ドン・アルカゲ
どんあるかげ
「この中(ホシ★ミナトのギター)には、惑星100個分のハイパープラネジュームが閉じ込められている。それを浴びれば、俺はドン・アルマゲをも超える、最強の影武者になるのだ!」
「明日の夜明けと共に、真の力を得たこの俺の強さを思い知らせてやる!!」
データ
役職/影武者
出身/宇宙
身長/238cm(ヒカエオロー身長/64.3m)
体重/225kg(ヒカエオロー体重/607.5t)
装備/双剣カゲムシャドー
分類/影武者宇宙人
概要
宇宙幕府ジャークマターの残党であり、ドン・アルマゲが有事の際に密かに用意していた自身の影武者にして、宇宙の影のドン。
赤色の体と金色の装甲を持ち、その姿はキュウレンジャー本編終盤に実体化した際のアルマゲの姿と瓜二つ。目元はサングラスを掛けている様にも見える黒い模様がある。
かつてクエルボと同化していた際に、アルマゲの使役していた分身とは違って独自の自我を持っており、自身がアルマゲの影武者(身代わり)であった身分を悲嘆する所か自らの誇りにしており、アルマゲを超えた存在となって彼の代わりに全宇宙を支配する事を目標として活動する。
声や人格はオリジナルのを引き継いでいるが、独裁者としての実積と経験は無い事からアルマゲが漂わせていた威厳は無く、口調に迫力が足りない。一人称も『俺』となっている。
自ら戦闘を行う事は少ないが、腕から強烈な斬撃『シャドー波動』を放てるほど戦闘力は十分に備えており、自力でのヒカエオローも可能。
ギャングラーのリルス・リピッグと手を組み、ホシ★ミナトが持つギターの中に眠る“『ジャークマターの埋蔵金』=惑星100個分のハイパープラネジューム”を取り込んでアルマゲをも超える力を持って覚醒。
背面にアルマゲ最終形態を思わせるウロボロスの意匠を持つ光背が追加され、そこから複数のミサイル『鋭棘弾カゲムショット』を放射する他、ハイパープラネジュームの力を用いてジャークマターの戦力を生み出す力『影武者クローン』も得た。またこの姿ではアルマゲ最終形態が持っていたアルマ剣に似た2本の双剣『カゲムシャドー』を装備している。
全体的に見ると、悪足搔きレベルの抵抗しか出来なかった素体時のアルマゲと比べて攻撃手段が豊富で、純粋な戦闘力ではオリジナルを超えている。
ただし無限のプラネジュームを取り込んで戦闘力を補強したアルマゲと違い、アルカゲが取り込めたハイパープラネジュームは有限の為、力の行使には限界がある。
※後述の推測も踏まえると、元々戦闘用として設計・製造された“身体”がアルカゲの前身なのかもしれない。ハイパープラネジュームは全機能を発揮する為の『電池』に相当するのだろう。
活躍
物語が始まる以前より、ルパンレンジャーとパトレンジャーのいる並行世界の地球へと来訪しており、ハイパープラネジュームが込められたギターを手に入れるべくワームホールを生成、キュウレンジャーのいる並行世界のホシ★ミナトとジェラタロウを吸い込ませてこちら側の並行世界へと飛ばした。
ただ飛ばした先はアルカゲも判らず、ミナトとジェラタロウは頼る人や物が無い平行世界の地球で終わりの見えないホームレス生活を強いられる羽目となった。
その間、鳳ツルギは現時点で招集可能なメンバー(ラッキー、スティンガー、ハミィ、スパーダ)を招集してアルカゲの後を追わせ、怪盗BN団の方もラシンバンキュータマの力でミナトの居場所を突き止めた事でこちら側の並行世界へと来訪している中、何処かの施設のアジトへと潜伏し、リルス・リピッグにミナトのギターの捜索を一任、着々と準備を進めていく。
そして、アジトへ戻ってきたリルスが強奪したミナトのギターを彼から受け取り、本格的に活動を開始し始めようとするも、リョウケンキュータマの力でミナトのギターの匂いを嗅ぎつけ、その場に隠れていたハミィ・スパーダ・スティンガーが登場。更には快盗の姿になった魁利達ルパンレンジャーとBN団の2人も駆けつけるが、変身した8人の足止めをリルスに任せて自身はハイパープラネジュームを取り込む為にその場を後にする。
その後、何処かの屋外で手にしたミナトのギターを鳴らし、上空に解放されたハイパープラネジュームを取り込んでいた所、異常なエネルギーを感知したジム・カーターの通報を元にラッキー、ツルギ、圭一郎らパトレンジャー達が駆けつける。
