概要
長編アニメーション映画の制作を主力事業とするアニメスタジオ。『風の谷のナウシカ』を制作した「トップクラフト」を母体に、徳間書店の出資を受けて1985年設立。『天空の城ラピュタ』以降の全ての宮崎駿作品の制作拠点となっている。
もともとは宮崎と高畑勲の作品制作を行うために作られた会社だが、他の監督作品の制作、他のアニメ制作会社の動画グロス、短編作品および実写作品の制作、『熱風』という小冊子の発行を行う出版事業、さらに音楽事業なども手がけている。
日本のアニメスタジオでは珍しく、アニメーターが月給制であり、劣悪な労働環境が常態化している業界内では待遇は良いとされている。これは人材育成を重視する宮崎駿の意向によるもの。研修生を入れて新人育成に努めるようになったのは『魔女の宅急便』からだが、宮崎には制作中の作品に横槍を出してくる悪癖があり、このため片渕須直は『魔女』の企画を宮崎に横取りされ、細田守は『ハウルの動く城』の企画に行き詰って宮崎に交代。押井守は『アンカー』の企画段階で宮崎・高畑と対立して決裂、近藤喜文は『耳をすませば』を完成させたもののプレッシャーに圧し潰されて早逝してしまい、結局ジブリでは宮崎の後継者と言えるような有力な演出家は育たなかった(片渕や細田はいずれも日本を代表するアニメ監督として知られるが、出世作を出したのはいずれもジブリを離れてからである)。
また「大作アニメのメインキャラに声優は使わない」の文化については好き嫌い分かれるところ。
2013年の『風立ちぬ』で宮崎駿が引退を表明して今後が注目されていたが、2014年の株主総会にて、鈴木敏夫により同年発表の『思い出のマーニー』を最後として制作部門を一端解散し、アニメ制作は事実上の無期限活動休止になることが明かされた。しかし宮崎の引退撤回と次回作『君たちはどう生きるか』の制作開始に伴い、再度制作部門が立ち上げられた。
2001年、東京都三鷹市の井の頭公園内に三鷹の森ジブリ美術館が開館。これはスタジオジブリの関連法人が指定管理者として運営する三鷹市立の美術館で、ジブリやアニメーション制作関連の展示品を多数収蔵・公開している。
名称
「スタジオジブリ」の名称は、サハラ砂漠の熱風(ghibli)に由来している。実際には「ギブリ」の方が原音に近い。公式には認められていないが、カプロニ社製の飛行機 Ca.309ギブリが直接の由来とも言われる。
なお2005年に徳間書店傘下から離れる際、ジブリの名称の権利を持つ徳間書店から買い取る必要があり、その際宮崎駿は改名案として「シロッコ」を提案したが、社内の評判がよくなかったこともあり、ジブリの名称を継いでいる。
著作権について
「スタジオジブリ」は著作権に厳しいとされており、基本的に非営利の二次創作には寛容であるが、一次創作は勿論二次創作でも商業利用や同人販売販売などの営利目的の場合は原則スポンサー以外での使用許諾は行っていない。
方針自体は他所と変わらないと思われるが、「スタジオジブリ」の場合はエゴサーチに至るまで徹底されている。たとえば動画関連においてはYouTubeやニコニコ動画でジブリ作品のMAD系ムービーを公開した場合速攻で権利者侵害により削除され、YouTubeでは削除こそされないが、著作権管理システムのコンテンツID機能によりアップロード完了後に速攻で動画公開がブロック(日本国内外の全ヵ国)され、その相応のペナルティを受けるが、公開ブロックが回避されている場合は短期間で三回(投稿数)連続で削除されてアカウント停止になるのでやめた方がよい。同社が所有する全作品は登録済み。また、削除しきれなかった残りのMAD系動画に関してはこのペナルティを受けて観れなくなっている。
また、書籍関連においても同人誌販売店の検索でもジブリの同人関連は(そのままでは)ヒットしないようになっている(ヒットしたら間違いなく販売中止となり、状況によっては訴訟沙汰となり、同人誌製作者および販売店に多額の賠償金が命じられる可能性がある)。
この方針はご当地系にも影響しており、『耳をすませば』のモデル地(多摩市)をご当地化しようと有志がジブリに問い合わせたところ「そのまま使うのは許可できないが、○○風という表現にすれば黙認する」という回答があったとされている。そのためご当地系のジブリ作品は『耳をすませば』以外にも多数ある(『おもひでぽろぽろ』の山形市、『海がきこえる』の高知市、『コクリコ坂から』の横浜市など)が、それに関連したご当地グッズは一切作成・販売されていない。
