成り代わり
なりかわり
概要
二次創作における主人公設定の一つを指す属性名、並びにそうした設定の主人公が登場する二次創作作品を指すジャンル名。
その言葉通り、何らかの要因(傾向としては異世界転生・トリップネタが多い)で主人公が既存のキャラクターに成り代わる。
元々の姿のまま既存キャラのポジションに収まるものもあるが、大抵の場合は容姿や名前、立ち位置が既存キャラのもので、その内面(精神性、自我など)が異なる。
このため、本来のキャラクターが取らない行動をする。
成り代わった主人公が原作知識を持っている場合、原作改変が行われる内容になることが多い。
主人公が原作知識を持っていなくとも内面が大きく変わることで原作改変が生じる場合もある。
また、成り代わり主人公でも成り代わった自覚の無いもの、前世の記憶等の転生要素は無いが元のキャラクターに比べて内面・容姿・境遇が違いすぎる主人公にも成り代わりタグが使用される。
他にも、版権キャラが他の版権キャラに成り代わる作品もある。
中にはVRを用いた疑似的な成り代わりという設定の変化球もある。
また、対象キャラの身体や名前を使わずキャラのポジションのみを手に入れる設定を立場成り代わりと呼んで区別する場合もある。
成り代わり対象の原作キャラが基本的に登場せず、主人公がその立場を奪っているので、原作やキャラ関連に思い入れがあるファンからの反発が大きいジャンルである。
憑依との違い
混同されがちだが別区分である。
成り代わりは死亡などを理由に魂の抜けた肉体に別の魂が宿ったり、生まれた時からそのキャラの立場になっていたりするなど、既存キャラクターの人格は完全に消えた状態である。
翻って憑依の方は、既存の存在に後天的に別の存在が取り憑いた、間借りに近い状態を指す。
詳しくは該当記事を参照してほしいが、大まかに言うと、
- 無機物などの人格が存在しないモノに魂が乗り移った状態
- 取り憑かれたキャラクターの人格も消えずに存在し、一つの器を複数の魂が共有している状態(取り憑かれたキャラクターの人格が普段は休眠状態のものも含む)
等は成り代わりでなく憑依に該当する為、そちらのタグを使用する方が適切である。
成り代わりの追加要素
成り代わりの中には、ただ成り代わるだけではないものもある。
追加要素としてよく見られるのは以下の通り。
◆ 性転換
- 異性のキャラに成り代わる、TSF要素を含んだ設定(例:女主人公→男キャラ、もしくは男主人公→女キャラ)
- 成り代わった対象である既存キャラの性別が異性になっている、キャラの女体化、男体化を含んだ設定(例:サラダ食べて海賊王の状態のキャラに成り代わる)
なお、「女体化」「男体化」は対象キャラ側の性別が原作と変わっている場合のみ該当する。
主人公が成り代わりの際に自身にとっての異性に成り代わっていても、対象キャラ側の性別が原作のままの場合は「女体化」「男体化」タグは使わない。
◆ クロスオーバー
「異なる世界同士が何らかの要因で繋がった」、「実は互いの世界は元々地続きだった」等の設定による全面的なクロスオーバーも当然あるが、多いのは以下のタイプ。
- 成り代わり対象のキャラクターが本来属さない別の作品の世界に成り代わり主人公が誕生
- 成り代わり主人公が最初は対象キャラ本来の登場作品世界に居たのを経て別の作品世界に転移・ないし成り代わったキャラの姿や能力を維持したまま転生する
- 作品A世界内で作品Aのキャラクターに成り代わっている主人公の経歴が作品B世界からの転生者・トリッパー
この場合主人公が実際に活動する舞台になる側の作品に合わせたタグ付けが推奨される。
成り代わり対象キャラが本来所属する側の作品の原作キャラクターが主人公と共に異世界転移・転生する場合は、その同伴キャラとの関係、転移・転生前の作品の要素の露出量等に応じてタグ設定を考えよう。
◆ 多重成り代わり
いわゆる多重転生の類型。成り代わり主人公が死後別のキャラに成り代わる。
経験や知識及び技術の引継ぎが主人公の強みになる他、同一作品の同一世界線内での再転生ならかつて時間を共にしたキャラとの再会や葛藤等が味になる。