それでもそのままハイパープラネジュームを取り込んでいるとシシレッドにスターチェンジしたラッキーは圭一郎の制止を聞かずに駆け出し、アルカゲにしがみついたまま離れようとしない。
ラッキーを止めようと圭一郎が警察チェンジ、パトレン1号の乱入を物ともせずにシシレッドを痛めつけた上にシャドー波動で吹き飛ばして2人の変身を解除させた。
そして、ハイパープラネジュームを完全に取り込んだ事でドン・アルマゲ最終形態に酷似した姿へと変化。ダウンした2人を助けようとした4人に向かって、明日の朝になった時、この宇宙を支配する為に破壊活動を開始する事を伝えつつ強化されたシャドー波動を放ち、その隙に逃走。
夜が明け、目的地の時折山に現れたアルカゲはこの宇宙を支配しようと活動を開始し始めようとするも、パトレンジャーと今のところ戦闘可能な全キュウレンジャーが駆けつけて変身してアルカゲを倒そうとするが、アルカゲはカゲムショットを放って広範囲を爆撃。
全員を返り討ちにして一瞬で変身解除に追い込み、トドメを刺そうと10人に迫るも並行世界の宇宙から遅れてショウ司令ら残りのキュウレンジャー5人の乗るリュウボイジャーが放つドラゴンファイヤーを受けて思い切り吹き飛ばされてしまう。
更に、復調したラッキーやBN団へ予告状を送りつけてこの決戦に駆けつける事を伝えていたルパンレンジャー、何故か門藤操/ジュウオウザワールドも駆けつけ、アルカゲを倒すべく全員変身。
これに憤慨したアルカゲはかつてキュウレンジャーに倒されたフクショーグン達と大量のインダベーの影武者クローンを召喚して迎え撃つ。
各々がフクショーグン達と戦う中、自身はシシレッド、ホウオウソルジャー、ルパンレッド、パトレン1号と交戦。
ハイパープラネジュームを取り込んでパワーアップした力を見せつけようとカゲムシャドーから繰り出される攻撃で4人と戦うが、パワーアップを遂げたにも関わらず、何故か次第に自身が劣勢になっていく。
実は、ハイパープラネジュームを取り込んでいた際にラッキーが必死にしがみついていた腰部分にはハイパープラネジュームが完全に取り込めておらず、そこが弱点となっていたのである(※戦闘時のエフェクトを見る限り、弱点を執拗に攻撃された事でそこから殆どのハイパープラネジュームが漏れ出てしまった様子)。
ラッキーの手によって図らずもに弱点を作られてしまっていたアルカゲは4人が繰り出す攻撃に追い込まれてしまい、召喚した影武者クローンも撃破・全滅されて、四面楚歌の状況に。
そして、そのまま全員の放った最大火力の必殺技の一斉攻撃(シシレッドオリオン:インフィニッシュブラスト、ホウオウソルジャー:フェニックスエンド、リュウコマンダー:ドラゴクラッシュ、キュウレンジャー9人:オールスタークラッシュ、ルパンレンジャー:スーパー快盗ブースト&イタダキ・ド・ド・ドストライク、パトレンU号:イチゲキストライク、ルパンエックス:スペリオルエックス)を受けて敗北。
その直後、赤いエネルギー体になったアルカゲはすぐさま飛び立ち、ヒカエオローを行い巨大化。今度こそ3大スーパー戦隊を叩き潰そうと襲いかかる。
これに対抗してルパンレンジャーとパトレンジャーはVSビークルを全発進、先程駆けつけたグッドストライカーと合体し、グッドクルカイザーVSXに合体。更にコクピットへキュウレンジャー12人も搭乗して対抗する。
これへカゲムショットを放射するも全て避けられてしまい、カゲムシャドーを持って襲いかかるもVSビークルの換装も駆使したグッドクルカイザーVSXの繰り出す多彩な攻撃へ太刀打ち出来ず、先の戦闘でハイパープラネジュームを使い果たしていたのも相まり一転して圧倒され追い込まれてしまう。
最期はVSビークルとキュータマの力を合わせた合体必殺技『グッドクルカイザーオールスターストライク』を撃ち込まれて爆散・戦死。これを持ってアルカゲの野望もあえなく終わった。
アルマゲを超えると豪語したアルカゲだったが、結局はアルマゲと同じく得た力を過信し協力者を軽視する価値観が裏目となり、瞬く間に追い詰められて倒される末路を辿った。
