概要
日本中央競馬会(JRA)栗東トレーニングセンター所属の騎手。
鶴留明雄厩舎(栗東)所属でデビューし、2001年よりフリー。
史上最年少の三冠ジョッキー(2011年に32歳3か月で達成)であり、その他にも史上6人目の5大クラシック完全制覇、史上29人目のJRA通算1万回騎乗達成、史上6人目の全10場重賞制覇などの記録を持つ。
2022年にはJRA通算1300勝を達成した。
略歴
デビュー前
1979年7月23日、熊本県で誕生。滋賀県栗東市で育つ。武豊へのあこがれと、父が騎手であった影響で自身も小学生の頃から騎手を志した。
1995年、JRAの競馬学校(千葉県)14期生として入学。入学から卒業まで成績トップを譲らず、卒業時にはアイルランド大使特別賞が与えられた。
1998年
3月14日、中京競馬場でタヤスソシアルに騎乗し初勝利を飾る。
7月26日、トウショウオリオンで北九州記念を勝ち、重賞初騎乗初勝利(グレード制導入後4人目の記録)。
※この年は38勝を挙げJRA賞最多勝利新人騎手を受賞する。
2001年
7月13日、武豊の落馬負傷による乗り替わりでフランスのドーヴィル競馬場第4レースにて海外初騎乗。この日観戦だけの予定だった池添が急遽指名されたので騎乗に必要なものを何も持ち合わせておらず、道具は鞍から下着に至るまで武のものを借りた(ブーツはサイズが合わずオリビエ・ペリエから借りた)騎乗馬はその名もHATHAARI(ハッタリ)。そして騎手名の表示で「Kanichi Ikezoe」と間違われた。
2002年
4月7日、アローキャリーに騎乗し桜花賞で勝利。GⅠレース初勝利。
2003年
10月5日、デュランダルに騎乗しスプリンターズステークスで勝利。
11月23日、デュランダルに騎乗しマイルチャンピオンシップで勝利。
2004年
10月17日、スイープトウショウに騎乗し秋華賞で勝利。
11月21日、デュランダルに騎乗しマイルチャンピオンシップで勝利。
2005年
6月26日、スイープトウショウに騎乗し宝塚記念で勝利。
11月13日、スイープトウショウに騎乗しエリザベス女王杯で勝利。
2007年
12月2日、トールポピーに騎乗し阪神ジュベナイルフィリーズで勝利。
2008年
5月25日、トールポピーに騎乗し優駿牝馬(オークス)で勝利。斜行により開催2日間の騎乗停止処分。
2009年
6月28日、ドリームジャーニーに騎乗し宝塚記念で勝利。
12月27日、ドリームジャーニーに騎乗し有馬記念で勝利。春秋グランプリ制覇達成。
2011年
4月24日、オルフェーヴルに騎乗し皐月賞で勝利。
5月29日、オルフェーヴルに騎乗し東京優駿(日本ダービー)で勝利。
10月2日、カレンチャンに騎乗しスプリンターズステークスで勝利。
10月23日、オルフェーヴルに騎乗し菊花賞で勝利し、牡馬クラシック三冠を達成。
11月20日、エイシンアポロンに騎乗しマイルチャンピオンシップで勝利。
12月25日、オルフェーヴルに騎乗し有馬記念で勝利。
※この年はGⅠレース年間6勝を挙げる。
2012年
1月6日、ドバイに遠征。ストリートアクトに騎乗しメイダンマスターズ第2戦で勝利。海外初勝利となる。なおメイダン競馬場における日本人騎手初勝利でもある。
3月25日、カレンチャンに騎乗し高松宮記念で勝利。
6月24日、オルフェーヴルに騎乗し宝塚記念で勝利。
2013年
12月22日、オルフェーヴルに騎乗し有馬記念で勝利。
2015年
9月27日、ショウナンパンドラに騎乗しジャパンカップで勝利。
2016年
5月22日、シンハライトに騎乗し優駿牝馬で勝利。しかし直線外側に斜行し、騎手は開催2日間の騎乗停止処分を受ける(オークスは2勝とも騎乗停止処分を受けているため、記念品を受け取っていない)。