別作品のキャラクターに成り代わり直す場合は前述のクロスオーバー要素が入る。
◆ 成り代わり主人公と成り代わり対象キャラクターの共演
- 成り代わり主人公が成り代わられていない本来の原作キャラクターが居るパラレルワールド(いわゆる「原作軸」「原作世界線」)へ転移
- 本来の原作キャラクターが成り代わり主人公の居るパラレルワールドへ転移
この場合「成り代わられた原作キャラクターは作中に登場しない」という成り代わりの基本条件は崩れる。
が、「中身の違う別人(強い言葉を使うなら偽者)」が居るシチュエーション自体を嫌う読者も居るため、作中での区別、及び注意書きの内容やタグ設定には変わらず注意を払おう。
棲み分け
前述の通り、警告文、もしくはそれに類するタグ(棲み分けタグ)が必要なジャンルである。
棲み分けの方法としては下記のようなものがある。これらは強制ではなく任意で行われているものだが、検索時の混乱やトラブルを防ぐため、基本的には行うことを推奨したい。
基本マニュアル・ガイドライン
◆ 「成り代わり」タグや「夢小説」タグもしくはそれに類するタグを付けてマイナス検索を可能にする。
このようにしてマイナス検索を用いれば棲み分けは可能であるため「原作名」タグの併用は問題無い、新規の仲間を増やすためにも「原作名」タグを使いたい、等の意見もある。
一方で、
といった理由で、「原作名」タグは使用するべきでない、各原作毎の夢向け作品専用タグ・二次オリ作品専用タグを作成して使用し厳格に棲み分けるべき、という意見も根強い。
各界隈で調整されたし。
◆ タイトルやキャプション等で、成り代わり作品であることを注意・警告する。
好き嫌い以前にそもそも成り代わり作品がどういった内容のものなのか知らない人が作品に接触するケースも想定し、成り代わりの概要(原作キャラクターのポジションに異なるキャラクターを充てている作品であること)について明記しておくとなお良し。
この記事への閲覧誘導を行うのも手。
ex. 成り代わりの際に性転換やクロスオーバーがあるか等、特殊要素についても必ず警告または注意が必要。
◆ 成り代わり対象である原作キャラクター名をタグに使用する場合は、成り代わっていない既存の原作キャラクターと混同しないように配慮する。
まずキャプション等にて「登場人物の内成り代わり対象が誰なのか」を十分に告知する注意書きを設けること。
その上でタグをどうするかだが……
非常に長くなるため詳細は後述の「成り代わり対象の「原作キャラクター名」タグ使用の是非について」を参照されたし。
◆ 成り代わり対象である原作キャラクターに用いられる「原作キャラクター同士のカップリング」タグを使用しない。
「原作キャラクター同士のカップリング」タグは「原作キャラクター(成り代わっていない)×原作キャラクター(成り代わっていない)」の検索に使用されるので、原作キャラクターと成り代わり主人公のカップリングに使用すると検索結果に混乱が生じる。
作中で原作キャラクターと成り代わり主人公のカップリングが成立する場合は、キャプション等に注意書きを設け、原作キャラクター同士のカップリング作品とは別に以下のタグでまとめること。
- BL夢(BLD・腐向け)/百合夢(GLD)/男女カプ(NL・HL)
- 攻主・受主
- 版権キャラ×オリキャラ・オリキャラ×版権キャラ
- 既存キャラ×オリキャラ・オリキャラ×既存キャラ
- 原作キャラ×オリキャラ・オリキャラ×原作キャラ
ex.もう一歩踏み込んで、「○○(キャラ名あるいはコンビ・グループ名の略称)×夢主」「夢主×○○」等のタグを作る手もあるかもしれない。
◆ 成り代わり対象である原作キャラクターに用いられる「原作キャラクター同士のコンビ・グループ名」タグを使用しない。
「原作キャラクター同士のカップリング」タグの問題と同様。
◆ 男性キャラに成り代わった主人公と男性キャラとの恋愛要素が発生する作品をジャンル腐タグで投稿しない。
女体化作品が作中では男×女の内容になっていても腐向けとして扱われるのと同様に、夢主ないしオリキャラが原作キャラクターに成り代わる時点で夢向けとして扱うべきであるため。
