プロフィール
サラブレッドではごく少数(0.1%以下)しか存在しない白毛の牝馬である。一見全身真っ白に見えるがよく見ると目元に少しブチ模様がある。
父は2001年のNHKマイルカップ・ジャパンカップダート覇者クロフネ、母は斑模様の外見で人気を博したブチコ、母の父はキングカメハメハという血統で、ブチコの初仔である。またブチコの母は近年白毛の名牝系として評価を確立しつつあるシラユキヒメであり、近親にも活躍馬が少なくない。
馬名はサンスクリット語で「純粋」「輝き」という意味とされるが、実際にはサンスクリット語に「ソダシ」という言葉は存在しない。(ただし、オーストラリアに同じ由来を名乗るソダシという化粧品ブランドがある。)
馬主は父や母と同じく金子真人ホールディングス。
厩務員は今浪隆利。厩舎チームが完全にあのゴールドシップチームである。
戦歴
2020年(2歳)
父クロフネは芝・ダートの二刀流GⅠ制覇を達成し、母ブチコもゲート難で早期の引退を余儀なくされたものの、ダート戦線でオープン入りまで進んだ馬である。
そのブチコの初仔たるソダシは、母系の適正を考えればダート戦線を選択してデビューするのではという予想もあったが、須貝尚介厩舎では調教で適性をみた結果、芝でのデビューを選択した。
2020年7月12日に函館競馬場の2歳新馬戦で吉田隼人を背にデビュー戦勝利を挙げると、続く9月5日の札幌2歳ステークス(札幌競馬場・GⅢ)でレコードタイムを叩き出し重賞初勝利。また、これが白毛馬としても史上初の国際平地芝重賞勝利であった。
※重賞勝利そのものは2008年に伯母のユキチャンが関東オークス(JpnⅡ)、JRA及び国際重賞では2019年に従兄にあたるハヤヤッコがダートのレパードステークス(GⅢ)を制していた。
10月31日に開催されたアルテミスステークス(東京競馬場・GⅢ)も勝ってデビューから無敗の3連勝。
そして、1番人気に推された阪神ジュベナイルフィリーズ(阪神競馬場・GⅠ)は、メイケイエール(小倉2歳ステークス・ファンタジーステークス 実は祖母がソダシの母の半妹の為従姪にあたる)やリンゴアメ(函館2歳ステークス)といった重賞勝利馬を相手にする。
最後の直線で一旦はサトノレイナスに抜かれるも、勝負根性で差し返し、ハナ差でGⅠ勝利を達成。
デビューから無敗の4連勝を記録すると共に、史上初の白毛のGⅠ勝利馬となった。
四半世紀を経て現実が漫画に追いついた例となる。
2020年度JRA賞最優秀2歳牝馬に満票で選出された。
2021年(3歳)
クラシックシーズンとなる3歳の初戦は、前哨戦を挟まずに桜花賞へ直行した。
サトノレイナス・メイケイエール・ヨカヨカなど阪神JF出走組の他、ディープインパクトとアパパネの間に生まれたアカイトリノムスメ、チューリップ賞でメイケイエールと同着優勝のエリザベスタワーなども顔を揃えた。
レースはメイケイエールが中盤にハナを奪うが、ソダシは冷静に先頭集団から脚を伸ばし、直線で先頭に立つと、最後方から追い込んできたサトノレイナスの追撃をクビ差で凌いで優勝。タイムは1分31秒1で新記録を叩き出した。
白毛馬で初のクラシック制覇を達成すると共に、鞍上の吉田隼人もこれが初のクラシック制覇となった。
続いては無敗のクラシック2冠を賭けて優駿牝馬に出走する。
スタートはよかったのだが、他馬に激しくマークされて囲まれるという不利なレース展開に。それでも好位につけて直線勝負を挑むも伸びず、馬群に沈んで結果8着と初めて土がついた。優勝馬は皮肉にもあの厩舎の大先輩の娘ユーバーレーベン。
不利なレース展開にあって、途中までのレース内容は決して悪くはなかったが、残り200m地点を過ぎたあたりで失速し、クロフネ産駒の宿命とも言える中距離以上への適性の無さを露呈する結果となった。しかし2000m辺りまでは先頭争いに加わることが出来たことから、秋華賞への出走はなんとか目処がついた格好となった。
札幌記念から秋華賞へ
初の敗北からの出直し戦には、秋の秋華賞を見据え、同じ2000mかつ、2歳時にレコード勝ちを果たした札幌競馬場開催の8月22日札幌記念(GⅡ)を選択。
古馬相手の初レースに挑んだ。
過去の結果で不利のデータが出ていた大外8枠13番を引いたが、最軽量52kgの斤量を利して、第1コーナーまでにスムーズに2番手につける。4角で早めに先頭に立って馬場の内目を確保すると、直線でも垂れることなくそのまま逃げ切り勝ち。