そもそもアルマゲが恐れられたのは率いていたジャークマターの組織規模が凄まじく巨大で、それが威圧感の後ろ盾になっていたから。そしてその後ろ盾を、手っ取り早く全てを支配する力を手に入れるや丸ごと切り捨ててしまったアルマゲは、その力を失うや一転して四面楚歌の状態になってしまった。
アルマゲと違い、後ろ盾が一切無く頼る物がハイパープラネジュームだけのアルカゲは上の価値観を否定しなければならなかったのだが、やはり捨てられなかった結果アルマゲの二の舞を演じて打ち倒される結末となってしまった。
余談
スーツはドン・アルマゲ(素体)、パワーアップした際に追加された光背パーツは最終形態のをリペイントして流用している。カゲムシャドーはアルマ剣のリペイント。
声はアルマゲと同じく谷氏が担当しているが、声にノイズの様な音声加工はされていない。
推測
ドン・アルマゲが用意した影武者と言う設定のドン・アルカゲだが、監督の加藤氏はアントン博士がアルマゲにそっくりに作った別個体という裏設定を考えていたという。
ただ、裏設定を含んだ上でキュウレンジャー本編を見る限り、アルマゲが影武者を必要としていたとは考え難い。
何故なら、全宇宙の嘆きと苦しみの念が集まった思念体であるアルマゲは負の思念があれば不滅である都合上、影武者を立てる必要性が基本的に無いからである。
また、負の思念を得続けるべく『手っ取り早く宇宙を支配する方法』を求めていたアルマゲにとって、他者が集まった組織故にその維持へ気を使わなければならないジャークマターは負担ともなっていて、同化していたクエルボに所有権を実質譲って管理させていた事実があった。
その為アントン博士がアルカゲを作ったのは、アルマゲでは無く同化していたクエルボの意思だった可能性が高い。彼は歪んだやり方で全宇宙の救済を果たそうとしており、アルマゲと違い当時の立場に拘っていた。
だから有事によって立場を失うのを恐れ、本編内で幾つか作り出していた分身を発展させた予備の身体=影武者を用意、いざと言う時はそれへ意識を移す事で逃げ延びる算段も考えて用意していたと言う推測が導ける(※因みにアルマゲも似た事をキュウレンジャー最終回で行おうとした)。
アルマゲの分身を憑りつかせていたホシ★ミナトの私物に大量のプラネジュームを圧縮して隠した事や、それをアルカゲが知っていて開放出来たのも、有事の際の保険としてクエルボがあらかじめ仕込んだ物と考えれば辻褄が合って来る。
そして結局、アルマゲもクエルボもキュウレンジャー本編で死亡するが、それが残した予備の身体に偶発的に自我が宿って動き出したのがアルカゲでは無いだろうか。彼が“影武者=支配者の予備の身体”である事にアイデンティティーを持つのは、上述の誕生経緯から自立したと言う自信を持つ故なのかもしれない。
そしてこれは、無力で目立たない自分を認められず、それをどうでもいいと見下す為だけにアルマゲと一体化、全てを救済すると言いながら宇宙を脅かしたクエルボに取って痛烈な皮肉にもなっていた。アルカゲの人格がアルマゲの物をトレース、クエルボの要素が一切無いのもまた皮肉を助長していると言えるだろう。
最も、クエルボの思惑を離れた後に目覚めたアルカゲは分不相応な野望を一人で叶えようとして失敗、結局何も残せない結末を迎えている。この点は所詮クエルボの保険の道具に過ぎなかった事と、アルマゲの支配=ジャークマターの発展がクエルボの頭脳に依存していた物だった事実を象徴していると言える。
関連タグ
クロッペン、ドルメン大帝:未来ロボダルタニアスの敵役で、ある星の支配者達が自らの命を繋ぐ為の影武者兼『スペア』として生み出したクローン。両名とも自らの境遇を知って絶望するも、前者はそれでも一人の人間として生きる事を選び、最後は自分のオリジナルを死の淵から救うべく自らの身体を捧げる(本来の境遇を自ら選ぶ)結末を選んだ。一方で後者は自分のオリジナルを含めた周りを滅ぼして復讐を遂げるも、その憎悪は際限無く膨れ上がり、やがて無関係な他者をも脅かす宇宙規模の巨悪へと変貌した。
帝王テラーマクロ:仮面ライダースーパー1の敵役で「妨害により、身体の一部分だけ、パワーアップを果たせずに敗北」した事が似ている。