キャプションに腐向け要素(BL要素)ありと記載し、夢小説系棲み分けタグ(作品・作者別夢小説用タグ/BL夢・BLD等)+腐向けタグを使用すること。
◆ 成り代わり主人公と異性の原作キャラとの恋愛要素が発生する作品をジャンル男女カップリングタグで投稿しない。
◆ 女性キャラに成り代わった主人公と女性キャラとの恋愛要素が発生する作品をジャンル百合タグで投稿しない。
「ジャンル腐タグ」と同様。
等のワードを内容に合わせてタグとキャプションに使おう。
<補足>
キャプションを読まず作品を開くユーザーに対するセーフティネットとして作品内の冒頭に注意書きを設ける場合が有る。
これは悪くない手だが、一方で最初からキャプションには一切の注意書きをせず、作品冒頭にのみ注意書きを載せるのはおすすめしない。
作品ページを開いて注意書きを確認してからまた検索結果画面に戻るよりは、検索結果画面から直接確認できるキャプションに注意書きが有る方が閲覧者の作品選別はスムーズになると考えられるためである。
成り代わり対象の「原作キャラクター名」タグ使用の是非について
成り代わり主人公は中身を別物にした以上原作キャラクターとはあくまで別人であるため、
といった理由の下、成り代わり対象の「原作キャラクター名」タグは使用するべきでないという意見が従来は原則とされてきた。
一方、
- 成り代わり対象を指定できるタグが無いと成り代わり作品群の中で絞り込み検索をしにくい
- 成り代わりが嫌なユーザーとはマイナス検索を用いれば棲み分けは可能である
- 中身が別人であろうとなかろうと特定の原作キャラクターを彷彿とさせる要素があるならば全面的に回避したい時もある
等の理由から成り代わり対象の「原作キャラクター名」タグの使用を是とする意見も増えている。
折衷案として挙げられるのが、「○○成り代わり」(「○○」に対象キャラクター名)とタグ付けし、どのキャラクターが成り代わられているのかタグからでも分かるようにする手法である。
(例:コナン夢から引用→風見成り代わり、ジン成り代わり、真純成り代わりetc…)
【Q.1】
「成り代わり」タグを使っているならキャラ名タグに「成り代わり」の語句追加は不要では? 二度手間では?
【A.1】
対象キャラ名のタグにこうした変形を加えない場合、成り代わり作品のタグに記載されたキャラクターが「主人公の成り代わり対象」なのか「成り代わり主人公以外で作品の中心を担う原作キャラクター」なのか検索時に区別が付かず、どちらの場合の作品も検索結果画面に混在した状態で一覧表示されてしまうため、ユーザー側に混乱が生じてしまう。
タイトルやキャプションを見れば誰が成り代わり対象か判るかもしれないが、検索結果に表示される作品の数が必要以上に増えればその分確認のための「余計な手間」は増える。
こうした懸念から、成り代わり作品の愛読者の中にも成り代わり対象の「原作キャラクター名」タグ使用自粛派が存在しているのが現状なのである。
【Q.2】
タイトルやキャプションにだけ成り代わり対象を書けばいいのでは?
【A.2】
タイトル・キャプションにのみ成り代わり対象キャラクター名を記載した場合、まず「タグ」検索では成り代わり対象キャラクターによる絞り込み検索ができない。
更に「タグ・タイトル・キャプション」及び「タイトル・キャプション」検索では対象キャラクター名が成り代わり対象として記載された場合以外の文脈からも広く拾われてしまうため、検索の利便性は著しく落ちる。
また、マイナス検索の効果範囲はタグのみという仕様のため、「タグ・タイトル・キャプション」検索では成り代わり対象のキャラクターから、「タイトル・キャプション」検索では加えて成り代わりを含む特殊嗜好や主人公以外の登場キャラクターからも苦手なものを指定して避けられないデメリットが有る。
【Q.3】
いっそ成り代わり対象もそれ以外のキャラも成り代わり作品では原作キャラクター名タグ使うの一切やめたらいいのでは?
【A.3】
それじゃあもう何も絞り込めない。読みたい作品を選ぶ前に心が折れる。
【Q.4】
逆に成り代わり作品では成り代わり対象のキャラクター名のみタグに書くようにすればいいのでは?