8月6日、アスコット競馬場(イングランド)のシャーガーカップに招待され、世界選抜チームの一員として初出場。個人成績第3位。チーム優勝した。
2017年
2018年
12月23日、ブラストワンピースに騎乗し有馬記念で勝利。有馬記念4勝目を挙げ、同レース最多勝利記録を更新する。
2019年
11月17日、インディチャンプに騎乗しマイルチャンピオンシップで勝利。マイルチャンピオンシップ4勝目を挙げ、同レース最多勝利記録を更新する。
2020年
6月7日、グランアレグリアに騎乗し安田記念で勝利。
11月15日、バイオスパークに騎乗し福島記念で勝利。JRA全10場重賞制覇を達成。
2021年
3月21日、弟・池添学が管理するヴィクティファルスの主戦騎手となりスプリングステークスで勝利。JRA史上初の兄弟の管理馬による重賞勝利達成。
2022年
6月5日、ソングラインに騎乗し安田記念で勝利。
人物
レース
デュランダルを追い込み戦法でGⅠ勝利にまで導いたことで、その後の追い込みの脚質を活かした活躍に繋がっている。もっともカレンチャンなど先行策を得意とする馬でも結果を残している。
また、重賞やGⅠなど大舞台のレースに強いのも特徴。2023年7月9日時点で中央・地方合わせて約1370勝以上を挙げているが、重賞勝利は100勝、うちGⅠ勝利は28勝にも及ぶ。特に春秋グランプリレースとなる宝塚記念と有馬記念にめっぽう強く、宝塚記念は通算3勝、有馬記念では通算4勝しており、うち有馬記念では騎手としての最多勝利記録を保持している(宝塚記念最多勝利記録は、武豊の4勝)。
このことから「平成のグランプリ男」と呼ばれることも。
代打騎乗で結果を出すことも多く、騎乗停止となった福永祐一の代打でインディチャンプに騎乗しマイルチャンピオンシップで勝利。
グランアレグリアの主戦騎手であるクリストフ・ルメールにアーモンドアイの先約があったことで高松宮記念に続き手綱を取ることになった安田記念では、レース前に調教師の藤沢和雄から「アーモンドアイに勝つ気がないのなら乗せない」と活を入れられ、更にレース中芝の塊が顔面に直撃するハプニングで右目がほぼ見えない状態になりながらも制している。ちなみにこの時の2着こそアーモンドアイであり、プロボクサーよろしく右目がアケビ色に腫れ上がった状態で臨んだインタビューの最中、アイシングを差し入れしたのもルメールであった。あのアーモンドアイを破ったということでかなりグランアレグリアには思い入れがあるようで、グランアレグリアの引退式では「秋以降クリストフが他の馬に乗ってくれないかなと思ってました」とまで言うほど。
癖馬マイスター池添
デュランダルやスイープトウショウで実績を上げたせいか、ドリームジャーニー、オルフェーヴルやメイケイエールなど、気性難の馬を多く任されるようになった。
ファンには池添の騎乗歴がある馬たちをまとめて気性難の集まるところ「チーム池添」と呼ばれることもある。
- スイープトウショウは調教を拒否し、冬の朝に30分ほど動かなくなり池添に雪が降り積もった。
- オルフェーヴルは新馬戦と3冠達成時の菊花賞でゴール後に池添を振り落とし、ファンから「暴君」と呼ばれるようになった。
- 引退後のオルフェーヴルやドリームジャーニーに会いに行っても、毎回うかつに近寄れないほど危険である。
- メイケイエールは折り合いがつかず惨敗続きだったが、池添が主戦となるとスプリンターズSで4着、続くシルクロードステークスでは1着と好成績を収めた。
※素直におとなしく言う事を聞いてくれたカレンチャンは癒しとのこと。
なお、あくまでそういう馬の騎乗依頼ばかり来るだけであり、決して進んで気性難ばかり乗ってるわけではないことを本人も言及している。
