッ」、克己に「防御(うけ)が通用しない」と言わしめ、重さ800g・初速47m/sの鉄鋼弾の集中砲火をものともしないスペックも「なんてパンチだ…」と評した。その拳は一撃で鋼鉄製の扉を打ち破り、並み居る強豪を軽々と吹き飛ばしてきた。
防御面では拳銃で撃たれても平然としているほどのそのタフネスから構えすら取らないことも少なくないが、反撃に転じる際には極端にアップライト(高くガードを上げ、背筋を伸ばした姿勢)に構えた独特のファイティングポーズをとる。(ちなみに、奇しくもスペックも同じ構えである。)
スピードは他のキャラクターに比べるとあまり速い印象はないが、走行中の自動車に追いついたり、胴回し回転蹴りのような跳び技を難なく繰り出すなど俊敏な面も見せる。得意とするパンチのスピード自体も非常に迅く、大きな予備動作にも関わらず避けるのは困難とされている。
単純なパンチ、キックだけでも充分に相手を倒すこともできるが、彼の真の能力は握力。
その握力は常人を遥かに超え、瓶を握り潰し、トランプを52枚重ねて引き裂き、タイヤを引き千切り、アルミ缶をピンポン玉より小さい綺麗な球に圧縮し(子供たちに大好評)、脛の肉をいとも簡単に引き千切るほど。
さらにその握力に物を言わせ、相手の部位を両側から圧迫、逃げ場のなくなった血液で破裂させる「握撃」が最大の必殺技。
スペック戦では、この技で彼に引導を渡した。
作中での戦績は勝ったり負けたりの繰り返しで、さほど華々しいものではないが、その堂々たる戦いぶりから、敗北しても評価を落とすことがない名勝負製造機。
手も足も出なかった戦いは勇次郎との初戦ぐらいのもので、それも刃牙と戦った直後で満身創痍の状態であった。
以後の戦いは、敗北はすれども心は折れず、必ず相手を苦戦に追い込み、感嘆させている。
モデル
安藤組(東興業)の大幹部を勤めた人物であり、組長・安藤昇の寵愛を最も受けた人物とされる。前科7犯に逮捕歴22回。
花山と同じく武器を用いない完全な素手での喧嘩を好み、また白スーツがトレードマークだったという。
1963年9月27日没。享年33歳であった。
余談
彼を主人公とした外伝作品に『バキ外伝 疵面-スカーフェイス-』、高校生活を描いた『バキ外伝 創面』がある。(どちらも原作:板垣恵介、作画:山内雪奈生。『バキ外伝 疵面-スカーフェイス-』は長らく休載されていたが2014年に再開)
がある。作中でも屈指の人気を誇るキャラクターであり、一部からの声に寄れば「人気でなら主人公親子よりも格段に上」だとか(現にニコニコ動画などでバキ関係の動画を見ていると、比較的高い確率で明らかに彼のファンと思しき者が打ち込んだであろうコメントが確認できる)。
KOFシリーズもラルフが使う技の一部は花山から影響を受けている。(ギャラクティカファントムなど)
また、銀魂でもアイドルデビューした神楽がファンの手を全力で握ってしまい相手を大怪我させてしまった際に新八が「握手会じゃなくて花山薫の握撃会になってる」と突っ込みを入れていた(ご丁寧にそのコマでは神楽が花山薫に激似の巨体に描かれている)。