ラヴズオンリーユー、ブラストワンピースらGⅠ古馬を相手に、クロフネ産駒が今まで破れなかった2000mの壁を突破しての重賞勝ちとなった。
また、3歳牝馬の札幌記念勝利は2014年のハープスター以来7年ぶりとなった。
迎えた10月17日の秋華賞だったが、1番人気に支持されていたものの、最後はオークス馬ユーバーレーベンとともに馬群に沈み、結果は同じ勝負服のアカイトリノムスメの10着だった。
敗因は不明だが、歯茎から出血しており、当初は歯が折れていたと思われていた。レース後にソダシの状態を確認した須貝調教師は「ゲートでぶつけたのだろうけど、それが影響したのかな」と敗因を分析。
母のブチコが酷いゲート難でレースにならずに引退したことと、桜花賞の前に今浪厩務員が「アイツに似てきて大変やねん」と発言していたことを合わせて「母親であるブチコの気性難を受け継いでいるのでは」と危惧されている。
また、阪神競馬場は高低差がほとんどない札幌競馬場とは異なり、「仁川の坂」と呼ばれる高低差のある直線が存在しているため、「坂のある2000mはダメなのでは」とも分析されており、「阪神2000でキツいなら距離適性としてはスプリント・マイラーなのだろう」とも言われている。
秋華賞後
先述したように、秋華賞のレース後に馬体を確認したところ、歯が折れていると判断されたが、栗東トレセンに帰厩後の検査で歯茎からの出血だけだったと判明。
今のところ、歯以外の損傷はなく、競走馬の命とも言える足も無事とのこと。
この先のプランはまずは傷ついた歯が固まるのを待ち、それから調教やレースへの出走を再開していく予定であると報じられた。
その後、傷ついてグラグラしていた下顎の前歯を抜歯したことが報道された。また、抜けた歯はどうやら乳歯のようで、「下から歯が生えてきている」と報告されている。傷口の炎症もなく、飼葉もしっかり食べているとのことで、体の調子は特に悪くはないとのこと。
11月に入って歯茎の傷も癒え、調教も再開されたところで次走予定の報が入った。
チャンピオンズカップ
次走はチャンピオンズカップ。須貝調教師曰く「血統もあり、距離も丁度いいので一度ダートを走らせて見たかった」とのことで、かつて父クロフネがジャパンカップダート時代に圧勝したレースに娘も挑むこととなった。
ダートを未勝利のままG1ダートの勝ち鞍を得た前例はなく、ジンクス破りにも期待がかかっていた。
しかし、レース前半は快調な「逃げ」でペースの主導権を握ったソダシは最後の直線で失速し馬群に飲まれてしまう。2番人気であったのに12着と大敗してしまった。優勝馬は1番人気テーオーケインズ。
途中まで先頭をキープしてはいたのでダート適正がないとはまだ言い切れず、いきなりのG1が悪かったのではないかとも言われている。
また、笠松時代のオグリキャップや桜花賞馬ダイワスカーレットの鞍上を務めた元騎手の安藤勝己氏は、Twitterで「ダート適性云々やなくて馬がレースで走りたくないのかもしれない。秋華賞の負け方が悪かったのをそのまま引きずっとる感じ。調教はやれば動くで、陣営の負けたくないってプレッシャーが伝わってしまった可能性がある。」と投稿。精神面や(結果的にせよ)前回歯をケガしたまま走ることとなった秋華賞から、レースがトラウマになっている可能性を指摘している。
他にもトウカイテイオーやマヤノトップガンの鞍上を務めた元騎手の田原成貴氏は、東京スポーツのインタビューで「秋華賞でのソダシの歯茎の出血は自傷行為」などと語るなど、メンタル面に問題があることを指摘している。
年末のJRA賞では、アカイトリノムスメに約4倍もの差を付け、最優秀3歳牝馬を受賞した。(有効296票中ソダシ234票、アカイトリノムスメ56票、ユーバーレーベン3票、該当なし3票)
2022年(4歳)
フェブラリーステークス
古馬としての初戦は再びダートのフェブラリーステークス。(馬場状態は小雨の影響で重馬場)
ソダシは直近2戦での大敗から4番人気だった。
レースは中盤まで2・3番手につけ、好位置に付けるがカフェファラオの3着に敗れた。
それでも1600mという適正距離が味方して3着に粘った。
須貝調教師によると、次走はヴィクトリアマイルを予定しているとのこと。