【A.4】
夢向け作品では「原作キャラクターとの関わりを楽しむ」というジャンルの性質上、恋愛・非恋愛を問わず主人公の相手役となる原作キャラをタグに記載して絞り込みをしやすくする慣習が有る。
そのため成り代わりだけこの慣習から脱却した場合、「原作キャラクターと関わる」夢向け作品としての検索利便性が損なわれかねない。
また、マイナス検索はタグのみを対象にした機能であるため、主人公以外の登場キャラクターがタグで分からない状態では前述の「特定の原作キャラクターを避けたいユーザー」の利便性も確保されない。
以上を踏まえ「○○成り代わり」タグで成り代わり対象キャラとそうでないキャラのタグを区別すれば、
- 原作キャラクターと成り代わり主人公の混同を避けられる
- 読者が「成り代わり対象」だけでなく「主人公と共に話の中心として多く出演してほしい原作キャラクター」を指定して作品を絞り込める
- 成り代わり作品の中から特定のキャラクターを成り代わり対象とした作品のみを検索結果から弾ける
- 特定の原作キャラクターが話の中心になる作品を検索結果から弾ける
- 成り代わり主人公と成り代わられていない本来の原作キャラクターが同時に登場する作品にも対応できる
といった具合に、作品の識別性・検索の利便性が向上する効果が見込める。
これならばキャラ名使用推進派と一部の自粛派、両者のニーズを同時に満たせる可能性が有る。
問題は「原作キャラクタータグで検索したら成り代わり全般地雷なのに別のキャラクターの成り代わり作品が釣れた訴訟」という場合だが、それは「マイナス検索を使えば~」「特定の原作キャラをマイナス検索で避けたいユーザーも~」で堂々巡りになりやすい部分なので、界隈でよく相談されたし。
※上記で触れたように、ピクシブのキーワード検索はタグ以外に「タイトル・キャプションも検索対象に設定可能」なので注意しよう。対象を想像させるファン特有のあだ名を使ったり、名前を記号で区切る(「キ/ャ/ラ/名」)等すると検索結果にヒットし難くなる。
まとめ
◆ 書く側(投稿する側)
「成り代わり」ジャンルを読まない・知らない人がいることを考え、まず「成り代わり」自体が夢小説の中でも特殊なジャンルであることをしっかりと把握すること。
その上で、原作キャラの存在を抹消するという作品形態から、外部は勿論のこと、夢小説作者・読者の中でも好悪や賛否が大きく分かれるジャンルであることを認識しよう。
トラブルを避ける為にもジャンルに対する諸知識や相応の自覚を持ち、十分に創作上のマナーや棲み分けを学び、自分の作品の内容を理解し、適切な注意書き及び棲み分けタグを付けること。
また、棲み分け方については決着の付いていない議論や随時生じる問題提起も有るため、定期的に情報を再確認して知識及び認識のアップデートを怠らないようにしたい。
◆ 見る側(検索する側)
見る側(検索する側)にもマナーや自衛は必要である。
原作名タグや原作キャラクタータグがついていてもいなくても、適切なタグ(成り代わりタグ・夢小説タグ)が付いていれば特殊なジャンルを避けることは可能である。マイナス検索やミュート機能を活用しよう。
キャプションや作品の前書きにはタグだけでは伝えきれない特殊要素などが書かれているため、目を通すようにすると更なる自衛に繋がる。
強引な棲み分け要求は荒れる元となるので注意。
まずは、その原作作品が棲み分けを必要としているかを確認し、作品名タグで全体に対する提案から始めるのが望ましい。
最後に
成り代わりジャンルに限らず、二次創作は原作ありきの作品である。原作(世界観、キャラクター等の既存の設定)を「お借り」している立場であることを忘れてはいけない。
二次創作に対して、「原作名」及び「原作キャラクター名」をタグに使用しないように求めるのは適切ではない。「原作名」タグおよび「原作キャラクター名」タグの使用の是非については、ジャンルによってだが、あくまでも「風潮」や「任意」のマナーであり、強制ルールではないため、不便や不安を感じた際は0か100かの一方的な理屈の強要ではなく、提案や相談から始めて互いの落としどころを形成していこう。
棲み分けに大切なのは、マイナス検索が可能な適切なタグ付けになっているか、読者に配慮したキャプションであるか、の二点である。
関連項目
憑依 同化 転生もの(異世界転生・転生・憑依転生) 異世界転移(異世界トリップ・トリップ)
半オリジナルキャラクター(半オリジナル) 版権系オリジナルキャラ 二次オリ オリ主
合体 フュージョン(融合)…成り代わり前の夢主と本来のキャラクターが両方出る。
入れ替わり…相対する価値観を描く話で多い。
立場成り代わり…下位分類、あるいは派生項目
炎の蜃気楼…死者が生者の肉体を奪って成り代わる「換生」という技術がキーになる。
転生したらヤムチャだった件…ドラゴンボールの公式スピンオフ。
成りすまし 乗っ取り…明確かつ積極的な意志(特に悪意)によって行われるものはこちら。
具体例:妲己 太陽がいっぱい 川尻浩作 ローズマリー(明日のナージャ)
キャラ崩壊 キャラ改悪 キャラヘイト…「既存キャラを上書き消去し書き替える(変える)」という特性上、このように捉えられることもある。