但し「ジブリっぽい何か」という表現であれば問題はない模様で、たとえば同人誌販売店にはジブリ作品らしき同人誌(この場合元の作品名をぼかすなどの工夫がされている)が置いてあったり、先述の通り『耳をすませば』の舞台地にある洋菓子店では作品に関連したシーンを模したグッズを置き、「耳すまクッキー」を販売している(あくまで「耳すま」で『耳をすませば』ではない)。
作品一覧
タイトル | 監督 | 公開日 | 時間 | 配給 | 備考 |
---|---|---|---|---|---|
天空の城ラピュタ | 宮崎駿 | 1986年 | 124分 | 東映 | |
となりのトトロ | 宮崎駿 | 1988年 | 86分 | 東宝 | 同時上映『火垂るの墓』 |
火垂るの墓 | 高畑勲 | 1988年 | 88分 | 東宝 | 同時上映『となりのトトロ』 |
魔女の宅急便 | 宮崎駿 | 1989年 | 102分 | 東映 | |
おもひでぽろぽろ | 高畑勲 | 1991年 | 119分 | 東宝 | |
紅の豚 | 宮崎駿 | 1992年 | 93分 | 東宝 | |
海がきこえる | 望月智充 | 1993年 | 72分 | テレビ映画として放映後に地方の映画館で上映 | |
平成狸合戦ぽんぽこ | 高畑勲 | 1994年 | 119分 | 東宝 | |
耳をすませば | 近藤喜文 | 1995年 | 111分 | 東宝 | 同時上映CHAGE&ASKAのPV『OnYourMark』 |
もののけ姫 | 宮崎駿 | 1997年 | 133分 | 東宝 | |
ホーホケキョ となりの山田くん | 高畑勲 | 1999年 | 104分 | 松竹 | |
千と千尋の神隠し | 宮崎駿 | 2001年 | 125分 | 東宝 | |
猫の恩返し | 森田宏幸 | 2002年 | 75分 | 東宝 | 同時上映『ギブリーズ episode2』 |
ハウルの動く城 | 宮崎駿 | 2004年 | 119分 | 東宝 | |
ゲド戦記 | 宮崎吾朗 | 2006年 | 116分 | 東宝 | |
崖の上のポニョ | 宮崎駿 | 2008年 | 101分 | 東宝 | |
借りぐらしのアリエッティ | 米林宏昌 | 2010年 | 94分 | 東宝 | |
コクリコ坂から | 宮崎吾朗 | 2011年 | 91分 | 東宝 | |
風立ちぬ | 宮崎駿 | 2013年 | 126分 | 東宝 | |
かぐや姫の物語 | 高畑勲 | 2013年 | 137分 | 東宝 | |
思い出のマーニー | 米林宏昌 | 2014年 | 103分 | 東宝 | |
レッドタートル ある島の物語 | マイケル・デュドク・ドゥ・ヴィット | 2016年 | 80分 | 東宝 | 日仏ベルギーの合作 |
アーヤと魔女 | 宮崎吾朗 | 2021年 | 82分 | 東宝 | スタジオジブリ史上初の3DCG制作でテレビ映画として放映後に映画館で上映 |
君たちはどう生きるか | 宮崎駿 | 2023年予定 |
レッドタートルに関しては、欧米のクリエイターや企業との対等合作でかつ脚本や絵コンテなどのストーリー作りの大元は向こう側が担当した。そのため作画、ストーリー、さらに登場人物の言葉としてのセリフが皆無というサイレント映画である事などが、スタジオジブリらしい作品を期待していたファンたちの期待を大きく裏切り、日本での評判やテレビ放映時の視聴率がかなり低いものとなった。
画像配布
2020年9月18日、ジブリがサイトを更新。
自社作品の画像写真の無料配布を開始した。
公開された画像は『千と千尋の神隠し』『ゲド戦記』『崖の上のポニョ』『借りぐらしのアリエッティ』『コクリコ坂から』『風立ちぬ』『かぐや姫の物語』『思い出のマーニー』の8作品。
ジブリ代表取締役の鈴木敏夫氏によると「常識の範囲でご自由にお使いください」とのこと。
関連イラスト
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⇒作品内容・二次創作関連のものは「ジブリ」に記載