ちなみに、癖馬を乗りこなすことに関しては絶対に折り合いを捨てないというパワープレイにも近いものであるが、(メイケイエールのように折り合いが終始つかない馬だとレース中ずっと手綱を引くことになるため、ファンからは「腕がちぎれるのでは?」と心配?されている)元騎手の佐藤哲三には「爆発力のある馬に乗せたら日本で一番うまい騎手」とも評価されている。
騎乗技術についても元騎手田原成貴は「重心を取るのがうまい」と分析し、絶賛している。
また父・兼雄も癖馬を乗りこなすことでトレセン内では有名だったらしく、調教助手時代には所属厩舎以外にも多くの癖馬の調教を任された。
そのため、本人は「そういう馬が回ってくる血統」「逃れられへんわ」と癖馬を任されることを父譲りの特性だと笑った。
武豊大好き
武豊の大ファンであることでも有名。武豊にあこがれて騎手を志したと語り、ネットケイバで配信中の自身の冠番組「謙聞録」でも度々その思いが炸裂している。
2023年2月4日、武豊が小倉競馬場でJRA通算4400勝を達成したときは、まだ骨折療養中(復帰はこの翌週から)の身でありながら、朝一番の新幹線で小倉競馬場に乗り込み、4400勝達成の瞬間に立ち会い、記念式典で記念プラカードを掲げ、式が終わったその直後には滋賀に帰るという武豊ガチ勢の鑑のような行動力でファンを唸らせた。
本人は「尊敬するユタカさんと話すのは今でも緊張する」と主張しながらも、飲みの席ではゆたぽんと呼び、武豊曰く「いじり倒してくる」らしい。
騎手記念撮影のきっかけ
先輩である幸英明騎手の区切りの勝利の際、ぬいぐるみを持って一緒に記念撮影に納まったのを幸騎手が非常に喜び、その後色々な騎手の表彰の際に他の騎手が集まって記念撮影するのが恒例となった。
また2022年から騎手たちが手作りの応援うちわを手に記念撮影に納まるようにもなり、それは2022年4月2日池添謙一JRA通算1300勝記念を祝う周囲のサプライズ演出が初出である。
粗品の呪いを覆した神騎手
競馬好きで知られるお笑いコンビ霜降り明星のツッコミ役、粗品が自身のYouTubeチャンネルにて、様々なキャラクターに扮して競馬予想を発表する企画を繰り広げているのだが、その中でも『生涯収支マイナス1億円君』と呼ばれるキャラは指名された本命馬が悉く着外に沈むことから、いつしかネットで『粗品の呪い』と囁かれているのだが。
池添は自身のインスタライブにてこれについて「もし自分が本命に指名されたら是非とも覆したい」と言及し、そして2022年6月5日の安田記念にて見事「粗品の本命に指名されておきながら優勝」という偉業を成し遂げた(これまでも粗品の本命馬が1着に来ることはあったが、そういう時に限って『馬券を買ってない』『単勝なら当たりだが、馬連や3連複・単の相手馬を外す』『3連単を流しで多めに買ったのに上位人気3頭で決着し、盛大にトリガミする』など、さまざまなパターンで『予想は当たるが、馬券や勝負には負ける』ことになっていたが、池添の優勝時はこれのどのパターンにも当てはまらず、粗品は普通に儲かるパターンであった)。
あまりの出来事に、ネットニュースにもなっていた(→外部リンク)。
なお、この時指名したソングラインは同年9月11日に開催されたセントウルステークスにも出場していたのだが、このレースでは池添はメイケイエールに騎乗し、ルメールに乗り替わりとなった。同レースでは、粗品の本命はソングライン、買い目はメイケイエールとソングラインの二頭のみの馬連。その結果はメイケイエールのレコード勝ちでの圧勝、ソングラインは掲示板ギリギリの5着に沈んだこともあり、「粗品の呪いを覆したのは、馬ではなく、紛れもなく池添さんの力だった」と囁かれ始めた。
(なお、ルメール騎手にも2021年のマイルCSにて粗品の本命に指名されたグランアレグリアに騎乗し見事優勝した経歴があったが、この時は盛大なトリガミだったことや、まだ粗品の呪いが騒がれ出す前のためか、あまり知られていない)